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1999.11.25.発行 vol.16 [便乗本は速さが命 号]
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■■ [本]のメルマガ 1999.11.25.発行
■■ vol.16
■■ mailmagazine of books [便乗本は速さが命 号]
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■CONTENTS-----------------------------------------------------------
★トピックス
→児童ポルノ法の真実
★「現代思想の最前線」/五月(ごがつ)
→間違いなく日本最高、最良のネグりの案内!!
★「脱・書店員日記」/aguni(あぐに)
→ネットの専門書店を案内
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■トピックス
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■児童ポルノ法の真実!!
児童ポルノ法が施行され、その解釈について様々なことが言われています
が、ここに真実の解釈を記します。なぜそう言いきれるか、すべて公の資
料にそう書いてあるからです。
児童ポルノ法は
1)コミックは適用外
(万一例外があるとすれば、実在する特定の個人の描写のみ)
2)水着は取り締まりの対象にならない
以下、その論拠です。
1)参議院法務小委員会の議事録、公明党の大森礼子議員(この議員立法
の発案者の一人)の発言に以下のようにあります。
(前の質問者の、法令の文案からなぜ[絵]という言葉が削除されたかと
いう質問に)
原文ママ:これは、まー、コミックも入るのかという、こういう議論もあ
りましたので、ま、誤解を招かないという趣旨もございます
つまり、<コミックも適用される>という誤解を招かないために、この法
律の文から、わざわざ[絵]という言葉を抜いている。つまり、コミック
は適用外なのです。 この法律の趣旨をものすごく拡大解釈しても(児童
の人権を守るということ)現存する特定の児童を描写したというものがひ
っかかるかどうか程度。しかしこういう例はまずありえません。『ベルセ
ルク』を外してる某K書店、法律を遵守したいなら、棚を元通りにしなさ
い。今の過剰反応ぶりは、あきらかに逆法律違反です。
2)『警察公論』10月号、警視庁少年課、酒井紀人氏の文章より
P31の一部ママ:「衣服の全部又は一部を着けない」とは、社会通念上
衣服を着用していない状態をいう。これに該当する具体的な例として、全
裸の状態や半裸の状態が考えられ、通常の水着を着用している場合にはこ
れに該当しないと考えられる。
よ――く、読んでください。警視庁のお巡りさんが、水着は該当しないと
書いているんです。なのに、なぜ返品が起こるのでしょう。なぜ某K書店
は『本上まなみ写真集』500冊を延々仕入に置きっぱなしにしたのでし
ょう。勉強不足もいいとこ。
今回の法律の問題はいくつかある。
1)条文のあまりのいい加減さ
これははっきりいって提案した国会議員に100%非がある。特に問題の
条文は
2条3 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、ビデオテープ、そ
の他の物であって、(以下略)
で、<その他の者>と書いといて、それの具体的な記述が一切ない。これ
ならいくらでも拡大解釈可能なザル法でしかない。国会議員の国語能力と
法案作成能力を疑わざるをえない。
2)なぜ、日書連などはきちんとこの法律の解釈を伝えない
以上のことは公の文章にすべて書いてあることです。これだけ書店の現場
が混乱(コミック返すは、水着写真返すは)しているのに、なぜ、せめて
資料を配って法律の意味合いを明らかにしない。自分の商売に関係なきゃ
一切取り上げない「言論の自由」利権屋である新潮や文春、その関連作家
が何もしないのは当然にしろ、これじゃ日書連なぞ存在価値がない。
3)警察はちゃんと勉強して欲しい
京都府警少年課の警官が出席のもと行われた京都の書店組合での「児童ポ
ルノ法」に関する勉強会で配られた資料があるのだが、そこに――
原文ママ
委員会よりの留意点
(1)定義にある視認できる性的刺激を与えうるものには、雑誌やビデオ
はもちろん、コミックも含まれます(以下略)
なぜ、法律の提案者である国会議員の意図を超えた解釈を、なぜこうもど
うどうと書いてしまえるのか理解に苦しみます。しかも警官立会い。ちゃ
んと法案と資料を読みこんでから勉強会して欲しい。
以上、真実をわかって頂けたでしょうか。
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■ 現代思想の最前線 /五月
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■現代思想の最前線:第六回「イタリア帰還前後のネグリ」
本誌編集長の掩耳さんに名付けていただいたものの、最前線のリポートだ
なんてはなはだ僭称もいいところだと我ながら思う。しかし、世界のあち
こちに目を向けて、色々な著者をネット上でこまめに追いかけていれば、
専業研究者でない私にも、注目すべき新刊や近刊が、毎月必ず見つけられ
るものらしい。このコーナーで取り上げられなかった現代思想の重要な新
刊はまだまだ存在する。
例えば前回はサイード自伝をリポートしたけれど、ちょうど同月(九月)
には同版元(クノップフ)から、かのノーベル賞経済学者アマルティア・
センの新刊『自由としての発展』が出版されていた。問題含みの最重要書
であることは間違いないし、欧米で活躍しているインド出身の他の著名知
識人の思想との対比を試みれば興味深い記事が書けそうだ。
エコフェミニズムのヴァンダナ・シヴァや、ポストコロニアル研究のスピ
ヴァク、ホミ・バーバの言説を思い浮かべる時、そこにのっぴきならない
諸問題がたちまち現れてくる気配がする。東洋文明と西洋文明、男性と女
性、知識人と民衆、旧植民地と先進国といった複雑な関係性が、容易には
解きがたい形で現れてくるだろう。
そんなわけで、このトピックは今後の課題としよう。来年にはシヴァの代
表作(マリア・ミースとの共著『エコフェミニズム』新曜社)や、バーバ
の第一論文集(『文化の場所』法政大学出版局)の邦訳がそれぞれ出るよ
うだし、スピヴァックの最新論文集『交通とアイデンティティ』が来年四
月にラウトレッジから刊行される。おそらくセンの新刊も複数の出版社が
版権取得に名乗りをあげているはずだ。
さて、今回取り上げるのは、近年再評価の機運が著しいイタリアの政治哲
学者アントニオ・ネグリ(一九三三〜)のここ数年の動向である。七〇年
代イタリアでは、民衆による反権力的自律運動(アウトノミア)がたいへ
ん盛んだったが、しだいにテロも勃発するようになり、政府によって大統
制が敷かれた。運動の中心者の一人であった彼は冤罪に問われて、結果、
国家的大弾圧を逃れ、約十四年間フランスに亡命したのである。彼はアル
チュセールやドゥルーズ、ガタリほか多数の知的交流を結んだ。
そのネグリが自ら選んでイタリアに帰国したのは一九九七年七月一日。
ローマ空港に降り立つや否や即日、レビッビア刑務所に収監された。その
後の彼はどうなったのか。
『構成的権力』(松籟社、九九年六月刊)の訳者あとがきの末尾には、
「ネグリの環境は獄外で「監視つきの自由」を享受しうる状態に改善され
たよう」だとある。これはネグリ本人からの情報によるもので、日付は九
九年一月十五日となっていいる。推測するに、彼はまだ仮釈放はされてい
ないものの、獄外労働の申請が裁判所に受け入れられつつあるのだろう。
実に三十年以上もの刑期は大幅に軽減されたものの、追加されたミラノの
欠席裁判の判決を足して十三年(ある別の情報源には十二年とも書かれて
いたのだが)の刑期が、亡命中のネグリに突き付けられた。帰国後の現在
は、亡命前の四年半の収監を合わせ、ようやく刑期を半分終えようか、と
いうところである。昨年一月の時点ではネグリの獄外労働の申請は却下さ
れていた。逃亡の危険性がある、と判断されたのである。
刑期の半分を終えれば、監視つきではあるけれども週に数日間は獄外に出
て生活することもできる。特別な混乱がなければついには仮釈放を勝ち取
ることができるだろう。
ネグリが帰国したのは、いまだに二百名近い同志が牢獄に繋がれ、またほ
ぼ同じ数の亡命者が帰国できないまま過ごしているという現状を打破した
いがためである。フランスやアメリカ、日本ではネグリへの特赦を求める
署名運動が展開されていたが、昨年に比べると本年はその勢いにやや物足
りないものがある。
以下に順を追って記述するのは、イタリア帰国前後にネグリが発表した論
文や発言、邦訳や雑誌特集などに関する情報である。日本でネグリは今ま
で不当に等閑視されてきた一面があったが、帰国後ふたたび注目され、本
年には待望の邦訳書も相次いでいる。一見、彼は私たちの目の前にその姿
を見せてくれているように思える。しかし本当のところ、私たちは再度ネ
グリを忘れようとしているのではあるまいか。実際すでに忘れ始めている
のではなかろうか。
忘却は悪政への加担になりうる。私たちはいつでも、誰が加担しているの
か、私たち自身はどうなのか、そして加担の構造とはどのようなものかを
見極める必要がある。
一九九七年五月、
二つの自著新刊『火刑の書』と『時間構成論序説』への序文をしたため
る。
一九九七年六月、
ローマの出版社カステルヴェッキから『火刑の書』を刊行。「プロレタリ
アと国家」「支配とサボタージュ」など、七〇年代におけるネグリの運動
論の骨子となる五つの著書ないし論文をまとめて再刊したもの。冒頭には
五月付けの序文「一九九七年:二十一年後」が添えられている。本書を収
録したシリーズの名前であるデリーヴェ・アップローディは後に独立した
書肆となった。
"I libri del rogo"1997,Castelvecchi,ISBN:88-8210-024-3,L.32.000
同年同月、
パリのフランス大学出版局から『構成的権力』の仏訳版が出版される。エ
ティエンヌ・バリバールとフランソワ・マトゥロンの翻訳。注記や序文等
の断り書きがないものの、九二年にイタリアで刊行された原著に大幅な加
筆と訂正が施されており、ネグリ本人の示唆によって、本書が日本語訳版
の底本となっている。
"Le pouvoir constituant:Essai sur les alternatives de la
modernite"
1997,PUF,ISBN2-13-048121-3,FF220.00
http://www.puf.com/
"Il potere costituente:saggio sulle alternative del moderno"1992,
SugarCo,ISBN88-7198-179-0,Out of print(L.40.000)
同年同月二五日から三〇日まで、
マウリツィオ・ラツァラートとラファエレ・ヴェントゥーラによるインタ
ビュー。後に『未来への帰還』と題されたドキュメンタリー・ヴィデオに
抄録され、発表された。より長いヴァージョンは九八年二月に『亡命』と
いう書名にて書籍として出版された。
"Retour vers le futur"L'Yeux ouverts(BP 624,92006 Nanterre CEDEX)
FF250.00
一九九七年七月一日、
イタリアへ帰国。ローマ郊外のレビッビア刑務所に再収監。六四才の彼は
空港で「イタリアの空が見たかった」と言い、収監後には「天国にいるよ
うだよ」と語ったという。
一九九七年九月、
ローマの出版社マニフェストリブリから『時間構成論序説:資本の時計と
共産主義的解放』を刊行。五月付けの序論。
"La costituzione del tempo.Prolegomeni:Orologi del capitale e
liberazione comunista"1997,Manifestolibri,ISBN:88-7285-136-4,
L.24.000
http://www.manifestolibri.it/
同年同月、
ニューヨークの出版社オートノメディアから『社会工場』が刊行された。
訳者、内容等詳細は調査中。オートノメディアのHPでの検索は不具合のま
まだ。
"Social factory"1997,Autonomedia,Out of print
http://www.autonomedia.org/
一九九七年十一月、
自著新刊『[新版]マルクスを超えるマルクス』への序論をレビッビア刑
務所にてしたためる。
一九九八年一月三十日、
東京・インパクト出版会の『インパクション』誌が106号の第二特集で
「トニ・ネグリに自由を」を組む。九七年九月にヴェネツィアで開催され
たとある会合にあてて書かれた手紙の邦訳、七九年四月にネグリが逮捕さ
れた際にジル・ドゥルーズが書いた「イタリアの判事への公開書簡」の邦
訳、市田良彦の解説によるネグリ帰国のいきさつと特赦要求運動につい
て、等々。
『インパクション』106号、1998年、インパクト出版会(発売=イザラ書
房)、ISBN:4-7554-7112-5、本体価1200円
http://www.jca.ax.apc.org/~impact/
一九九八年二月、
フランスの版元、千一夜出版から『亡命』が刊行された。フランソワ・
ロッソとアンヌ・ケリアンによる仏訳。ジョルジョ・アガンベンによる
「記憶と忘却の善用について」があとがきとして付されているほか、リベ
ラシオン紙の記事なども併録。後に邦訳されている。
"Exile"1998,Mille et une nuits,ISBN:2-84205-198-X,FF10.00
http://www.1001nuits.com/
一九九八年三月、
ローマの出版社マニフェストリブリから『[新版]マルクスを超えるマル
クス』を刊行。初版は七九年にフェルトゥリネッリから刊行されていた。
フェルトゥリネッリはネグリの多くの著書を出版していたが、七二年五月
に起きた社主の爆死以後、徐々に経営方針を変えていったと思われる。H
Pで社史を読むことができるが、左翼運動と密接に係わりあった過去はあ
まり多く語られていないように思える。
"Marx oltre Marx:Quaderno di lavoro sui Grundrisse"1998,
Manifestolibri,ISBN:88-7285-146-7,L.28.000
http://www.feltrinelli.it/
一九九八年三月、
東京・青土社の『現代思想』三月号で特集「ユーロ・ラディカリズム:ア
ントニオ・ネグリの思想圏」が組まれる。『ディオニュソスの労働』(人
文書院、近刊、酒井隆史+長原豊+崎山政毅による邦訳)からの部分訳、
ネグリが仲間とフランスで主催していた『前未来』誌の掲載論文の邦訳な
ど。
『現代思想』vol.26-3、1998年、青土社、ISBN:4-7917-1028-2、
本体価1238円
http://www.seidosha.co.jp/
一九九八年六月、
日本のジャーナリスト、西川恵がレビッビア獄中のネグリと面談、二時間
に及ぶインタビューを行った。概要は九九年春に刊行された雑誌『プチ・
モンド』二四号の西川氏の記事に伝えられているが、インタビューの詳細
がどの媒体に使用されたかは現在調査中。読者の方で西川氏をご存じの方
は当メルマガ編集部までご連絡を下さい!
「異邦の人々 11:二つの獄中会見」、『プチ・モンド』no.24、
pp.24-25。
1999年春刊
一九九八年九月、
自著新刊『スピノザ』へのあとがき「いま終わろうとして:スピノザとポ
ストモダン」をしたためる。
一九九八年十一月、
ローマの出版社デリーヴェ・アップローディから『スピノザ』を刊行。二
つの前著と一つの論文を合本した、ネグリのスピノザ論の集大成。「野生
の異例性」(八一年、フェルトゥリネッリ刊)「転覆者スピノザ」(九二
年、ペリカーニ刊)、「スピノザにおける民主制と永遠性」(九五年論
文)が収録されている。「野生の異例性」は水声社から邦訳近刊予定、九
五年論文は『現代思想』九六年十一月臨時増刊号「総特集:スピノザ」に
仏語ヴァージョンの邦訳(水嶋一憲による翻訳)が掲載されている。
"Spinoza"1998,Derive Approdi,ISBN:88-87423-09-1,L.38.000
http://www.ecn.org/deriveapprodi/
『現代思想』九六年十一月臨時増刊号「総特集:スピノザ」pp.26-37、
「民主制と永遠性、1996年、青土社、ISBN4-7917-1010-X、本体価1262円
一九九九年二月五日、
東京・岩波書店の『思想』誌にネグリの「価値と情動」の邦訳が掲載され
た。原文はイタリア語で九八年に執筆され(月日は未詳)、マイケル・
ハートによる英訳に基づいて日本語訳された。論文末尾に添えられた『思
想』編集部の注記によれば、ネグリはハートらとともに、現在五つの言語
で準備されつつある多言語文化理論誌「Traces」の編集同人を勤め
ることになっており、今回の寄稿は「Traces」の日本語版が『思
想』と提携して刊行される予定であることに拠っている。
『思想』1999年第二号、pp4-15。1999年、岩波書店、ISSN:0386-2755、本
体価1143円
http://www.iwanami.co.jp/
一九九九年二月十日、
京都・とっても便利出版部が『マルクスの現在』を刊行。本書第二部には
九八年五月八日に行われた小倉利丸と崎山政毅による対談「マルクスから
ネグリへ」と、九八年五月九日のリベラシオン紙に掲載された「ネグリ釈
放要求」記事(箱田徹による邦訳)が収録されている。大学生によって作
られた本書は大都市圏で売上を伸ばし、次世代におけるマルクスおよびネ
グリの再評価の機運の高まりを印象づけた。
『マルクスの現在』1999年、とっても便利出版部、ISBN:4-925095-01-3、
本体価1600円
一九九九年六月十五日、
京都・松籟社が『構成的権力』の邦訳を刊行。杉村昌昭と斉藤悦則による
翻訳。単行本としてはフェリックス・ガタリとの共著『自由の新たな空
間』の邦訳(八六年、朝日出版社)以来であり、単独著としては実に本邦
初の出版であった。英訳に先駆けて邦訳が出たことといい、本書の出現は
事件だった。底本には九七年のフランス語版が使用されているが、版権は
ミネソタ大学出版局と表記されており、フランス著作権事務所がエージェ
ントとして仲介している。確証はできないが、さる筋の話では、ネグリが
帰国する際にマイケル・ハートに著書の版権類の管理を委託したため、と
の説がある。
『構成的権力:近代のオルタナティブ』1999年、松籟社、
ISBN:4-87984-208-7、本体価4800円
一九九九年九月十五日、
ミネソタ大学出版局より『構成的権力』の英訳「反乱:構成的権力と近代
国家」が刊行。マウリツィア・ボスカッリによる翻訳。マイケル・ハート
やブライアン・マスミらの編集による名シリーズ「セオリー・アウト・オ
ヴ・バウンズ」の第十五巻目として組み込まれたことはいいとしても、ど
うしてこのような英訳タイトルにしてしまったのか、理解に苦しむ。
"Insurgencies:Constituent power and the modern state"1999,
University of Minnesota Press,ISBN:0-8166-2275-2,$25.95
http://www.upress.umn.edu/
一九九九年十月三十一日、
東京・インパクト出版会が『未来への帰還』を刊行。本書は『亡命』の邦
訳(杉村昌昭による翻訳)である。オビに宣伝されている通り、「ネグリ
入門」として格好の読本。
『未来への帰還:ポスト資本主義への道』1999年、インパクト出版会、
ISBN:4-7554-0094-5、本体1500円
※上記書目については、比較的分かりやすい内容であるせいか、ときおり
出食わす不適切な翻訳が目立ってしまうのが残念。語順によって意味が通
りにくくなっている箇所が見受けられるほか、もっとも分かりやすいとこ
ろだと
70頁4行目の「カリブドとシルラ」とある固有名詞は、「カリュブディス
とスキュラ」とするべきだろう。さらにこの箇所には訳者によるものと思
われる丁寧な補足「〔大波と暗礁〕」が付されているが、カリュブディス
は大波というより大渦巻である。校正に時間的余裕がなかったのだろう
か。
一九九九年十二月、
東京・現代企画室より『転覆の政治学』を刊行予定。原著は八九年にポラ
イティ・プレスより刊行された英語圏独自の論文集で、ジェイムズ・
ニューウェルによる英訳にネグリの盟友ヤン・ムーリエ=ブータンによる序
論が付されている。小倉利丸による邦訳。
『転覆の政治学:21世紀へ向けての宣言』1999年、現代企画室、
ISBN:4-7738-9913-1、本体価3500円
http://www.shohyo.co.jp/gendai/
"The politics of subversion:A manifesto for the twenty first
century"1989,Polity Press,ISBN:0-7456-0601-6,$58.95
※上記原書をかつてジュンク堂書店池袋店の人文書コーナーが陳列したと
ころ、高額にもかかわらず瞬く間に売れてしまった、とは元担当者Sさん
の弁。同書店現代思想棚での洋書と和書のミックスには目を見張るものが
ある。
http://www.junkudo.co.jp/
二〇〇〇年一月、
ハーヴァード大学出版局よりネグリとマイケル・ハートの共著第二弾『帝
国』が刊行される予定。大いに期待。
"Empire"2000,Harvard University Press,ISBN:0-674-2512-0,価格未定
http://www.hup.harvard.edu/
二〇〇五年、
ネグリの刑期が完了する予定。ネグリ釈放を求める活動の現状は以下のサ
イトで情報を得ることができる。
http://lists.village.virginia.edu/~forks/TNmain.htm
以上が今回で紹介できる情報のすべてだが、帰還前のネグリのプロフィー
ルや書誌情報は『転覆の政治学』の刊行に合わせ、有志によって東京の書
店の一部店頭に小冊子の形で無料配布されるかもしれない。続報は次号の
本誌十二月五日号をご覧下さい。
[99年11月23日文責:五月]
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■ 「脱書店員電脳日記」/aguni(あぐに)
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第7回 インターネット・ブックマップ〜専門書店編1
いわゆる自称「本好き」な人が口を揃えて言うことには、本屋がみな同じ
ようになってしまった。新刊をどーんと積んで売っているだけ。ドラッグス
トアかスーパーマーケットみたいで、本を探そうと思うとなかったりするし
欲しいジャンルの本が揃っていなかったりする。どこかちゃんと本が揃って
いる本屋はないものだろうか? ちゃんちゃん。
これは一見批判に見えて批判ではない。というのも、いわゆる本屋という
のは新刊を売るところなのだから、そこで既刊本を探そうというのが元々間
違っているのである。
「本」は今やソフトである。パソコンのソフトやゲームソフト、ビデオ、
CDなどと同じように、コンテンツを消費するものなのである。それは消費
者だけがそう思っているわけではない。メーカーだってそう思っている。理
解していないのは一部の「本好き」だけである。
現象はすでに始まっている。
例えばプレステのゲームには、「ベスト」というシリーズがある。これは
前に売れた作品を価格を安くして販売するというものだ。狙いはもちろん中
古市場に客が流れるのを防ぐためだ。(中古販売の是非を問う裁判にも負け
たしね。)
書籍においてこの機能を果たしているものが文庫だ。最近ではものによっ
ては単行本が1年でノベルスになり、翌年には文庫になったりしている。一
粒で三度美味しいのである。
しかも出版業界ではこの「ベスト」を元のメーカーと関係なくできるとこ
ろが強み(?)である。例えば講談社学術文庫などはたいてい学術系出版社
から昔出ていた本をばんばん出している。ちなみに手元にあった小松和彦さ
んの『憑霊信仰論』(講談社学術文庫)などは解説に「一九八二年に伝統と
現代社より刊行され、一九八四年には新たに二編の論文(「タイトル略」)
を加えて、ありな書房から刊行されたものである、とある。なんだこりゃ。
さらに著者の了解さえあれば別に前に出ていた出版社に断る必要はない、
というのがこの世界の恐ろしいところである。もちろんだからといってまだ
生きている本を文庫にしたりはしないだろうし、「礼儀として」断りの電話
は入れる慣習にはなっているが、元の出版社で品切になっていたり、そもそ
も出版社がツブれたりしているとわりあい平気で大手出版社から文庫になっ
てたりする。法的には何の問題もない。
これは小説でも同様で、文庫本の解説の前にはたいてい前の出版社が書い
てったりする。ちなみにたまたま棚にあった東野圭吾さんの講談社文庫の場
合、双葉社、徳間ノベルズ、中央公論社・・・。すごいことになっている。
文庫が出ればハードカバーを定価で買おうなんて人はいなくなるわけで、つ
まりは元の本が売れなくなる。こうして既刊本は殺されていくのだ。
前にいた会社の本店の店長で「文庫は本じゃない」とのたまった方がいた
けれども、至言である。文庫は書籍のデータベースであり、メモリーチップ
なのである。とすれば、今はまだ実験中の域を出ない電子書籍に取ってかわ
られるのも時間の問題だろう。
ちなみに角川書店から出ているダグラス・クープランドの「ジェネレーシ
ョンX」は単行本のときにはサイケな黄緑の表紙で、開くと見開き上下二段
の間にカットや解説が入っていてなかなかオシャレな本だったが、今では文
庫にして台無しにしてしまっている。これがヒドイ出来なので、単行本を持
っている人は是非ご覧になっていただきたい。泣けてくる。そういや角川書
店といえばなんだ、あのザ・テレビジョン文庫ってのは?
それはともかく書籍がソフト商品化し、こう寿命が短くなってしまうと、
書店が新刊を売れる間に売り逃すな、という方向に向かうのも当たり前だろ
う。発売時にイベントを仕掛け、お祭りさわぎをして販売し、すぐに売り切
る。これが販売手法の主流になっている。特に大手出版社が大枚の広告費を
はたいて宣伝してくれる、いわゆる仕掛けたベストセラーというのは書店が
楽して儲かる貴重なめったにないチャンスである。ワゴンでも重陳台にでも
ドカンと積んで売るべきである。考えてみよう。納品時に同じ本を50冊積
むのと50冊納品するのとどちらが手間を喰うのか。前者は5分。後者は少
なくとも30分以上はかかるだろう。ジャンルがバラバラなら1時間以上は
かかるに違いない。どちらが売れても利益は変わらないとしたら、だったら
チマチマ売れる本よりどかんと売れる本を扱っていた方がいい。
しかしお客さんの方から見れば問題がなくもない。一般的に言って、新刊
の中からいい本を探そうと思うとこれが難しい。というのも新刊というのは
時間や巷間の篩にかけられていないからである。ここで言う「いい本」とい
うのは「充実していてしかも安い本」である。逆ではない。「安いわりに充
実している本」では決してない。そういった安物買いの銭失い本というのが
世の中にはいっぱいあるのだ。こうした本はソフトというより情報だけの本
であり、一回読めばもう必要のない本だったりする。すぐに中古市場に流れ
て古本屋・新古書屋で格安で売っていたりするのだ。玉石混交はなはだしい
昨今、見極めて買わねばならない。
しかし本を買う我々としては、この世に流通している全ての本の中から選
んで買うことなどできない。本の良し悪しは読んでみればわかるのだろうけ
れども、本屋で全部読んでいたら買う本がなくなる。時間もないし、だいた
い選ぶべき選択肢が揃っていないのでは吟味しようがない。従って誰かの判
断でピックアップしてもらったものの中から選ぶことになるわけだが、その
選択が信頼できるかどうか。これを判断するのが最初の段階なのである。と
いうわけで我々は日夜、信頼できる書店を探すハメになるわけだが、それが
なかなかなかったりする。こうしてお客さんはきちんと良書を選択している
書店を求めてゾンビのごとくさまよい、一方で大書店は本の安売りスーパー
マーケットを目指すようになり、中小書店は利益が出ずに潰れていく、とい
う構図ができあがる。お客さんはそのうち面倒くさくなり、必要な情報はイ
ンターネットで仕入れるか、という感じになる(極論)。書籍や本というメ
ディアに対する不信感は高まるばかりだ。この状況、何とかならないだろう
か?
というわけで今回ご紹介するのはネットの世界に展開している専門書店で
ある。専門書店とは専門分野を持った書店のことであるが、その性格上、既
刊本の存在がデータベースの基本になる。専門知識という形でデータを蓄え
ており、我々に本を選択し、紹介してくれる。これが実際の書店ではなかな
か難しい。古本屋ならまだしも、特に新刊書店ということになると商売もな
かなか困難だろう。専門分野を持とうとしてもどうしても取次の問題があっ
て、なかなか思い切ったジャンルの書店は実際には作れない。というのも専
門取次のジャンルは人文や理工書、学習参考書などに限られていて、そうい
う取次が使えなければどんなに専門性を維持しようとしても、大量の新刊の
洪水に飲み込まれてしまうのがオチだからである。
しかしネットの世界ではぽつぽつと現れてきているようである。洋書なん
てのはまあ、その顕著な例だろう。和書にしても、例えばクロネコヤマトの
ブックサービスは書店客注向けに書店に書籍を卸すサービスを開始したとい
う。そうしたサービスを今後もっと簡単に活用できるようになれば、こうし
た新しいタイプの書店が新刊書店の分野でもっと増えていくことだろう。
皮肉なことに、ネットの世界で一番目立っている専門書店は洋書と児童書
である。何が皮肉かと言えば、このジャンル、現在の書店店頭ではあまり売
れないとされているジャンルなのだ。
児童書のジャンルからいくつか見ていこう。
□児童書□
●ピーターハウス
http://www.netmarketweb.com/bookstore/peter/peter.html
ジャンルを「幼児向きコース/2、3才前後向き」「幼児向きコース/4、5才
前後向き」「小学校低学年」「小学校中学年」「小学校高学年」「中学生コ
ース〜大人」「大型絵本コース」「最新復刻絵本のご紹介」に分けて紹介し
ている。
●本のペンギン堂
http://www.penguin-books.co.jp/
現在、児童書専門の老舗出版社6社の児童書600点あまりを取り扱ってい
る。掲示板を見ると絶版本の問い合わせなどもあって楽しい。
●Book Shop Sarana(ブックショップサラナ)
http://www.bl.mmtr.or.jp/~sarana/
「こどもの本を中心に、人文書・文学書、洋書など、良質の本との出会いを
皆さんに提供する本やです。」とのこと。Sarana Book Clubは年齢に応じて
こどもの本をセレクトして通販という形で送ってくれるというシステム。面
白い。
●子供の本の古本屋みわ書房
http://member.nifty.ne.jp/kodomohonmiwa/
絶版本や昔の児童書などがある。「戦前児童読み物」なんてのは当時子供だ
った人が買うんだろう。
一般の書店でなかなか買えないようなジャンルのものではこんなものもあ
る。続いて楽譜と映画関係の書籍を取り扱うサイトだ。
□楽譜□
●楽譜屋
http://www.gakufuya.com/
楽譜・バンドスコア・音楽書籍の通信販売サービス。GLAYからショパン
から何でもあるが、棚(リスト)がないのが残念。
●楽譜ネット
http://www.gakufu.ne.jp/GakufuNet/
こちらも検索のみ。楽器で検索できると便利なのだが。
□映画(パンフレット)□
●シネビーム
http://www.shihodo.com/
映画関係古書販売店。映画の本から雑誌、ポスターまで取り扱っている。
●たなべ書店
http://www.tanabeshoten.co.jp/index.html
映画パンフレット在庫2万点通信販売というからすごい。
まだ他にもあるのだが、全ては紹介しきれない。他のジャンルについては
また次回!!
秋の夜長、あなたもネットでお気に入りの書店を見つけてはいかが?
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