2004.04.05.発行 vol.173 [戦時下の配給 号]

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■■  [本]のメルマガ                              2004.04.05.発行
■■                                                    vol.173
■■   mailmagazine of books             [戦時下の配給 号]
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■■     創刊は1999年5月10日、現在の読者数は6515名です
■■ 「まぐまぐ」で、殿堂入りメールマガジンのひとつに選ばれました
■CONTENTS-----------------------------------------------------------

★「脱書脳記3」/aguni(あぐに)
→ 本という商材(その1)

★「出版☆広告批評」第3回/グッドスピード
→ チョー魔法な書名と惹句

★マエストロ鏡玉のメディア・ジャーナル
→ どうにもこまった状況です

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■トピックス
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◆第26回リブロ・コミカレ特別セミナーのお知らせ
石川准さん×上野千鶴子さん対談講演会
「聴くことと語ることをめぐる当事者学」

日時   4月6日(火)19時から20時半まで
場所   池袋西武イルムス館8階 コミュニティ・カレッジ3.4番教室
チケット 1000円(税込み)リブロ池袋店 B1 注文カウンターにて発売中。
問合せ先 リブロ池袋店  03-5949-2933
お電話での予約も承っておりますその場合は当日会場入り口にて精算。
☆今回の講演会は、手話通訳つきです。

石川准氏は全盲の社会学者&プログラマ。東大入学後アメリカに留学し、ソフ
トウェアを開発するかたわらアイデンティティ・ポリティックスについて論じ
る。昨年設立された障害学会の初代会長でもある。 そんな「できる」障害者
である石川氏が、「できないこと、弱いこと」について自在に語ったのが
『見えないものと見えるもの――社交とアシストの障害学』
(ケアをひらくシリーズ・医学書院)だ。
「存在証明に汲々としている普段の私から最も遠いところにある〈ケア〉とか
〈アシスト〉とか〈人とのつながり〉について考えてみたら、すごくおもしろ
かった」と石川氏は言う。

一方、女性運動に長くかかわり、女性学のパイオニアでもある上野千鶴子氏は、
昨年10月に刊行した『当事者主権』(中西正司氏との共著、岩波新書)で、障
害者・女性・患者らの当事者運動の連携を呼びかけて話題を呼んだ。また、北
海道浦河町にある"脱力系"精神障害者の当事者グループ「べてるの家」との交
流ぶりも知られるところだ。上野氏は「語る人」である一方で、一貫して、口
ごもりがちな当事者の語りに耳を傾ける「聴く人」でもあった。

女性運動と障害者運動は、かつて近づいたり離れたり、さまざまなかたちで出
会ったり、出会いそびれてきた。語ることと聴くことの達人同士は、今度はど
んな出会い方をするのだろうか。

◆カフェ・リブロ トークサロン

「ひとの力をひきだす仕事としての翻訳」
金原瑞人(翻訳家)&西村佳哲(働き方研究家)トークショー

“人の力をひきだす仕事”がいま社会の中で重要度を高めているのではないか、
そんな視点から翻訳家の仕事に迫る試み。「自分の仕事をつくる」(晶文社)
を書いた西村佳哲氏が、数々の海外ヤングアダルト作品の翻訳を手がけてきた
あの金原瑞人氏にインタビュー!

日時   4月16日(金)19時から
場所   リブロ東池袋店内 カフェリブロ
     (豊島区東池袋3-4-3池袋イーストビル1階 
      サンシャイン通り・東急ハンズの斜め向かい)
参加費  1000円(税込・ワンドリンク付き)
定員   50名 
申し込み リブロ東池袋店 03-5954-7730(電話予約もOK)

●ジュンク堂書店池袋店
椎名誠「本と読書の話1」 5月2日(日)午後3時より

※お申込いただいた方から「抽選で50名の方」に入場いただくことになります。
お申込は4月25日締切です。当選の方にはご連絡を差し上げます。
午後1時からは7階の「シーナ書店なのだ。」にて椎名誠店長のご挨拶あり。

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■【脱書脳記3】/aguni(あぐに)
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その9 本という商材(その1)

 さて、今回からは前回のお約束通り、本という商材について語っていく。
最初に登場いただくのは、電子書籍の新しい潮流である。

・ソニーの e-Book リーダー LIBRIe
  http://www.sony.jp/products/Consumer/LIBRIE/products/products_01.html

 正直に言って、ここまでのものを作ってくるとは思っていなかった。さすが
はソニー、デザインで本気にさせるとすごい。あえてネット的な表現でダサく
言えば、キター!という感じである。さすがに4万円という価格では買うのは
躊躇するが、正直、欲しい。誰かに買ってもらいたい(笑)。言っては悪いけ
れども、松下の ΣBook と比べるとプレステと3DOくらいの違いがあるよう
に思う。これはきっとデザインした人の世代の差、なんだと思う。

・松下の ΣBook
  https://www.sigmabook.jp/SigmaBook/Entrance.do

 私は、数年前から電子書籍にこだわってウォッチしているのだけれども、そ
もそも可能性があると思ったのは、携帯の着メロのヒットの理由を知ったから
である。あれは電子コンテンツのダウンロードという商売に見えるが実のとこ
ろ、ビジネスの肝は「権利ビジネス」である。つまり、携帯にダウンロードし
てくるときにその人が買っているのはコンテンツではなく、コンテンツを使用
する権利、なのである。この仕組みを構築したからこそ、権利を持っている音
楽業界の支持を得てコンテンツを増やすことができ、着メロ市場は急速に拡大
した。だから商売の肝は「閉じられた端末」という構造にある。ダウンロード
したコンテンツがその端末からコピーできないことが、この商売を支える基礎
技術となった。

 だから私はパソコンやインターネットといった、開かれた世界での有料コン
テンツ・ビジネスには、実は懐疑的である。もちろん「金を払った人間が払っ
てない人間にタダで見せてやるもんかというようなコンテンツ」(例、e-ラー
ニング系)や、「そのとき、その瞬間に見ないと価値がなくなるコンテンツ」
(例、オンラインゲーム)あるいは「ある特定の人間にしか価値のないコンテ
ンツ」など、開かれたネットワークの中でも成功する有料コンテンツはあるだ
ろうが、しかし、そのためにせっかくの武器であるはずのネットワークの「伝
播性」というものを使えない。着メロやカメラ付き携帯が大ヒットしたのは、
要するに、誰もが持っていて、使ってみせることで広がる、という、ネットワ
ーク性をも持ち得た、というところにある。クローズドでありかつ伝播性も持
つ。これが大ヒットの秘密になる。

 つまり電子書籍の成功要因は、権利ビジネスとしての意味付けができるか、
というところと、その端末の魅力に左右される。勘違いしてはならないのは、
最後に勝つのは有力なコンテンツを口説いたところではなく、権利を持ってい
るところにきちんとビジネスをさせる仕組みを構築できるかどうか、といった
ところなのである。もちろん、当初は有力なコンテンツを持っているところが
伸してくるだろうが、それは最終的にはひっくり返る「水物」であり、コンテ
ンツをため込んだところが勝つ、というような類のビジネスではないのだ。

 ソニーの潔さは、電子書籍端末を明らかに、書籍の延長としては考えていな
いところにある。これは新しいデバイスであり、新しいサービスである。そう
考えれば、市場はいくらでも広がるだろう。そう、着メロが決してカラオケの
延長ではなかったように。

 と、ここまで読んできて、いつになったらタイトルの「本という商材」につ
いての話が出てくるんだ?と思われた方も多いかもしれない。さきほど、私は
「書籍の延長としては考えないところに電子書籍の市場が広がる」と書いた。
なぜ、書籍の延長としては考えていけないのだろう、という疑問が当然起こる
だろう。それは、私が、電子書籍は決して紙の書籍には勝てないと考えている
からだ。

 さきほども述べたように、電子書籍はデバイスが命である。しかし、このデ
バイスの操作性が紙の本のそれを超えることができるのかどうか、というとこ
ろを考えてみたい。私は、3つの点で絶対に無理だと思っている。ひとつは軽
さ、つまりは携帯性に優れているという点。ひとつは操作性、つまりは誰でも
自由に感性のままに操作できるユーザビリティを持てるか、というところ。そ
して最後にして最大の要素は、価格である。電子書籍はその端末をも含めて本
当に紙の書籍より安くできるのか。電子書籍は確かにリライタブル。コンテン
ツの置換が何度でも可能である。しかしでは、そもそもその端末の寿命は何年
と予測されているのだろうか。ハードとして壊れるかどうか、という意味では
ない。文化的に、という意味である。例えば携帯電話は3年で98%の人が買い
換えるというデータがある。新しいデバイスを作って売らないとメーカーは儲
からず、しかしそのサイクルが短いとユーザーにとっては値段分の利用価値が
なくなるというジレンマがある。減価償却できない端末を買い続ける人がどれ
だけいるのか、電子書籍端末は書籍同様、なくても生活には困らない商品だけ
に、その商品展開が注目される。

 で、ここまで考えた上で選択していただきたい。4万円で買える電子書籍端
末と4万円分の紙の本(図書券でもいいや)。単純に比較してしまった場合、
あなたはどっちを買いますか?

                                                        (この項続く)

             *   *   *

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■「出版☆広告批評」第3回/グッドスピード
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 「きゃああああああああクモだ!」
 これは何かの台詞ではない。れっきとした本のタイトルである。
 「週刊読書人」2004年4月2日号の第一面に掲載された評論社の出版広告に見
える本だ。L・モンクス著/まつかわまゆみ訳。本書のキャッチは「銀のクモ
の糸がほんとの宝石のようにかがやくよ!」。そして「クモちゃんは、人間の
ペットになりたいとおもった。でも…。」という説明がある。
 なんのこっちゃわからない。まあ、児童文学作品か絵本であるらしい。

 いうまでもなく、出版広告の要件はまず本のタイトル。私見によれば、さす
がに一見して驚くようなタイトルはそうそうない。ところがこれには驚いた。
翻訳書らしいので、原題の直訳かもしれないが、とにかく「あ」が8つあるタ
イトルなんてきわめて珍しい。しかも、「きゃああああああああ」の部分は、
広告では文字の大きさが徐々に大きくなっている。これが正式タイトルなんで
ある。これだけでもどんな内容の本なのか興味をそそる。

 評論社のその広告にはもう一点、『ピュア・デッド・マジック』という本も
掲載されている。「21世紀の『アダムズ・ファミリー』文学版」というキャッ
チで「うちの家族はチョー魔法」という副題がついている。うーん、「チョー
魔法」って何? いまどきの子どもたちはこうしたタイトルの本にどういう感
想を持つのだろうか? 

 ところで、こうした特異なタイトルの本は、店頭で購入するぶんにはいいが、
 たとえば、電話で問い合わせたり、注文する場合はどうなっちゃうんだろう
 か。「『きゃああああああああクモだ!』という本、ありますか?/
えっ?『きゃークモだ!』ですか? 少々お待ちください、調べて見ますので
……。えー、ちょっと見当たりませんね、そういうタイトルの本。/
『きゃークモだ!』じゃなくて『きゃああああああああクモだ!』です。「あ」
が8つです」なんていう会話が行なわれるのかもしれない。さらに書店に在庫
がなくて、書店員が版元(出版社)に問い合わせるとなると、そんな会話が
繰り返される……。でも、本のタイトルなんだから間違ってはいけない。

評論社 http://www.hyoronsha.co.jp/

(隔月掲載)

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■「マエストロ鏡玉のメディアジャーナル」/マエストロ鏡玉
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「二週間以上にわたって、平和運動家三人が、自衛隊のイラク派遣に反対する
ビラを配布したために警察留置場で勾留されていることにつき、強く抗議する」。
と、2004年3月18日付のアムネスティ・インターナショナルの発表にあった。

くわしくはウェブでご覧いただきたいのですが、
→ http://www.incl.ne.jp/ktrs/aijapan/news_lst.htm

この三人の家族に対しても嫌がらせ、家宅捜索であるとか、ノートやコンピュ
ータ類を押収されたことに対してアムネスティは強い懸念をしめし、「三人の
運動家は立川の警察留置場に勾留されており、逮捕後、毎日ほぼ8時間にも及ぶ
取調べを受けている。取り調べの最中には弁護人は立ち会っていない。アムネ
スティが受け取った情報によれば、彼らの取り調べを担当しているのは警視庁
の公安二課であり、この事件が公安事件として取り上げられていることを示唆
している」(同ページより引用)とのことだ。

 この事件を知って、日本がアメリカに同調してイラク戦争を肯定したとき、
余波としてのテロを心配するていどの認識だった私は、少々考え違いしていた
ことに気づいた。すでに日本は戦時下にあるのだ。「週刊文春」の発行差止を
した裁判官の判断といい、 「君が代」斉唱時に起立しなかった都立校の教職員
約180人を戒告などの処分した東京都教育委員会の決定といい、それを裏づける
事件・状況がこれからますます増えるだろう。アムネスティの懸念をよそに、
そのうち日本もトルコ並に「政治犯」の多い国になるかも知れない。

 イヤな時代だなーと憂いながら、最近はまってしまった焼酎に耽溺、逃避す
る。週末は日がな一日飲んでいる。焼酎ブームといわれる昨今、自分は本当に
時流に流されやすい人間だと思うと同時に、それだけの魅惑がこれにはあるな
ーとしみじみ思う。かたわらにある一升瓶のラベルにはこうある。

人 生 中 年 過
戴 仕 事 重 責
一 時 忘 浮 世
人 生 最 高 楽
非 栄 達 贅 沢
齧 煎 豆 罵 倒
歴 天 下 英 雄
呑 晴 耕 雨 読

人生なかばを過ぎ 戴く仕事の重責 益々重く
一時のゆとりを求めたし
人生最高の楽しみは 贅沢栄達にあらず
煎り豆を齧り 歴史の英雄豪傑を罵倒する
酒と楽しむ読書にこそあり

 さて焼酎の「研究」をしようと近くの図書館の料理本の棚をのぞくと、焼酎
に関する本は「焼酎のつくりかた」があるだけであった。さすがにつくるとこ
ろまではのめりこめない。田崎真也さんの『本格焼酎を愉しむ』(光文社新書
002)がないわけがなかろうということで、端末で検索してみると、理工・
科学書の棚に置かれていました。たしかに「醸造」は科学なのでしょうが。
それはともかく焼酎本に比して、ワイン本の数のその膨大なこと。そのウンチ
クとともに日常の食卓にどれだけ入りこむことができたのでしょうか。酒屋の
ワインのこれまた膨大な在庫をみるたびに経営を圧迫してやいないかと心配に
なってしまう。

 焼酎、とくに芋焼酎は原材料のサツマイモの生産量が限られている(農家が儲
からないから作らないんですね)せいかプレミア焼酎だけでなくとも品薄状態。
そのせいか、総額表示のせいか分かりませんが、この4月から値上がりすると行
きつけの酒屋から聞いて、3月末にいそいそと買い出しに行くと、焼酎は在庫一
掃状態。
「今は割り当て制だから、来月10日頃まで入荷しないよ、どのくらい入るのかも
分かんないんだよ。こんなに焼酎がないんじゃ、商売あがったりだよ」と言わ
れる始末。

 好きなお酒も配給制になったみたいで、どうにも切ない。

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■あとがき
イーラ作の『ニひきのこぐま』(こぐま社)を子どもと読みながら、この人、
子猫を空中になんども放り投げさせて、その写真をとったりしてたんだよな
ーと思い出した。このこぐま物語もさきに物語があって、写真をとってつけた
んだろう、と想像する。まあ50年も前の動物の扱いなんて、そんなものかと思
いますが。そういえば日本にも「子猫物語」なんてのがありました。(鏡玉)
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