2000.7.15.発行 vol.39 [ちょっと驚くような地味な本 号]

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■■  [本]のメルマガ                              2000.7.15.発行  
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■■       mailmagazine of books  [ちょっと驚くような地味な本 号] 
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■CONTENTS--------------------------------------------------------- 
★トピックス

★「全点報告 この店で買った本」/南陀楼綾繁
→お買い物日記、絶好調第三段です。

★「本の周りをうろついて・・」/湯川新一
→ケンブリッジ大学の方に研修旅行が長引いていて、今回もお休みです。

★「今日(こんにち)の芸術」/忘れっぽい天使
→現代芸術としてコミックを読み取る、というこの著者以外にはなし得ない
傑作評論です。

★「中国古典で浅学菲才が直る?」/掩耳(えんじ)
→人間って信頼できるの? 今にも続く問いの源泉を探ります
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■トピックス
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■ミニコミ書店
京都のギャラリーで、アートやカルチャーを中心とした期間限定のミニコミ
書店『BOOKS SOWAKA』が開催されます。ミニコミ誌約80誌の展
示即売が行われます。各誌とも、観客が自由に手に取って読むことができま
す。一般の書店ではなかなか手に入らないミニコミばかりです。お出かけ下
さい。7月21日(金)は、南陀楼綾繁が一日店長をつとめます。
[場所]ギャラリーそわか 京都市南区東寺東門前町90 TEL 075-691-7074
[期間]7月18日(火)−30日(日) 13:00−20:00(24日:休業、30日:18時ま
で)

■bk1、いよいよ本格オ−プン
顔の見える店員が書評や記事で本を紹介して販売する・・・。
全く新しいタイプのオンライン書店bk1がついに本格オープンしました。
http://www.bk1.co.jp

■青山ブックセンターのイベント情報
今後注目のイベントを2つご紹介します。
・小熊英二氏講演会「インドから日本を見る」
7月31日(月)「インド日記 牛とコンピュータの国から」(新曜社)
出版記念。19:00より。
・テッサ=モーリス・鈴木×吉見俊哉氏対談の夕べ「辺境における近代の経
験」19:00より。
「辺境から眺める」(みすず書房より7月18日刊行予定)出版記念。
ご予約、お問い合わせは 03−5485−5513 まで。
その他にも話題のイベントが一杯です。詳しくは、
http://page.freett.com/anjienji/index.html 
のBBSまで。
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■「全点報告 この店で買った本」/南陀楼綾繁
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全点報告 この店で買った本
第3回 雨降りだからミステリーでも読もう、いや、やっぱり本屋へ行こう

一カ月に買った新刊書・雑誌の全点を、買った書店名をともに公開する買い
物記録。第三回目となりました。はじめにお詫び。前回は分量が多すぎて、
一号の半分をぼくの原稿が占めてしまったそうだ。すいません。今回からは
できるだけコメントは短くします。でも、本を多く買った月ほど書きたいコ
トも多いんだよなあ。ついでにお願い。読者の方で、「ココはオススメ!」
という新刊書店があったら、ぜひ編集部までメールで教えてください。首都
圏ならナニかのついでに足を伸ばします。ひとつヨロシク。

六月一日
◎ブックセンター・リブロ(東池袋店)
青山光二『金銭と掟』双葉文庫、514円(税別、以下同じ)
『裏モノJAPAN』7月号、838円
【ひとこと】池袋のリブロといえば西武のなか、となるのだが、ちょっと離
れたところにもう一つリブロがある。ここは小ぢんまりとしていて、すぐ見
て回れる。店内には「カフェ・リブロ」という喫茶店が併設されているので
、コーヒーを飲みながら買った本をパラパラ。コーヒーの代金を書店のレジ
で支払うのはヘンな感じ。店の外観や雰囲気をどっかで知ってるよなあと考
えたら、藤沢のリブロだった。喫茶店が入っているところも同じだ。

六月三日
◎東京堂書店
永井良和『探偵の社会史1 尾行者たちの街角』世織書房、2500円
長田弘『読書百遍』岩波書店、3000円
◎書泉グランデ
青山光二『砂時計が語る』双葉社、1800円
唐沢俊一『カラサワ堂変書目録』学陽書房、1600円

六月四日
◎ブックセンター・リブロ(青山店)
千野栄一『ビールと古本のプラハ』白水社(Uブックス)900円
山田芳裕『しわあせ』美術出版社、1300円
海野十三の会『海野十三メモリアルブック』先鋭疾風社、1200円
【ひとこと】この店の新刊コーナーは、ちょっと驚くような地味な本を平積
みにしていて、たのもしい。『海野十三メモリアルブック』は徳島の小西昌
幸さんというヒトが発行した海野の資料集だ。

六月十日
◎丸善(お茶の水店)
キース・ピータースン『暗闇の終わり』創元推理文庫、540円
キース・ピータースン『裁きの街』創元推理文庫、660円
松本清張『文豪』文春文庫、562円
横田順彌『明治ふしぎ写真館』東京書籍、1600円
『噂の真相』7月号、470円
◎ディスクユニオン(お茶の水1号店)
『ロック画報』第1号、1200円

六月十二日
◎某店(市ヶ谷)
『現代』7月号
【ひとこと】相変わらず客がいないこの店には、総合雑誌がナゼかよく似合
う。

六月十四日
◎ブックマート市谷(市谷)
『世界』7月号、743円
『本の雑誌』7月号、505円
『ユリイカ』6月臨時増刊(田中小実昌の世界) 1238円

六月十八日
◎三省堂書店(神田本店)
小野高裕他『モダニズム出版社の光芒 プラトン社の一九二〇年代』淡光社
、3500円
草森紳一『あやかり富士 随筆「江戸のデザイン」』翔泳社、4743円
イタロ・カルヴィーノ『水に流して カルヴィーノ文学・社会評論』朝日新
聞社、2500円

小田光雄『ブックオフと出版業界 ブックオフ・ビジネスの実像』ぱる出版
、1800円
戸井昌造『沖縄絵本』平凡社ライブラリー、1600円
【ひとこと】以前に「この店の上の階にはあまり行かない」などと書いたが
、ここしばらくはいわゆる「かたい本」が読みたくなって、人文社会書の階
をうろうろしている。
◎書肆アクセス
岡友幸編『上野英信の肖像』海鳥社、2200円
【ひとこと】この本は、アクセスのホームページ
(http://www.bekkoame.ne.jp/~much/access/shop/shoppage.html)で上野
英信の本がまとめて紹介されていたので知った。まったく気にしてなかった
本だが、紹介文を読んだだけで買いに行ってしまう。ひょっとして、書店に
とって一番都合のイイ客なのだろうか?

◎東京堂書店
小幡貴一他編『不死蝶 岸田森』ワイズ出版、2800円
内田義彦セレクション1『生きること 学ぶこと』藤原書店、2000円

六月二十一日
◎ジュンク堂書店(池袋店)
田沼武能『作家の風貌』ちくま文庫、800円
吉田戦車『タイヤ』ちくま文庫、580円
堀井憲一郎『馬鹿が止まらない』双葉文庫、476円
黒川博行『麻雀放蕩記』双葉文庫、476円
【ひとこと】たまたま早起きしたので、開店ジャストに店の前に着く。朝一
番の平台が魚河岸のように新鮮に感じてしまうのはオレだけなのか? 人が
あまりいないのも、気持ちいい。全国の小学校でやっている「朝の三分間読
書運動」ならぬ、出勤前の朝の三十分書店巡回である。
◎ブックセンター・リブロ(池袋店)
長部日出雄『二十世紀を見抜いた男 マックス・ヴェーバー物語』新潮社、
2300円
小田光雄『〈郊外〉の誕生と死』青弓社、2000円
【ひとこと】ジュンク堂の袋を持ってレジに行くと、店員が「一緒にお入れ
しましょうか?」。親切から云っているようだが、ひょっとして、ジュンク
堂の袋を隠して、リブロの袋に入れると買ったような気分になるのだろうか
と邪推。リブロの袋を持ってジュンク堂で本を買うときにも、同じコト云わ
れるよなァ。平積みになっていた『〈郊外〉の誕生と死』は、同じ著者の『
ブックオフと出版業界』(ぱる出版)をカバンに入れて読んでいるので、つ
い買ってしまう。数年前に出た本だが、小田の本が売れていることを知って
いる店員によるタイムリーな並べ方だと思う。
◎書肆アクセス
天野忠『我が感傷的アンソロジイ』書肆山田、2000円
『中南米マガジン』第1号?6号、各500円
『朱夏』第14号、1381円
『LB中洲通信』7月号、477円

六月二十三日
◎旭屋書店(銀座店)
ユルゲン・シェベラ『ベルリンのカフェ 黄金の一九二〇年代』大修館書店
、2600円森達也『「A」撮影日誌 オウム施設で過ごした13ヵ月』現代書館
、2000円

六月二十五日(日)
◎大盛堂書店
安岡章太郎『戦後文学放浪記』岩波新書、660円
『裏モノJAPAN』8月号、880円
喜多村理子『徴兵・戦争と民衆』吉川弘文館、2200円
『史学雑誌』1999年の歴史学界(回顧と展望)2886円
◎パルコブックセンター(渋谷店)
生田耕作評論集成2『文人を偲ぶ』奢バ(さんずいに霸)都館、4175円
東海林さだお『とんかつ奇々怪々』文藝春秋、1048円
非日常実用講座3『戦場の歩き方』同文新書、800円
◎ブックファースト(渋谷店)
堀井憲一郎『ひょっとして馬鹿?』世界文化社、1100円
堀井憲一郎『「巨人の星」に必要なことはすべて人生から学んだ。あ。逆だ
。』双葉社、
762円
『自分を知る力がつく自分史のドリル』扶桑社、1000円
◎青山ブックセンター(表参道本店)
冨田均『東京私生活』作品社、2800円
◎高円寺文庫センター
川崎ゆきお『猟奇娘』477円
【ひとこと】仕事が一段落した反動で、渋谷→表参道→高円寺と書店を回り
、律儀に各店で買ってしまう。雨が降ってるのに、荷物がいっぱい。高円寺
文庫センターでは、本のほか、「かねてつ」の絵葉書9枚(各150円)、オリ
ジナルのマッチ(250円)なども買う。

六月二十七日
◎パルコブックセンター(吉祥寺店)
市川捷護『回想日本の放浪芸 小沢昭一さんと探索した日々』平凡社新書、
700円
◎燈書房(三鷹)
『P・G』第72号、476円
【ひとこと】外から見ると古本屋にしか見えないが、れっきとした新刊書店
。何年も前に出た、吉本隆明やガロ系の本、映画の評論書などが並んでいる
。『P・G』はピンク映画のミニコミ。

六月二十八日
◎ 往来堂書店(千駄木)
『サイゾー』7月号、690円
【ひとこと】新店長に代わった直後なので、まだそれほど棚づくりに変化は
ないようだ(注文した本が入ってくるのがもう少し後だとか)。お手並み拝
見といこう。この店のサイトで、ぼくがやっている「コレが売りたい!」と
いうコラムも再開(http://www.ohraido.com/meguru/index.html)。今回は
小沢信男『裸の大将一代記』(筑摩書房)をプッシュ。毎回何冊か仕入れて
もらうのだが、今回は十冊仕入れてすぐに半分売れたそうだ。書店の売上に
少しでも関わっているのだと思うとウレシイし、紹介に力が入る。

六月二十九日
◎ 東京堂書店
岡崎武志『古本病のかかり方』東京書籍、1700円
安岡章太郎『私説聊斎志異』講談社文芸文庫、920円

六月三十日
◎創文堂書店(本駒込)
根本圭助『異能の画家 小松崎茂』光人社NF文庫、752円

今月の購入本 計62冊(今回は雑誌が多かった)



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■「今日(こんにち)の芸術」/忘れっぽい天使
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ポストモダンの次なる段階−奥浩哉の漫画作品
                                       
  漫画について書くのはこれで2回目だが、今後もっともっと書いていきた
い気持ちだ。なぜなら、漫画は表現者の先進的な表現意識が多少なりと
も商業的に受け入れられる余地を持った、極めて数少ないジャンルだから。
詩にしても個人映画にしても、仲間内で話題になった作品の評判が一般の
人の耳に届く確率は低い(というより皆無に等しい)。漫画の場合、宮西計
三やつげ義春のような過激な芸術#hの作品でも、店頭で一定の売上
をあげてくれる。読者の裾野の広いジャンルというのは、異端派の生存も許
してくれるものなのである。そして本当に面白いものは常に、少数の「異端」
派の中にしかないのだ。

  さて、今回取り上げるのは「01(ゼロワン)」(集英社  現在B巻まで)を
進行中の奥浩哉。
  以前「変HEN」というシリーズを同じ集英社から出し、かなりの人気を
得た(ドラマ化もされたらしい)。 その中心となる話は、高校生の男の子同
士&女の子同士の恋愛(?)コメディだ。この一連の作品を読んで驚愕した。お
話自体は、よくできてはいるが割と正統的なコメディだ。が、絵の描き方が
実に特異なのである。少女マンガのような柔らかい優美な線を基調とした
登場人物を、写真のように正確で無機的な背景が取り囲む。どんなに熱い
ドラマが繰り広げられていても、背景はそれとは無関係にひたすら冷たく屹
立する。その遊離感、その不気味さ。

   ぼくは伝統的な少年マンガと少女マンガを、背景の描き方の違いによっ
て見分けることができるのではないかと思っている。少年マンガの背景は
リアリズムで描かれる。これは、登場人物が背負っているものが「社会」
や「世間」であり、不動の客体物たる「社会」との対立や協調がドラマを形
成することを示すために背景はリアリズムで描かれてきたと考えられる。
一方少女マンガの背景は非リアリズムで描かれる。これは、登場人物が
背負っているものが少女自身の極めて主観的な内面世界であり、内面を
比喩化する記号として背景が扱われた(時には意味のない花や唐草模様
が背景の代りとなる)ためと考えられる。
 「変」はそのどちらでもなく、ほとんどスーパーリアリズムの技法で背景が
描かれていく。ドラマを中心に考えると、不必要と思われる部分にまで可能
な限り細かく書きこみがなされ、遠近法がどぎついくらいに厳格に導入され
ている。これは作者が、漫画というものを、互いに別物であるドラマと絵が、
たまたま平衡して進行していく形式であると認識しているためと思われる。
その底には、無秩序な生を起承転結の中に押し込める「ドラマ」に対する不
信感があるように思える。社会的理想も個人的夢想も、奥にとっては空々し
い虚構にしか過ぎないのだろう。生の「単なる断片」が浮かび上がればそ
れでよいのであろう。

 「変」シリーズは、作品によって描き方がかなりまちまちである。初期の
頃は大友克洋の影響を受けたと思しきグロテスクな冷たさを秘めた線画によ
るものもある(「黒」など)。性的表現を行う時は青年マンガそのものにな
るし(登場人物の女の子は皆巨乳だ)、ロマンティックなシーンでは憶せず
少女マンガチックな表情を使う。「ドラマ」に対して不信感を抱いていると
先に書いたが、決してないがしろにしているわけではなく、「ドラマ」が要
求する感情表現は実に細かく豊かに描かれる。
  但し、それらは断片として、「寄せ集め」の一つとして描かれるのだ。ど
こかで聞いたような話、どこかで読んだ一節、どこかで見た光景、そうした
ものが連続的、時には非連続的にリミックス≠ウれている。様々な漫画作
品が、背後で、常に密かに紐解かれ、参照され、読者にはわからない形で閉
じられる。漫画史のパレード、つまりポストモダンなのだ。

 「変」シリーズでは都会的でスマートな疑似ホモ&レズのコメディが主体
だったが、新作の「01(ゼロワン)」では事情が少々異なる。
   時は近未来、主人公の少年石堂音露は売れないプロレスラーの父を持ち、
その教育方針(世界一になれる才能を見つけなければならない)によって中
学校に進学することを禁じられている。音露は、天才児の転入生、八神との
対抗意識もあり、八神が得意とするMBZと呼ばれるバーチャルな格闘ゲー
ムに熱中する。その過程で出会った様々な出自の人とチームを組むことにな
る(「01」とは、ゲームのキャラクターの名前である)。
  この作品では「階級」の問題が追求される。と言っても、決してもっと平
等でなければといった積極的な主張をするのではない。奥浩哉は社会派たる
ことを断固拒否する作家なのだ。だからこそ競争社会のひずみを一つの冷た
い画像としてクリアに浮かび上がらせることができるのだろう。作品内では
、支払い一つにしても、マネーカードを持てる人たちと現金しか使えない人
たちの間に決定的な収入の差があることが示される。またMBZゲームもプ
レイヤーは厳密にランクづけされ、勝ち負けには徹底的にこだわらせられる
。バーチャルの格闘技が人気を集める一方、本物のプロレスや空手は廃れ、
経済的な敗者となる。

  才能や財産の有無が、人間の価値を計る尺度として確立し、顕在化し、誰
もそれに異議を唱えることができない。敗者の側にいる音露の父も、この階
級性そのものには抵抗することはなく、息子に上の階級の人間になることを
望むばかりだ。
  この作品は、見かけの楽しさとは裏腹に、ひどく暗い内容である。社会の
閉塞感が子どもの顔にも大人の顔にも影を落し、「変」シリーズのある種の
甘み≠ニは打って変った苦み≠ェ全体を支配する。

  唯一の救いは、石堂音露と友達になる少女仁徳新愛の存在である。売れな
い空手の道場主を父に持つ新愛は、男の子同士の関係に憧れ、男と偽って音
露とバーチャル格闘技に興ずるが、途中少女としての愛情に目覚めて悩むこ
とになる。その純粋さが感動を呼ぶのだが、しかし、ネロとアロア、これは
かの「フランダースの犬」に出てくる少年と少女の名前である。「変」シリ
ーズにも出てきたこの童話を作者は偏愛しているらしいが、現実の中に救い
はないことを認めるこの童話への言及は何やら意味深である。
  諸価値を等価に見るポストモダンの表現も、よりシビアな段階に入ったの
だろう。そしてこうした「暗い」作品が異端視されることなく、広く読まれ
る「ヤングジャンプ」という商業誌に連載されているということは、実に歓
迎されるべきことだ。
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■ 中国古典で浅学菲才が直る?/掩耳(えんじ)
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「人間って、そもそも信頼できるのか――性善と性悪の狭間で」

中国諸子百家の大変有名な概念に、性善説と性悪説の2つがあります。

これ、大変面白い切り口ながら、両者あまりに極端過ぎてちょっと子供っぽ
い話じゃないの、と正直思われる方は多いのではないでしょうか。人間、単
純に善や悪には割り切れないというのが、ごく常識的な判断なのは論をまた
ないでしょうし・・・

しかし、現代のモラルに関する論議を見る限り、この2つはどうも過去のも
のとは言えなくなってくるのです。
現代のモラルの考え方として、大きく2つがあるのは前に紹介しました。

一つは、共同体主義。個人の側からモラルを導き出そうという試みは、みな
失敗してしまったし、人間はなんらかの共同体に必ず属しているものだから、
個々人は共同体での役割を果たすようなモラルを習得すべしというもの。

もう一つが、自由主義・自己決定の立場。(正常な判断力を持つ大人なら)
他人に迷惑をかけない限り、何をやっても良いというもの。

この2つ、よーく見るとそれぞれ性善と性悪の2つを基盤にしているのが見
えてくるのです。善と悪という言い方がわかりにくければ、つまり――

<人間って、そもそも信頼できるのか>ということです。

自由主義・自己決定の立場は、明らかに性善的なものを基盤にしています。
なぜなら、なにか行動を起こした途中で、「他人に迷惑をかけている」と判
断されることがあった場合、相手を抹殺したり抑圧したりするのではなく、
理性的に話し合う――この前提がなければ、この主張はなりたたないからで
す。市場原理の有効性というのも、まったく個人の性善的な前提にかかって
います(相手を出しぬくことがあっても、あるルールの範囲内で、という括
りがある)。例えば株式において、損失補填やらインチキ投資が大手を振る
うようでは、その有効性が完全に失われてしまうのを見ても明らかです。

一方、共同体主義は、人間ほっとくと滅茶苦茶しやがる(笑)という前提が
あるように思います。だからこそ、集団でのルールを叩きこむべし、と主張
するのです。

どちらが正しいか――これは、決定的なことはまだわかりません。
しかし、一つ面白いことに、性善説を唱えた孟子は、現実的な政治にもまれ
た経験があまりない(アドバイスした結果が悪かったとき、自分には責任が
ないとか言って逃げたりしている)うえに、かなり独善的で自我自賛が多い
人なのです。要は口ばっかしの人。
一方、性悪説の荀子は、かなり現実の政治でももまれた苦労人を感じさせる
ところがあります。
そして、往々にして、自由主義と共同体主義の対立も同じようなキャラクタ
ーを感じさせるところがあります。
(続)
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■あとがき
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>そごう、倒産しちゃいましたねー
>いや、驚きました。子供の頃、凄い所にお出かけというとデパートでした
からね、なんか時代を感じちゃいます・・
>でも、デパートがつぶれるのも、わかる気がします
>ほうほう
>前に某有名デパートのテナントにいたからわかるんですが、デパートって、
どこか、「金持ってる人にヘコヘコして、殿様だか貴族だかの気分を味わっ
てもらって、金落としてもらう」っていう感じがあるんですよね。
>まるで、精神的売春婦ですなー
>そうそう、まさにそんな感じ。また、そういう所でエバリ腐って良い気分
になりたがる人もワンサカいたんですわ。それがバブルが崩壊しちゃって・・
>そういう商売が成り立たなくなったんだ。
>しかも、見る目があるバイヤーを育てるとかもおろそかにしちゃって、百
貨店に欲しい物がないとか言われる時代に突入しちゃったという・・
>まあ、商売の基本忘れて、まともな人相手にしない歪んだ商売やってりゃ、
いつかは破綻しますわな・・・
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