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2000.5.25.発行 vol.34 [箸使うのが下手で 号]
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■■ [本]のメルマガ 2000.5.25.発行
■■ vol.34
■■ mailmagazine of books [箸使うのが下手で 号]
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■CONTENTS---------------------------------------------------------
★トピックス
★「現代思想の最前線」/五月(ごがつ)
→ジジェクの新刊が数珠繋ぎ!
★「脱・書店員日記」/aguni(あぐに)
→業界のムジュンへの更なる終わりなき問いかけ。予感…
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■トピックス
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■ペヨトル工房 続報
さる4月30日をもって解散、20年の歩みに終止符をうったペヨトル工房。
書店店頭から彼らの本が消えるのはおそらく今月中のことだろうが、一部の
書店では「さよならフェア」を行っているし、行う予定がある。まずは下記
のホームページで淡々とした「解散日記」を読み、カタログで刊行書を総チ
ェックしてみよう。http://www.tctv.ne.jp/members/peyotl/
■トラウマ理論の旗手キャシー・カルース来日!
心理学の鍵概念である「トラウマ」を人文諸科学の広域へと通底させ、各界
に思想的衝撃をもたらしている気鋭の学者カルースが来日。青山ブックセン
ター本店にて公開パネルディスカッションを行う。必聴! 来日記念で邦訳
刊行された編著書『トラウマへの探求』作品社・本体3800円も必読。
5月30日(火)19:00〜21:00「トラウマと証言の時代をめぐっ
て」パネラー:キャシー・カルース+高橋哲哉+下河辺美知子、会場:青山
ブックセンター青山本店カルチャーサロン、入場無料・要電話予約:03−
5485−5513、http://www.aoyamabc.co.jp/
!カルース編著『トラウマへの探求:証言の不可能性と可能性』の著者サイ
ン本を本誌読者に先行限定特別ご提供の予定! 書籍代3800円+消費税
+送料380円で代金引換にて取り扱いいたします。お問い合わせお申し込
みは作品社営業部sakuhin@jade.dti.ne.jpまで。めったにないカルース氏
ご本人のサイン本(作成交渉中)です。この機会をお見逃しなく!
■ベネディクト・アンダーソン+柄谷行人の注目シンポジウム!
6月10日(土)13:00〜18:00「国家と言語――21世紀への展
望」法政大学国際文化学部創設記念講演シンポジウム、メインスピーカー:
ベネディクト・アンダーソン+柄谷行人、コメンテーター:テッサ・モーリ
ス・スズキ+中島成久、司会:リービ英雄、会場:法政大学市ヶ谷キャンパ
ス・ボアソナードタワースカイホール、入場無料要予約:往復はがきにて下
記まで申し込み:102−8160東京都千代田区富士見2−17−1法政
大学国際文化学部係、お問い合わせ先:電話03−3264−9345(国
際文化学部係)。行くっきゃありませんね。http://www.hosei.ac.jp/
■マルク・ギョーム氏来日公演!
ジャック・アタリとの共著『アンチ・エコノミクス』法政大学出版局や、単
独著『資本とその分身:社会的コードの経済学批判』同上、最近ではボード
リヤールとの対談『世紀末の他者』紀伊國屋書店、昨年2月にはフランス本
国で『ネットの帝国』を刊行し、つとに著名なフランスの思想家ギョームが、
東京ドイツ文化センター主催のシンポジウム「未来を考える――デジタル社
会の思想:ヴィレム・フルッサーのコミュニケーション論とともに」に出席
する。
5月27日(土)15:00〜15:30「デジタル革命、知覚と理解への
影響」、会場:東京ドイツ文化センター/ドイツ文化会館ホール(200席)
東京都港区赤坂7−5−56(地下鉄青山一丁目A4出口徒歩10分・草月
ホール裏)参加無料・要申込:東京ドイツ文化センター:FAX03−35
86−3069、問合せ:同センター:TEL03−3584−3201。
シンポジウム全体の充実度は下記サイトにて要チェック!
http://www.goethe.de/os/tok/jpkonf.htm#V3
ギョームを招聘した日仏学院のサイトもチェック!
http://www.ifjtokyo.or.jp/japonais/
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■ 「現代思想の最前線」 /五月
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第12回「ジジェク、アンダーグラウンドな思想家」
通信網が地上を覆い、監視及び攻撃衛星が世界を嘗め尽くし、物理的に文化
は等質化して、情況を記述する文法が普遍的になればなるほど、アンダーグ
ラウンドは階級ならざる階級として醸しだされてくるだろう。常に背後の暗
黒へと後退しながら「居場所」を切り開いていく、蜃気楼のような饒舌が、
すでに私たちの身の回りに形成され始めている。世界観は崩壊する。錯覚か
ら解き放たれた時、あなたの隣にいる人は、あらためてどんなふうに見える?
社会はどんなふうに動いている?
ちょうど一年前、本誌が創刊されたとき、私の連載第1回目はスラヴォイ・
ジジェクの新刊が題目だった。偶然だが一巡した今回もジジェクを取り上げ
る。
またしてもジジェクがやった。先月(2000年4月)刊行された『はかな
い絶対者:あるいはなぜキリスト教の遺産は、勝ち取るに値するか』ヴァー
ソ社刊、である。コリント書の聖パウロから語り始め、原理主義に回収され
ないキリスト教のラディカルさを洗い出す。更にニューエイジの異教的スピ
リチュアリズムや脱構築的思考における擬似宗教感情等々のうわべだけ聖性
を装った新たなる蒙昧に立ち向かうために、マルクス主義者はキリスト教と
協働しなければならない、と説き及ぶのを読んで、ぎょっとしない読者はい
ないのではないか。
"The Fragile Absolute : Or, Why the Christian Legacy is Worth
Fighting For"
by Slavoj Zizek
April 2000, Verso Books, ISBN:1859847706
$23.00, Hardcover,192 pages, http://www.versobooks.com/
アジテイターとして? あるいは知的エンターテイナーとしてはジジェクは
一級であると言っておこう。そうした自覚があるようだが、それにしても彼
の健筆ぶり、知の再編成を目論む旺盛心、強欲ぶりは一定の評価を与えられ
うるだろう。彼の志向性はけして学問的専門的誠実さのそれではない。むし
ろ戦略的につねに主要な思潮をひっくり返すよう心がけているように見える。
逆転の発想を絶えず開いていくこと、ジジェクのその態度こそ「アンダーグ
ラウンド」的と呼びたいものだ。
以下は絨毯爆撃のように繰り出されるジジェクの新刊及び近刊予定である。
"The Art of the Ridiculous Sublime : On David Lynch's Lost
Highway" (Occasional Papers (Walter Chapin Simpson Center for
the Humanities), 1.)
by Slavoj Zizek
15/05/2000, University of Washington Press, ISBN:0295979259
$14.95, Paperback, 56 pages,
"An Utterly Dark Spot : Gaze and Body in Early Modern
Philosophy" (The Body, in Theory: Histories of Cultural
Materialism)
by Miran Bozovic, Slavoj Zizek
June 2000, University of Michigan Press, ISBN:047211140X
$34.50, Hardcover, 160 pages, http://www.press.umich.edu/
"Contingency, Hegemony, Universality : Contemporary Dialogues
on the Left"
by Judith Butler, Slavoj Zizek, Ernesto Laclau
June 2000, Verso Books, ISBN:185984278X
$20.00, Paperback, 300 pages, http://www.versobooks.com/
"The Fright of Real Tears : The Uses and Misuses of Lacan in
Film Theory"
by Slavoj Zizek (Editor)
June 2000, Indiana Univesty Press, ISBN:0851707548
$65.00, Hardcover, http://www.indiana.edu/~iupress/
"In Defense of History and Class Consciousness"
by Georg Lukacs, John Rees (Introduction), Slavoj Zizek,
Esther Leslie
July 2000, Verso Books, ISBN:1859847471
$23.00, Hardcover, 160 pages, http://www.versobooks.com/
デイヴィッド・リンチをめぐる小さな映画論であったり、ボジョヴィッチや
バトラーやラクラウとの共著であったり、ラカン派映画論の編者であったり、
ルカーチの古典の共訳・解説者であったりとはいえ、この3ヶ月で5点を出
そうというのだ(ただし4番目は昨年暮に刊行されるはずのものが遅延して
いるのだが)。びっくりするではないか。
そして更に来年初頭の最新書き下ろしまで予告が出ており、これが実質的な
『はかない絶対者』の次回作となろう。
"Did Someone Say Totalitarianism? : Four Interventions in
the Misuse of a Notion"
by Slavoj Zizek
January 2001, Verso Books, ISBN:1859847927
$22.00, Hardcover, 160 pages, http://www.versobooks.com/
アマゾン・コムの画面でこの本を検索すると、すでに書影が用意されている。
ここに映っている、とある二人の横顔、それは…各自ご確認いただこう。
アンダーグラウンド、それは今日まで忘れられ、挫折し、廃棄された思惟た
ちの堆積の場でもある。豊潤な記憶の場でもありえるし、危険な武器庫であ
るともいえる。ジジェクはしばしば「誤用」という言葉を使っているが、彼
もまたもっとも積極的な意味で思惟の遺産を活用してきた男である。世界の
思想的主潮流に対峙し、等質的に蔓延化しようとするイデオロギーに抗して
パルチザン的な言論活動を行っているその疾駆する横顔は、はたしてアンダ
ーグラウンドの病理か、快活に突き抜けた啓示的理性なのか、結局のところ
十全な評価を下せる批評家は日本には不在のように思える。
[2000年5月24日記す]
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■ 「脱書店員電脳日記」/aguni(あぐに)
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第十三回 書店員をヤメたときに、自分が見失ったモノ
前回は私が書店にいるときにカケていたものについて書いた。
今回は、書店を辞めたときに私が見失ったものについて書いてみる。
最初に言ってしまうと、それは、書籍への愛である。
いや、本への愛、と言い換えた方がしっくりくるかもしれない。
子供の頃、図書館の本を全部読んでやろうと思った。
小学校では、図書館の全集を片端から読んでいった。
卒業までには全部読むぞ、と思いながら。
閉じられ、背を向けた本にはいろいろなものがつまっていた。
時間を忘れさせてくれた。
それはそこから得たものをどうこうしようという気持ちではなく、
純粋に「知る」ことが、人の話を聞くことが楽しかったからに他ならない。
私はいつの間に、そうした感情を忘れさせられてしまったのだろう。
毎日のように押し寄せてくる書籍。
売れる売れないを瞬時に(相対的なものとして)判断して返品する。
よくよく考えるとその本のデキフデキではない。
売れるか売れないか、である。
新刊台の返品は、対抗馬がいるかいないかで決まる。
しかし新刊台ほど見ていてイタイものはない。
本というのは原則、自分一人が読むために買うものだ。
自分だけの知識を得たくて買うはずだ。
重鎮台?
ようするに、みんなが買ってるからお前も買え、と強制しているに過ぎない。
書店を辞め、作り手のハシッコに関わった。
編集作業を見ていて、ますます虚しくなった。
出版社は刊行点数さえ増えればいいからどんどん作り続ける。
実務的には無理だから、編集プロダクションに回す。
しかも利益は出さなきゃいけないから、安く上げようとする。
良心的な編プロはライターは生活させにゃあかんと思うから、常に火の車。
クオリティーは当然下がる。
おいおい。本末転倒ではないかい。
じゃ、作らなきゃいいじゃん。
でも自転車操業ではそうはいかないのだ。
こうして業界全体を外から批評すれば、書籍はいずれなくなる、とも思える。
しかし、私は本が好きだ。
出版バブルや雑誌の広告化はどうかと思う。
しかし、根本的に本というメディアが好きだ。
技術の発達は「好み」には先行しないはずだ。
技術も「人間」が作るものだからだ。
最近、あるきっかけでやっと思った。
書店を辞めたときに私が見失ったもの。
それは、書籍というメディアに対する愛情である。
まだ、間に合うかもしれない。
誰かがここで本への愛情をアピールできないだろうか。
「本はいずれなくなる」
識者はしたり顔で言う。
しかしパソコンの方が紙よりも寿命が短いのは自明の理だ。
デジタル化?
絶対的な「知」の崩壊?
理由はいくらでもつけられる。
エコロジー?
本はやがて消えて行く・・・。
私もそう思っている。ただし、このままでは。
しかし。
それは読者が決めることなのであって、
技術の進歩が決めることではないのだ。
この危機感が伝わることを祈りつつ。
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■あとがき
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昨晩、池袋駅の東口でとても迫力のある津軽三味線を聞けた。路上で、若い
男性が奏者。ギャラリーは年配男女が多かったが、若い人も聞いていた。盛
り上がってくると拍手が起こるし、ひとふし終わるとカゴに何人もの客がお
金を落としていく。僕も落とした。予定調和でも常連客でもない皆が惜しげ
もなく札を出しているのは驚きだった。いまどき珍しいくらいの大入り。高
円寺を拠点にあちこちでやっているとのこと。ヤマモトさんというその人の
活動を本誌はいつか紹介できるかもしれない。この関心は唐突なものではな
い。「書物と書店は路上へとつながっている」、それがテーゼだから。五月
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