1999.7.1.発行 vol.4  [今回も方向性だ文句あっか号]

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■■  [本]のメルマガ                                1999.7.1.発行  
■■                                                      vol.4  
■■       mailmagazine of books      [今回も方向性だ文句あっか号]  
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■CONTENTS--------------------------------------------------------- 
「本の周りをうろついて・・」/湯川新一
→今回なんと、豪華作者インタビュー! 『童話物語』の宮山香里さん。

「マエストロ鏡玉のメディアジャーナル」/マエストロ鏡玉(きょうぎょく)
→今後の方向性第二弾。マエストロ(本名)、そろそろ本題を・・・

「私小説的書店員」/キウ
→無意味な異動に怒り大爆発! かくして書店のレベルは失墜していく・・

「美人書店員の赤裸々な日常」/あくびちゃん
→品切れだらけの人文書の実情が、淡い日記から浮かび上がります。
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■トピックス
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■現代思想関係書籍・新刊近刊速報

!は新刊、#は近刊です。価格はすべて本体価格。近刊情報は必ずしも各版
元のHPに掲載されていない場合があります。

!ルイ・アルチュセール『哲学・政治著作集T』
藤原書店STOCK/IMECから立て続けに刊行された草稿群の待望の邦訳。造本、
装丁ともに立派で、思わず抱きしめたい!気分。自伝の『未来は長く続く』
は別版元から出る予定なのだが、遅いぞ。訳=市田良彦、福井和美。8800円
http://www.fujiwara-shoten.co.jp

本書とあわせ、筑摩書房から出た、ヤン・ムーリエ=ブータンの『アルチュ
セール伝』は買っておきたい。この伝記の気になる続きは原著ではまだ未刊
。ちなみに今年4月にはDe la Passionという版元から『反アルチュセール―
―マルクスのために』なる論文集が出た(isbn:2906229369)のだが、どう
いった人たちが書いてるのか未見。

!ジャック・アタリ『21世紀辞典』産業図書
ヨーロッパきっての秀才官僚が現場から早々と引退してすでに久しいけれど
、この人みたいな政治家が日本にいたら、もう少しこの国も変わるんじゃな
いかと思う。「Japon」の項目ほか、行き過ぎているようで、どこか大
変スルドイ。ハンチントンなんかおよびでない。しかしこの人の言うことは
ヨーロッパ中心主義だ、やっぱり。彼の言う「ノマド」概念はドゥルーズや
ガタリのそれとは違うが、示唆的。反論するつもりで読むと脳みそがフルに
働いて大変有益。訳=柏倉康夫、伴野文夫、荻野弘巳。2600円

!エリアス・カネッティ『眼の戯れ』法政大学出版局
自伝三部作の最終巻。ウィーンを舞台に30年代ヨーロッパの陰影がうごめく、
貴重な証言集。訳=岩田行一。4200円

!ミシェル・アンリ『見えないものを見る』法政大学出版局
カンディンスキー論。アンリの多彩な仕事ぶりは同じくウニベルシタス叢書
でチェックできる。訳=青木研二。2800円
http://www.asahi-net.or.jp/~HG2K-AKT/hup01.html
↑御忙しいでしょうが、アップロードはぜひ迅速にお願いしたいです。

#ポール・ヴィリリオ『戦争と映画』平凡社ライブラリー・7月中旬刊
88年、UPUからGS叢書の一冊として刊行されていた同名単行本のライブ
ラリー化か。最新著『情報爆弾』も別版元で翻訳が進行中らしい。訳=石井
直志。予価1300円 http://www.heibonsha.co.jp

・ヴィリリオの本

1)『純粋戦争』87年12月、UPU。訳=細川周平。
現在絶版。NYの先端的思想誌だった「セミオテクスト」誌の編集者シルヴ
ェール・ロトランジェ(ロトリンガーと表記されることもある)との対話。
細川氏の巻末のインタビューも素晴らしかった。当時、浅田彰がNHKと組
んでつくったドキュメンタリー「事故の博物館」といい、退屈な未来学とは
一線を画していた。今一度、彼らには対話してほしいと思う。

2)『戦争と映画』88年1月、UPU。訳=石井直志、千葉文夫。
現在絶版。原著はもともと『知覚の兵站学』第一部として構想されたが、続
巻は未刊で、91年には第一部云々のカシラがとれたかたちで再刊された。上
記平凡社ライブラリー版は91年版を参照しているはずだ。

3)『速度と政治』89年2月、平凡社。訳=市田良彦。
現在品切。小さな主著。めくるめく論説のスピードが若い世代に与えた影響
力は計り知れない。かの『ミル・プラトー』に頻繁に引用されていたことは
あまりにも有名。時事色が強めのせいか再刊されないのが、残念。市田氏の
翻訳も見事。氏は最近藤原書店からアルチュセール『哲学・政治論文集』の
訳を刊行したが、氏のレヴェルに追いつける若手がヴィリリオを訳していっ
てほしい。

4)『電脳世界』98年2月、産業図書。訳=本間邦雄。1800円
久々の新刊だったが、個人的にはガックリ。というのも、『純粋戦争』に比
べ、はるかに退屈なインタビュー(プティというこのジャーナリストの凡庸
さ!)だし、残念ながら、本間氏の訳もまったりしたスピード感のないもの
だった。そもそもヴィリリオ自身が老けてしまったのかもしれない、とも思
えるが、インタビュアーや翻訳者によってこうも違うものなのか。けれどや
っぱりヴィリリオはいい。

・ヴィリリオ『戦争と映画』にあわせてチェックしたい本4冊

1)映画の21世紀 第12巻「戦争/映画」勁草書房・7月下旬
編=カイエ・デュ・シネマ・ジャポン。1800円 
ヴィリリオの論考「破壊免許」も収録。

2)『ドゥルーズ、映画を思考する』勁草書房・7月下旬
編=ロベルト・デ・ガエターノ。訳=廣瀬純、増田靖彦。2500円
http://www.keisoshobo.co.jp

3)ユリイカ96年10月号「ドゥルーズ『シネマ』を読む」青土社。
1165円。http://www.seidosha.co.jp

4)ベルクソン『記憶と生』未知谷。7月下旬
編=ジル・ドゥルーズ。訳=前田英樹。法政大学出版局から出ているベルク
ソンの講義録(訳=合田正人、谷口博史)も要チェック。ドゥルーズはベル
クソンのエッセンスを、講義録は著者自ら出版を禁じた、その肉声を伝える
。予価2500円http://www.michitani.com/

#アマルティア・セン『不平等の再検討』岩波書店・7月中旬刊
ご存知ノーベル経済学賞受賞の大先生です。でも、賞なんかもらわなくって
も、福祉経済学の本はこれから更に読者が増えてくるはず。訳=池本幸生ほ
か。2600円  http://www.iwanami.co.jp

・センの本

1)『不平等の経済理論』77年7月、日本経済新聞社。訳=杉山武彦
現在絶版。こんな本がかつてあったわけで。ビル・ゲイツの本もいいけど、
日経の書籍編集部の皆さんには息の長い専門書をもっと出してもらいたいで
すね。

2)『福祉の経済学』88年1月、岩波書店。訳=鈴木興太郎。2100円

3)『合理的な愚か者』89年4月、勁草書房。訳=大庭健、川本隆史。
2806円。ここから入るとセンの思考のメインフレームがわかるかも。

#ポール・クルーグマン『世界大不況への警告』早川書房・7月下旬
気になる先端的経済学者の書き下ろし最新作。ホーキングといい、早川のこ
うした「速攻」?には感心する。訳=三上義一。予価2000円
http://www.hayakawa-online.co.jp

#バタイユほか『無頭人(アセファル)』現代思潮社・7月上旬
永らく伝説だった反ファシズムの秘教的雑誌の完全翻訳、ついに。
訳=兼子正勝ほか。2800円

#徐京植『プリーモ・レーヴィへの旅』朝日新聞社・7月下旬
本格的レーヴィ論。アウシュッヴィツから帰還した作家は如何に書いてきた
か。絶対にチェック!1800円
http://opendoors.asahi-np.co.jp/span/index.htm

新コーナー!:今週の「なんじゃこりゃ」

1)ノストラダムス『ノストラダムス予言集』岩波書店・7月中旬
学術的実証的観点から、とか言ったっていくらなんでも岩波さんもよくやる
よねえ。でも、宇宙戦艦ヤマトや五島勉の『大予言』シリーズを読んで育っ
た私のような世代は、「地球の滅亡」とか「恐怖の大王」とか、このテのも
のはついついチェックしてしまう。予言通りならそろそろ来月かさ来月には
「降ってくる」んだよねえ、光と反対のものが。何だか世紀末も白々しく危
機感なく通り過ぎそうですけど。
訳=高田勇、伊藤進。3200円。

2)東浩紀『郵便的不安たち』朝日新聞社・7月中旬
もはやオヤジに向けては書かないと言った彼。その通りだぜ、とも思うし、
何を今更、とも思う。オヤジたちに「なんじゃこりゃ」と思われつづけるキ
ックのきいた人でいてください。2600円

・東浩紀氏講演会:7月16日(金)19:00〜青山ブックセンター青山本店
入場無料。要電話予約。彼の劇的早口!に出会える。
http://www.aoyamabc.co.jp
↑ABCってこういう機会をたいてい無料で提供してくれるのがうれしい。朝
日新聞社が、自社出版物宣伝のため、平野啓一郎氏と沼野充義氏の対談を大
阪と東京で催して、二千円以上「聴講料」を取るのとは大違いだよな。朝日
よ、こんな時に読者サービスしなくてどうするの?

■柳美里プライバシー裁判敗訴
この問題、突き詰めて考えると<自分の信じる価値――この場合は私小説や
その伝統・芸術のために、他人を傷つけることは許されるのか?>という問
いに繋がるように思います。みなさんはどう考えられますか?
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## メールマガジン”考える人の−−−thought for new”@@
 長らく続いたメタメタな時代はもうじき終わり、新しい、自由な世界が
 開けてくる…。その新しい世界を作る哲学とは?
 私が今まで考えてきたことに今現在の状況と考えを再構築しつつ、
 文章をまとめていきます。
*詩・イラストレーション・メールマガジン
 −−−> こちらです。 http://member.nifty.ne.jp/think_new
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■「本の周りをうろついて・・」/湯川新一
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『童話物語』の宮山香里さんをお迎えして。

今回は知人の紹介で知り合いになった『童話物語』の絵・装丁・ワールド
デザイン担当の宮山香里(かおり)さんとのメール・インタビューを掲載し
ます。

『童話物語』1999年4月 幻冬舎刊 本体価格2000円 現在第3版
向山貴彦・著 宮山香里・絵

「永遠の世界からやってきた妖精フィツにとって地上世界は不思議な
ところだった。
何もかも移り変わり消えてゆく、限りある世界。
フィツが地上にいられるのはわずか九日間。
その限られた時間で、最初に話したひとりの人間を観察し
答えを出さなければならない。
世界は滅びるべきなのか・・・」

◎Q1ーはじめての出版ですね。おめでとう。
◎自分たちの本が書店にドカッと積まれて売られているのを見て、
◎どんな感じがしましたか?

>>→いつかこうなるのでは?という期待はありましたが、
>>実際書店で見たときには、嬉しい!と喜ぶ一方で、
>>他の本の山を見て複雑な気持ちになったりもしました。
>>とりあえず、スタジオの仲間がそれぞれの書店にカメラを持参しました!

◎Q2「他の本の山を見て複雑な気持ち」とはなんですか?

>>→新刊ってこんなに多いんだ!と改めて驚き、こんなにたくさんの本の中
>>から一体どれほどの人が、この本を手にとってくれるのだろう、というよ
>>うな複雑な思いが渦巻きました。
>>また、読み手を待っているだけの本、もしくはその機会さえ与えられてい
>>ない本がどれほど多いかを実感しました。

◎Q3ー『童話物語』という書名にした理由は?

>>→「童話のような」物語だから。
>>ほかにも意味はあるけれど、それは本の中で自然と感じてほしいです。

◎Q4ー宮山さんはこの本で、絵・装丁・ワールドデザインを担当されてい
◎ますが、影響を受けた画家、およびワールドデザインとはどのような役割
◎なのかをお聞かせください。

>>→「童話物語」に関しては、どのくらい影響をうけているかはわかりませ
>>んが、好きな画家は、パウル・クレー、ベン・シャーン、絵本作家のジョ
>>ン・バーニンガムです。
>>渋い色使いと、色んな意味のユーモアを感じさせてくれるものが好きです
>>ワールドデザインは、ビジュアルを中心に、世界観やそのディテールを創
>>り上げていく役割です。「童話物語」の特徴の一つとして、文と絵が同時
>>に進行してお話を創り上げていったという過程があります。
>>お互い意見を出し合って、実際にクローシャ大陸に住んでいる気持ちで
>>世界観を創っていきました。登場人物も同様です。
>>本の中には具体的に出てきていない町や、無くなってしまったアイデアな
>>ど、たくさんあります。今後ホームページ上で紹介していく予定ですが、
>>日々クローシャ大陸の世界は広がっています。

◎Q5ー作品中の、トリニティー、ペチカ、フィツ、ヴォーという「音」と
◎風景が、北欧キリスト教圏を感じさせますが、これについてはいかがです
◎か?

>>→具体的にどこかを参考にしているというわけではなく、
>>実際のクローシャがたまたまそうなのです。
>>現実社会でもそうであるように名前には往々にして意味があることが
>>あるけど、でも、それは読者が思いを巡らせるしかないと思います。

◎Q6ー500ページを超える大作。原稿用紙に換算すると1,287枚と
◎いうことですが、いつ頃から著者の向山貴彦さんと共同制作をはじめたの
◎ですか?

>>→大学1年のクラスメートになった「秋」くらいから。今からおよそ5年
>>前です。たまたま私の旅絵日記を見た向山から、いっしょに制作しよう、
>>という話がもちあがりました。
>>その当時は、トリニティーと性格の悪い少女ペチカ、おひとよしの妖精フ
>>ィツの存在を語られ、プロローグのみ存在している、という状況でした。
>>その後、1章の文章とキャラクターを作り上げるだけで1年以上かかりま
>>した。
>>その頃から、向山の幼馴染が加わり、スタジオエトセトラとして本格的に
>>制作が始動しました。

◎Q7ーまた、旧バージョンがあるとのことですが、出版されている新バー
◎ジョン『童話物語』との違いは何ですか?

>>→新バージョンのほうが、書籍としての全体的な完成度が高いです。
>>最も違うのは4章と5章、フィツの性格です。
>>旧バージョンは、スタジオで編集から版下制作まで行ったため、
>>苦労が多かったですが、その分、思い入れも強いです。
>>絵的には、旧バージョンの印刷の色合いが好きです。

◎Q8ー旧バージョンを手に入れる方法はありますか?

>>→基本的にはもう売っていないのですが、
>>スタジオの仮ホームページ(http://www.tt.rim.or.jp/~etcetera/ 
>>公式サイトのアドレスは、オープン次第、上のアドレスで発表されます)
>>に幻冬舎版の感想を送ってくれた人に抽選で毎月一冊程度プレゼント!
>>という話があります。

◎Q9ー作品中に印象的な言葉が2つあります。

>>→ひとつは、解説で巽孝之氏が取り上げている「誰だって、自分が思って
>>いる人間よりはすごい人間だよ」というもの。ふたつ目は、終わりの方で
>>「永遠じゃないから変われるんだよ。・・・みんな変わった。ぼくも変わ
>>った・・・」「変われるってことはいつだって可能性があるってことなん
>>だ。変われるってことは今日がだめでも、明日はうまくいくかもしれない
>>ってことなんだ。変われるってことは絶対あきらめるなってことなんだ。」

>>これらがこの作品およびこれから描かれるであろう作品の
>>基本的なメッセージと考えてよろしいですか?

>>→基本的に童話はお話なので直接的なメッセージはありません。台詞はそ
>>れぞれフィツとヤヤの考えであって、それ以上でもそれ以下でもありませ
>>んが、もし読者が二人の言葉に共感できたならそれは本当にうれしいこと
>>です。

◎Q10ーこの作品はまだはじまったばかりのようです。
◎全10巻のうち第5巻と第6巻がこの本ということですが、
◎今後の出版予定についてお聞かせください。

>>→向山曰く「すでに世界のどこかにはあるかもしれない」とのこと。
>>しかし、詳細は一切不明。向山や私にもわかりません。

◎Q11ー出版意外の活動の予定がありましたらお聞かせください。

>>→現在、池田満寿夫さんや、その他多くの芸術家の版画を刷ってらした
>>刷り師に師事してリトグラフ(石版画)の修業をしています。
>>童話物語関連の版画も制作していて、ホームページ等に随時載せていく
>>予定です。
>>来年には展示会も行いたいと思っています。
>>落ち着きましたら、次の課題であるシリーズの版画制作や、絵本制作、
>>アニメーションなどにも挑戦してみたいです。

◎Q12ー最後にこの「本のメル・マガ」講読の皆様へのメッセージを
◎お願いします。

>>→「童話物語」というたった一冊の本から、あなたの「旅」が始まるこ
>>と、そしてクローシャの世界を楽しんでいただくことができたら、と思
>>います。

◎ありがとうございました。

興味を持たれた方は、本屋で探して手に取ってみてください。

本屋に行って何千冊、何万冊、何十万冊の中から一冊を探し出す。
むやみに書店員にどこにあるかと聞いてはいけません。
読書と書店の楽しみが半減します。
書店で日本文学のところかな?児童書の童話ところかな?
エンデのところかな?なんて自分なりに見当つけて探し廻ってみましょう

たとえ目的の本が探し出せなくても、在庫が無くて手に入らなくても、
がっかりしてはいけません。
本の<知>と<血>の森or海をさまよっているだけで、別の本の
微かなささやきが聞こえてくるでしょう。

新たな本との出会いは、もうすでにはじまっています。

おしまい。
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■「マエストロ鏡玉のメディアジャーナル」/マエストロ鏡玉
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第二回 今後の方向性について2

この「本」のメルマガも人気投票制になるとのこと。メールマガジン界の週
刊少年ジャンプ。しかしジャンプって、今悲惨だよね。人気投票の末路。西
村繁男著『さらば、わが青春の『少年ジャンプ』』(幻冬社文庫)は必読。
この「本」のメルマガも、いずれ毎日発信するようになって、疲労困憊、い
ずれ執筆者同士疑心暗鬼で、殺伐かつ険悪になったりして。面白ければいい
んだけど。さて初回は方向性だけで何も言っていないという批判もありまし
た。めげずに今後の方向性の2回目。雑誌記事、書籍、展覧会などの紹介も
やっていきたいんですが。あとやりたいのは「東京やな店、いばる店」「東
京やな店、まずい店」。威張る店とかをありがたがったり、まずい店にわざ
わざいく人ってけっこういますし。本にぜんぜん関係ないですね。では本番。

「吉本隆明の「悪人正機頁」」

週刊プレイボーイでの連載。しかし中年男がこの雑誌を立ち読みする姿はな
んといってよいか。山本タカトさんのイラストもいつの間にかなくなって楽
しみも減っていますし。「J文学についてどう思うか」「もてるにはどうし
たらよいのでしょうか」といった若い読者の素朴な質問に答えるコーナー。
まだお元気そうなのが、なによりうれしい。その確認であります。

「吉成真由美 「脳科学最前線情報 31 ウーマンリブの誤算」」

 雑誌SINRA(シンラ)七月号掲載。吉成真由美さんは、脳科学が専門。
そしてノーベル賞受賞の利根川進さんの奥さん。「自立」と「キャリア指向」
に重点をおいたウーマンリブ運動、フェミニズム論の誤算を述べる。その運
動自体が、主婦の仕事内容をあまりに軽く見積もりすぎた(掃除・洗濯など
はその仕事の最も軽い部分で、これをもって主婦業の大部分とした)という
指摘はシンプルですが、フェミニズム論には疎い私にとって新鮮でした。

「シュルレアリスムの夢と幻想  レメディオス・バロ展」
新宿・伊勢丹美術館 〜6月25日(金)まで 入場料一般千円

 もう終わっていますが。彼女の絵を初めて見たのは、あのなつかしいサン
リオ文庫の、トマス・ピンチョン『競売ナンバー49の叫び』のカバーでし
た。この小説がピンチョンのなかでいちばん好きなのも、その影響でしょう
か。貧乏なくせに『レメディオス・バロ』(リブロポート)を7千円だか8
千円出して買ったのもよい思い出です。工作舎から新刊も出ましたね。絵自
体はかなりくせがあるので、好き嫌いがはっきりでるようです。個人的な所
蔵が多く、もう二度と見ることはできないかもしれません。
 話は変わりますが、サンリオ文庫って古本屋さんではまだ高く売れるので
しょうか。10年前、ジャリの『馬的思考』を鎌倉で千円で買って、つまん
ないから東京・池袋で売ったら九千円で買い取ってくれました。背が白いの
が高いんですよね。サンリオ文庫をやめたあと、当のサンリオはバブルで株
に失敗、潰れるかと思うくらいの多額の損失を出したのでした。

イアン・ハッキング著『偶然を飼いならす 統計学と第二次科学革命』木鐸
社、本体4500円、19990530

 私の今年上半期のベスト本はこれに決まり。「この博物誌的な書物を、好
奇心に満ちたすべての読者に捧げる」は著者の言葉。ちなみに、ビジネス・
経済学書として優秀な確率・統計を会得するための本ではないので念のため。
 決定論と偶然との関係が本題なのだろうけど、その意味するところがまだ
よく理解できていません。が、確率・統計学という「技術」がどのような社
会的・歴史的要請のもとで出現してきたか、つまり統計学と近代国家形成と
の関係について書かれた部分はよく分かりました。(参考「個人にかんする
政治テクノロジー」(M・フーコー『自己のテクノロジー』岩波書店所収))

 以上書き散らしましたが、うーむ、やはり現在のわたし自身の関心に「国
家」があるようです。次回はひとつ、論旨の明瞭なまとまったやつを書かな
いと。

ではまた。
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■「私小説的書店員」/キウ 
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「半年前にいた人は誰もいない」

 人事異動があり、店が変わった。新しい職場は今までいた店よりひとまわ
り大きく、都心にも少し近づいた。
 書店といえども会社だから人事異動はある。私自身は7年働いて、今度が
3店目。これは割りと少ない方だ。
 会社の傾向によるのかもしれないが、私の勤める会社はちょっと異動が多
過ぎのではないかと思っている。意味のない異動などしない方がいい。そう
でないと、奇妙な現象が起きる。

 前回も書いたとおり、書店はその多くの人員をアルバイトでやりくりして
いる。週5日、フルタイムで働いているアルバイトは正社員の2倍から3倍
いる。それに夜の繁忙時に入る学生のアルバイト。私の勤める会社では、以
前はアルバイトの契約年数の限度がなく、何年でも勤めていられた。賃金の
待遇も悪くなく、長い年数を勤めてくれていた。私が入社した頃は、他の先
輩社員からと同様、長く勤めるアルバイトから、商品のこと、流通のこと、
などを学んだ。彼等には勤めた年数だけの蓄積があったのだ。そのような、
社員、アルバイトの様々な蓄積の上に、書店は成り立っていた。
 何年か勤めると、会社には人事異動があり、店鋪において、社員はかなり
流動的な存在であることに気づいた。かなり激しい異動(例えば店の社員の
3分の2が変わってしまうような)があっても、店鋪運営に大きな支障をき
たさないでいられるのは、長い年月を勤めているアルバイトが何人もいるか
らなのだと気づいた。異動によって社員とアルバイトの間に新しい関係が形
成されることで、店は活性化される。うまくできていると思った。
 4年ほど前に、アルバイトの契約を2年で打ち切るという方針が会社から
出された。私は呆然とした。人件費を抑える、などの理由があげられていた
が、理解できなかった。時給を下げる、寸志を抑える、という話ならまだし
も、2年間で辞めてもらう、再雇用も禁止するのだという。新入社員の育成
上、長く勤めるアルバイトの存在はよくない、長く勤めているアルバイトが
社員にしろとの訴えを起こした場合、抗弁できない、などの理由もあげられ
ていたが、やはり理解できなかった。
 それによってどのようなことが起こったか。ひとつの売り場を例にとって
みる。
 社員が2名、フルタイムで入っているアルバイトが2名、あとは学生のア
ルバイトをやりくりして運営していた売り場。まずベテランのアルバイト2
名が辞めさせられた。そのあと入ってくるフリーターのアルバイトは長続き
しない。2年後には辞めなければならないという頭があるせいだろう、あく
までうちの仕事は腰かけなのだ。1年勤めてようやく戦力、という仕事なの
に続けてくれない。そのうち社員がひとり辞めてしまった。新しい社員が配
属される。そのあとすぐに人事異動があって、残っていたもう一人の社員が
動かされ、また別の社員が配属される。気づくと半年前まで働いていたフル
タイムの従業員は誰もいない。しかもその例としてあげた売り場は文具で、
新しく配属された社員は書籍から配属されたのだ。むちゃくちゃな異動だと
思う。当然、売り上げは落ちた。
 頭数さえ揃っていればいいとでも思っている書店経営者は、ぜひ、考え直
してほしい。
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■「美人書店員の赤裸々な日常」/あくびちゃん
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6月9日(水)

休日。夜友達とご飯を食べる約束をしている。とても良く晴れていたので、
早目に家を出て、青山・渋谷界隈へ向かう。

久しぶりにABC本店に足を運ぶ。ここは、選書からレイアウトまで、お店
のポリシーが感じられる数少ない書店の一つだと思う。しかも支店によっ
て、微妙にセレクトが違う。主張のある書店というのは、同業者としてはう
らやましい限りである。

書店員の仕事の1つに「欠本」という作業がある。自分の担当ジャンルの棚
に置いていない本を、目録や他店の棚を見てチェックし、後日発注をかける
。一見どこに行っても同じように感じられる棚ではあるが、このように担当
者の考えによって棚は作られている。棚は書店員の顔であり、棚を見ればそ
の担当者のレベルがわかってしまうというわけだ。

ABCはそういった意味で、かなりレベルの高い棚作りをしているため、大
変参考になる。また、「何か」読む物を探している人にも、適度なフロアの
広さにおさまっていて、よろしいかと思う。

私はここで、欠本ついでに必ず何か買ってしまうのだ、というよりも、買わ
されてしまうのだ。今日も『ゲルハルト・リヒター 97』(WAKO ART OF
 WORKS)を発見。早速購入。それから、意外な本を発見。

『現在に生きる遊牧民(ノマド)?新しい公共空間の創出に向けて』アルベル
ト・メルッチ  岩波書店 1997  本体価格4200円 山之内靖・貴堂嘉之・宮
崎かすみ訳

現代思想の1998年3月臨時増刊号『スチュアート・ホール』の特集で、上野俊
哉氏の『ディアスポラとノマド』という論文が取り挙げていた。中でも、山
之内靖氏がメルッチをラクラウやムフ、ホールとの関連で論じた解説『階級
概念の危機と「新しい社会運動」』について、特に言及している。この本は
、今でも問い合わせの多い本なのだが、残念ながら品切れ中。

品切れといえば、ここにはフッサールの『論理学研究』が全巻揃っていた。
やはり場所柄、売れるものが限られるということで、意外な掘り出し物に出
会えることもある。この本は当面復刊はされないだろうから、お探しの方は
早急にお買い求めを。

余談ですが、紀伊国屋新宿本店5階の芸術書の写真のコーナーに、写真の撮り
方の本とともに(何故だ?)、ウィリアム・J・ミッチェルの『リコンフィ
ギュアードアイ』(アスキー出版)を発見。これも品切れていて、しかもア
スキーは買切のため、返品が出来ない。このままだと、売れるまでずっと棚
に残ってしまうので、だんだん本が傷んでいく一方。今ならまだ状態は良い
ので、これもお早めにどうぞ。

書店員として一番つらいのは「在庫がありません」「出版社で品切です」と
、本を探しにきたお客様にお答えすることです。前者は売り場の努力で少し
は改善されるのでしょうが、後者はいかんともし難い。しかし、どうしても
、という方に、品切本がひょっとしたら手に入るかもしれない方法をお教え
します。売り場文の発注では、品切の回答で返って来る物も、客注(お客様
個人様の注文のこと)を切ると、入荷する可能性があります。時間がかかる
ことと美本でない可能性が高いのですが、多少の効果はあるはずです。客注
用にとってある本があるらしいです。あとは、良く行く書店で担当者と仲良
くなることです。「○○書店で見たことがあります」といった、有効な回答
が返ってくるかもしれません。

話は戻って、しばらく人文書の担当から離れているので、どうも勘が鈍って
しまったらしく、トリン・T・ミンハのビデオを見つけたときはショック。
ダゲレオ出版より5点出ている。『ありのままの場所』『姓はヴェト・名は
ナム』『核心を撃て』『愛のお話』『ルアッサンブラージュ』。ダゲレオ出
版といえば、『イメージフォーラム』。新装復刊しました。第1号は「表象
の世紀末/世紀末の表象」特集。本橋哲也氏による『トリン・T・ミンハを
読む・1  盲目の明察?トリン・ミンハの逗留』が収録されてます。

そろそろ約束の時間も迫ってきたので、待ち合わせの地へ向かう。今日はラ
フォーレの斜向かいの椿三十郎。レゲエのかかる居酒屋で、毎週水曜日はレ
ディースデーにつき2割引。ご飯もなかなかおいしく、充実した一日だった
。心残りは、ビブレの1階にあるジェラート屋(昔ハーゲンダッツがあった
ところ)でアイスを食べ残したこと。ここの、ミルク味が絶品。夏に1日2
個は食べるアイス狂がおすすめするのだから、間違いなし!

青山ブックセンター
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イメージフォーラム
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■あとがき
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>やりたい企画あるんだけど
>なに?
>自腹で買わされたモノ高額自慢!
>あるある、お、俺なんか・・某出版社の・・うう(崩れ落ちて号泣)
>でも、実際ひどい話多いんだよね。大手版元がバックマージンの大きい高
額商品(〜辞典、〜百科のたぐい)出すと、書店経営者が下っ端にノルマを
かける。下っ端は仕方なしに中小の出版社さんに押し売りする・・
>某首都圏の書店チェーンは、ノルマ分が給料天引きされるからもー必死。
買わないとお前のところの平積み全部外すぞーとか脅すそうな。
>しっかし、大手版元の高額給料の何割かは、下っ端書店員と中小出版社が
泣かされた分なんだからねーひどい話やね・・
>でも、地方の書店なんかも、自分とこで副業やってるもの、営業マンに売
りつけるらしいねー。宝石、服飾。野菜なんてのもあるらしい・・・。不景
気になってそういうとこ、真っ先にポシャッたらしいけど。
>読者の方で、買わされた高額自慢の方いらしゃったらメール頂ければと思
います。一等の方にハワイ旅行プレゼント(うそ)
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読み比べてみればわかりますが、他のものと比べて読みやすさ、訳の正確さ
が雲泥の差です。戦略理論における最古最善の書の全貌が明らかになります。
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