2000.7.25.発行 vol.40  [アマゾンついに上陸 号]

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■■  [本]のメルマガ                              2000.7.25.発行
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■■       mailmagazine of books        [アマゾンついに上陸 号]
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■CONTENTS--------------------------------------------------------- 
★トピックス

★特別掲載「何のための出版人か」/啓児
→出版業に青雲の志を抱きつつもなぜ彼は辞職したのか。

★「脱・書店員日記」/aguni(あぐに)
→ウェブ・コンテンツの書籍化は、流通問題の変革を志向すべし。

★「現代思想の最前線」/五月(ごがつ)
→日本では無名に近いが海外では大物、社会学者バウマンの新著を紹介。
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■トピックス
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■2000年度上半期話題の特選洋書および近刊

*エドワード・サイード

Edward W. Said "End of the Peace Process : Oslo and After" 
April 2000, Pantheon Books, isbn:0375409300, hardcover, 448pages,
$27.50-

昨年秋の自伝に引き続き、今年の春に刊行された論説集。95年から99年に各国
各誌に寄稿された中東和平にかんする50の論説をまとめたもの。93年9月に調印
されたオスロ和平条約の根幹を問う闘争の書。サイードの近刊には以下の通り
の予告も出ている。

"Reflections on Exile and Other Essays"
February 2001, Harvard University Press, isbn:0674003020, hardcover,
576pages, $35.00-

*ロザリンド・クラウス(1940-)

Rosalind E. Krauss "A Voyage on the North Sea : Art in the Age of 
the Post-Medium Condition" April 2000, Thames & Hudson, 
isbn:0500282072, paperback, 64pages, $16.95-

どうやら病床より復帰したらしいクラウス女史の最新刊は、ウォルター・ノイ
ラート記念講演の記録。よっぽど重要なのか、テーハーがこんなに小さい本を
出すなんてね。クラウス女史の98年作「ピカソ・ペーパー」は以下の通り、青
土社から刊行されている。

『ピカソ論』2000年5月、青土社、松岡新一郎=訳、isbn:4791758161、
290頁、本体2600円

*スーザン・バック-モース

Susan Buck-Morss "Dreamworld and Catastrophe: The Passing of Mass 
Utopia in East and West" May 2000, MIT Press, isbn:0262024640,
hardcover, 432pages, $45.00-

卓越したアドルノ論『否定弁証法の起源』1977年、ベンヤミン論の現代的古典
である『見ることの弁証法』1989年で著名な、コーネル大学教授バック-モース
女史の待望の新刊。20世紀における社会主義および資本主義双方の陣営それぞ
れが願望していたユートピア建設という大文字の夢が、しばしば惨事を伴いつ
つ、やがて政治的シニシズムと個々人の物質的充足感とによって、いかにとっ
て代わられたかを、壮大な思想史の枠組みの中で跡付ける。モスクワでの研究
成果が遺憾なく発揮された注目作。 

*ジョルジョ・アガンベン(1942-)

Giorgio Agamben "Il tempo che resta : un commento alla Lettera ai 
Romani" Giugno 2000, Bollati Boringhieri, isbn:883391254X, 177 p.,
L.35,000-

アガンベンの最新刊は新約聖書の「ローマ人の信徒への手紙」の読解であり、
聖パウロ論。なお先ごろ『人権の彼方に』と題して邦訳出版された『目的なき
手段』の英訳は2000年の10月にミネソタ大学の名シリーズ「セオリー・アウト
・オヴ・バウンズの第20巻目として、ヴィンチェンツォ・ビネッティとチェー
ザレ・カサリーノの訳で刊行される予定。

*サミュエル・ウェーバー(1940-)

Samuel Weber "The Legend of Freud" Expanded Edition, June 2000,
Stanford University Press,isbn:0804731217, paperback, 180pages,
$16.95-

ド・マン以後のアメリカを代表する脱構築派の旗手による代表作の増補版。も
ともとは1979年にドイツのオルテン社から『フロイト伝説:精神分析的思考を
めぐる3つの研究』として出版され、その後1982年にミネソタ大学出版部から
英訳刊行後、長らく品切れになっていたものが、ようやく増補された。改訂版
というよりは、「1999年7月パリにて」と記されている「不気味な思考」とい
う論文を付された第2版である。

本書はアムステルダム文化研究所(ASCA)の二巨頭ミーケ・バルとヘント
・ド・フリースの編集になる「こんにちにおける文化的記憶」シリーズの一冊
としてスタンフォード大学出版部より増補再刊された。ウェーバーの年来の盟
友ジャック・デリダに本書は捧げられている。余談だが、デリダとカトリーヌ
・マラブーの共著"Contre-Allee"1999において、ウェーバーとデリダの親し
げな2ショットを見ることができる。

この著書と対になる『フロイトへの回帰:ジャック・ラカンによる精神分析の
ずらし』(1978年ドイツ・ウルシュタイン社、1991年英訳ケンブリッジ大学出
版部)は以下の通り今年になって再刊された。

"Rueckkehr zu Freud : Jacques Lacan Ent-stellung der Psychoanalyse"
2000, Passagen Verlag, isbn:3851654242, Taschenbuch, 280 Seiten,
DM.62,00-
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■ 特別掲載「何のための出版人か」 /啓児
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 出版社のサラリーで出版社を新たに興すことはできないし、書店の給料で書
店を新たに開店することはできない。最大手ならまだしも、凡百(しかし個性
は大手よりよっぽどある)の中小企業の月給で数千万円を貯蓄するのはむずか
しい。株式会社設立の資本金で1千万円、運転資金は1年で最低3千万〜5千
万。先輩の助言を求めて、いわゆる月並みでもいいから自分の会社を持ちたい
と夢を語った時、その金額を平均的モデルケースとして聞くに及んで、しばら
く考え込んだ。いや、考え込む余地などなく、井戸の中の蛙は「それは不可能
だ、そんな金は用意できない」と暗い気持ちに沈んだ。

 読まずしていかに知ったかぶって批評するか。いかに気に入らない相手の企
画を効果的にぶっ潰すか。編集会議なんてものはペダンティストの雑談にすぎ
ないし、営業会議は経営者の金勘定から脱皮できない。黒々としたやりきれな
さと怒りが血肉となってしまうことに疲れて、不毛な人間関係から逃避するべ
く、出版社を退社した自分はいま、フリーという名のプータローだ。

 出版社に入れるかどうか、というのは、偶然が自分に味方するかしないかだ。
小さい出版社でも「貴社に興味があります」という就職志願のハガキは一年で
30通から60通は来る。そうした人たちが全員この業界に就職しているかど
うかは知らない。自分の身の周りを見てみる限り、マスコミ志望者の8割は狭
き門の前で回れ右しているのが現状ではないかと思う。狭き門だからと言って、
さも優秀な人材がひしめいていて、と考えたら大間違いだ。優秀なヤツがいる
かどうかは、書店の店頭に並んでいる本をざっと眺めてみればわかるじゃない
か。

 優秀なヤツってところでどんな人間だろう。優秀だけれども人としては絶対
に好きになれない、という先輩方はあちらこちらにいらっしゃる。一流と呼ば
れる人たちの中に数多くの暴君がいて、すさまじい人格攻撃を社内に撒き散ら
しつつ、出版に志を、なーんてのたもうておじゃる御仁は厳然と実在する。だ
いたい許せないのが、せっかく理想に燃えるタブラ・ラサが入社したのに、半
年もしないうちに業界がすっかりいやになって、他業種に向かっていくという
悲劇が、出版社にも書店にも頻発していることだ。スクラップ・アンド・リク
ルート。お歴々はいったい気付いておられるのか?自分は何度知人を見送った
ろう。

 できる限り本音を書いて欲しい、と本誌の編集同人の五月氏に頼まれた。本
誌のいままでの記事にもしばしば激烈な本音が載っていたことも知っている。
しかし読むは易しで、こうして自分で書いてみるとけっこう呆然としてしまう。
自分の愚痴をサブ・パブリックとでも言うべきオンラインに乗せて、誰かは共
感してくれるかもしれないが、他の誰かにとってみれば何の意味もない不愉快
な「だだこね」にしか見えないかもしれないではないか。自分は、自分を取り
巻く環境と自分自身の病根を隠しても仕方ないとは思う。志にも二面性がある
ことを認めよう。しかしこのわびしさは何なのか。今晩食べたあまりにもまず
い冷やしそばのせいなのか。

 たしか以前、本誌でキウ氏の「書店退社の辞」を読んで、その淡々とした告
白に感銘した。氏に比べれば、自分はまだ未消化のやりきれなさと怒りをただ
打ち明けるだけかもしれない。自身の孤独感に閉じた怒りは独り善がりである
かもしれない。自分がここで述べたかったのは表題にもある通り「何のための
出版人なのか」、その答えのない問いを中心に、野良犬のようにうろついてみ
ようと思ったのだ。ルサンチマンと理想、憎悪と友愛の交錯する日々の中で、
唇の寒い思いをしながら何を胸中に燃やせるのか。悪いことばかりじゃあない
が、なにひとついいこともなかったとも言える「文化産業」の只中で、まず何
からはじめようか。

 自分は本を作ったり売ったりすることが大好きだ。経済的には苦しいけれど
も、この仕事に生涯たずさわっていきたい。出版社が聖業だとは思っていない。
公正だとも思えない。しばしば強者と欲望の走狗であったりするし、自分はそ
れにはほとほと辟易する。出版社は自分の言いたいことをより広範囲の人々に
押し付けるための拡声器ではない。業界雑感という体たらくだけれども、腹に
あるものすべてをこれ以上出すわけにはいかない。五月さん、かんべんな。
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■ 「脱書店員電脳日記」/aguni(あぐに)
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第15回 インターネットの拡張としての書籍の可能性

 会社に行く前に池袋でリブロに寄った。Dir en drayの写真集の発売日
らしく、版元の人間だろうか、うちわを持って客引きをしていた。通り
かかった女の子が、「ファンだったら喜ぶんだろうね。」と言っていた。
 なるほど。うちわをもらったとしても、私は嬉しくない。どこかの汗
っぽそうなオヤジがうちわを貰っていた。

 人にとっては大きな価値を持つものでも、他の人にとってはあまり価値
のないものがある。今の書籍はだんだんそういうものになりつつあるのか
もしれない。新刊台を見る。そこは一応、書店の顔なのだろうから。入り
口に村上龍と村上春樹が積んであり、村上龍のサイン会の告知があった。
サイン会というのも特定の層しか喜ばないイベントだな。そんなことを思
った。

 村上龍責任編集のメールマガジンJMM[Japan Mail Media]をまとめた
書籍がNHK出版から出たときにはびっくりした。どこかが出すとは思っ
ていたが、まさかNHKとは思わなかった。2000年7月19日発行のNo.071
ではヘッダの部分で最新長篇小説『希望の国のエクソダス』の発売を告知
していた。これを読んだ読者が書店に走るだろうか?

 インターネットを拡張する形で書籍が存在する、という可能性について
考えてみる。田口ランディさんを初めとして、いろいろな出版社ではネッ
トの世界で人気を集めているサイトをコンテンツ化できないかと模索して
いる。例えばまぐまぐ。まぐまぐオーディションシステムと称してすぐれ
た書き手を見出し、出版社を紹介、書籍出版をおこなうことを考えている
らしい。しかしまぐまぐから出た出版物では、「まぐまぐメルマガイド2
000」(メディアファクトリー)と「まぐまぐVOW」(宝島社)ぐら
いしか知らない。

 HPにしてもメルマガにしても書籍にするというのは誰でも考えつくこ
とだが、それを買わせるのにはそれなりのクオリティと仕掛けが必要だろ
う。キルタイムコミュニケーションがホームページブックスと称し、「あ
なたのホームページを本にしませんか?」という試みを行っている。これ
に応募してくるつわものがいればそれはそれですごいが、本として売れる
のかどうか不明だ。ちなみにとりあえず買ってみたのは「2ちゃんねるの
本」。デジタル・エスノメソドロジー(造語)の本かと思えば、編集者い
わく、過去ログをそのまま収録したものらしい。匿名のあの巨大な空間を
肴にする勇気はなかったらしい。

 田口ランディさんの本。アリアドネの試み。インターネットの拡張とし
ての書籍、という形には、読者も作り手も抵抗がなくなっているように思
える。しかしそのすべてが成功かと言えば、そうでもない。

 書籍がコア層にしか受けないものになっている一方で、コアに受けてい
る人間というのはネットの中でも外でも発生している。つまりはその人の
本なら売れるし、そうでなければ売れない、ということだ。

 それを図るのはアクセス数ではない。人がそこに場を求めているのか、
それともその人を求めているのか、そこを見極める必要がある。すべて
はその人自身の魅力になるのだが、どうもそれが理解できていないのでは
ないかというような声もでてきているようだ。

 朝注文したら夜には届くネット書店の出現。それは一つの衝撃的な経験
だった。もちろん頭では理解していたが、実際に手元に届くとなると話は
別だ。いかにわれわれは知識の欲求というものにストレートに答えられな
いストレスを感じていたのだろうか? しかもそれに気がつかなかったこ
とが不思議だ。

 ネット書店を手放しに褒め称えるつもりはもちろんない。しかし出版業
界の人間が今の書籍流通の形がユーザーにとって決して望ましいものでは
ないことだけは、もっと認識すべきだ。

そしてそれは書籍を作る部署にも言えることだ。インターネットでウケて
いるからと言って、書籍として受けるとは限らない。インターネットの拡
張としての、その先の書籍のニーズは高まるだろう。しかしインターネッ
トと書籍が天秤にかけられていることは十分認識しなければならない。

 インターネットの拡張としての書籍の可能性。それは可能性としては無
限にある。しかしそれはすぐ手に取れる、という他媒体の(例えばインタ
ーネットの)スピードとの戦いでもある。流通を含めた書籍の在り方の変
革。そこまで含めて考えないと、ビル・ゲイツの言うように、紙の本はい
ずれメジャーなものではなくなるかもしれない。
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■ 「現代思想の最前線」/五月
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第13回:Z・バウマンの最新刊『リキッド・モダニティ』をチェック

日本ではあまり知られていないが、海外では有名、というような学者はあまた
存在する。今回紹介するジグムント・バウマンもその一群に属すると言えよう。
多言語使用者であり、国境を越え、異郷で活躍している点などは、今世紀を象
徴する知識人像の一典型としてみなされて良い。

ジグムント・バウマンは1925年ポーランド生まれの社会学者で、ワルシャワ大
学、テルアビブ大学を経て現在はロンドンのリーズ大学で教鞭を執っている。
ワルシャワ大学およびリーズ大学の名誉教授。著書多数。邦訳には次の2点が
あるものの、残念ながら入手しやすいとは言えない。

『社会学の考え方:日常生活の成り立ちを探る』1993年10月刊、HBJ出版局、
奥井智之=訳、isbn:4833750694、312頁、本体2718円(版元解散により現在
絶版。もったいないというか、くやしい)

『立法者と解釈者:モダニティ・ポストモダニティ・知識人』 1995年4月刊、
昭和堂、向山恭一・ほか=訳、isbn:4812295084、336頁、本体価3300円(こ
ちらも僅少になりつつあるとのこと。名シリーズ、テオレイン叢書の一冊)
http://www.kyoto-gakujutsu.co.jp/showado/  

バウマンは、ポストモダン社会についての多数の論考で知られているが、最新
著がこの4月に刊行された『リキッド・モダニティ』である。グローバリゼー
ションの進行にそって解体しゆく近代の価値観や思想の枠組みを「液状化」と
いうタームで切り取り、分析していく快作。

Zygmunt Bauman "Liquid Modernity" April 2000, Polity Press
isbn:0745624103, paperback, 228pages, $24.95-
※正確に言えば4月に刊行されたのはハードカヴァー版で、ペーパーバックは
7月に発売された。上記のISBN、ページ数、価格はペーパーバック版。ハ
ードは高価なので、こちらをお奨めする。

グローバリゼーションにおける人/資本/情報の「移動」による、社会構造の
劇的な変容の記述や、公と私を再分節する試みであった、前作『グローバリゼ
ーション:人間的諸帰結』1998年や、『政治を求めて』1999年(いずれもやは
りポライティ社刊)で提出された諸問題を再整理し、総合しようとするのが本
書『リキッド・モダニティ』である。

解放、個別性、時空間、労働、コミュニティ、といった5つのテーマに分けて、
バウマンは現代における人間の諸条件を総括する。現実認識の実直さ、総合的
判断への貪欲さ、そして探求への欲張り加減には目を見張るものがある。重々
しく固定的なハード中心型近代から軽さと流動化のソフト中心型現代へ、とい
う構図は一見さんざん使い古されてきたレトリックのように見えても、バウマ
ンが跡づけるポストモダンへの移行説は、私たちの「現在」をあらためてとら
えなおす際の重要な道筋となりうる説得力を帯びている。

要約ではなく、私的な感想・印象として追ってみると以下の通りになる。

私たちは科学技術と民主主義によって解放されはしたが、この解放によって徒
手空拳のまま「自由」という空間に投げ出され宙吊りにされており、こんにち
新たなヘゲモニーへと転落しつつある。人間の手を離れ肥大化した公と、避け
がたく蛸壺化していく私は、現代において表裏一体の現象であるが、そもそも
個人的自由は、集団によってのみ保証されるものである。その集団はいまや高
度情報化のさなかで時空間を認識する感覚自体の変容を蒙っている。労働はも
はや人間を生かす炎ではなくなり、新たな貧富の差は世界規模で広がるばかり
だ。こうした現状においていかなるコミュニティが構想されうるのか。

なお、本作には随所に"life-politics"という術語が出てくるが、これは、フ
ーコーやネグリらのいうバイオポリティクスとは異なる概念であり、例えばネ
グリでは多数性がその主体であるのに対して、バウマンのは個人個人が主体で
あり、まさにその意味で、lifeは生物学的「生」というより人間的「生活」を
含意している。それぞれ政治を志向する上では似ていても、多数性と個という
これらのアプローチは(交通不可能ではないにせよ)看過できない違いであろ
う。

版元のポライティからは、この先も立て続けに近刊が予告されている。ほとん
どの著書はこの出版社から刊行されている。本邦ではほとんど無名に近いバウ
マンだが、実際のところ実に多産で、精力的な学究活動が海外ではつとに知ら
れている。発言に繰り返しが多いように感じる向きもなくはないが、どれか1
冊は手にとっておくといいだろう。[2000年7月23日]

http://www.polity.co.uk/

Zygmunt Bauman "The Individualized Society" July 2000, Polity press
isbn:0745625061, hardcover, 256pages, £50.00-

Zygmunt Bauman "Community : Seeking Safety in an Insecure World"
January 2001, Polity Press, isbn:0745626343, hardcover, $54.95
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■あとがき
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砂漠のように熱い日が続きます。今回は特別寄稿として啓児氏に一筆書いて
もらった。とまどいも含めて、「業界人の本音」を寄せてくださった氏に感
謝したい。ところでアマゾン・ドット・コムが出版社まわりを開始したとい
う話を聞いた。どうやら出版/書店業界経験者はまだ登用していないようだ。
BOLやesbooksに比較して、bk1が多くのリアル書店経験者を起用した英断
は記憶に新しいが、アマゾンはどう動くか。見守りたい。      五月
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