2000.8.15.発行 vol.42 [言い訳しているのが、むかつく号]

■■---------------------------------------------------------------
■■  [本]のメルマガ                              2000.8.15.発行  
■■                                                     vol.42
■■       mailmagazine of books  [言い訳しているのが、むかつく号] 
■■---------------------------------------------------------------
 
■CONTENTS--------------------------------------------------------- 
★トピックス

★「全点報告 この店で買った本」/南陀楼綾繁
→今回は何と、ソウルまで行っちゃってます!!

★「本の周りをうろついて・・」/湯川新一
→ケンブリッジ大学の方に研修旅行が長引いていて、今回もお休みです。
ご、ごめんなさい・・・・・ 

★「今日(こんにち)の芸術」/忘れっぽい天使
→知られざる異形の天才、ダーガ―を紹介します

★「中国古典で浅学菲才が直る?」/掩耳(えんじ)
→
---------------------------------------------------------------------
■トピックス
---------------------------------------------------------------------
■<岩波ブックセンター>がちょびっとだけ変わるらしいという話
神田にある、小粒でもピリリと激辛の代表格的な書店、<岩波ブックセン
ター>さんの経営がちょびっとだけ変わるようです。
以下、岩波BCさんよりの挨拶文の抜粋です。
・・弊社はこの度、諸般の事情により来たる八月三十一日をもちまして
閉店し、親会社である株式会社岩波書店に吸収合併されることに
なりました。
・・・なお、小売書店につきましては、九月一日より、新しい経営陣によ
る新書店として、現状のまま引き続き経営されます・・・

■これは便利! オンライン読書に便利本登場
晶文社から、津野海太郎・二木麻里編『徹底活用「オンライン読書」の挑
戦』(1800円+税)が発売中です。電子図書館、バーチャル博物館など、
インターネットで電子テキストを公開している国内外の約100サイトを紹介
しています。

■『サイエンス。ウォーズ』刊行記念パネルトーク
科学論者と科学者の間にまき起こった喧喧諤諤の論争と応酬――話題の快
著『サイエンス・ウォーズ』(金森修著)の刊行を記念して,金森修氏と
佐倉統氏,茂木健一郎氏のパネルトークを8月28日(月) 午後7時より(午
後6時半開場)青山ブックセンター本店で行います。
(参加は無料 要予約)
【お問い合わせ・お申込み先】
青山ブックセンター http://www.aoyamabc.co.jp/
tel 03-5485-5513

■■■■■社員募集←ポット出版【(株)スタジオ・ポット】■■■■■■
募集=1名 応募締切=8月31日(木)資格=男女・年齢・経験不問/子育て
中可 仕事=出版と編集プロダクションのすべての仕事をしてもらいます
■■■■■■■■募集の詳細は→http://www.pot.co.jp/■■■■■■■■
----------------------------------------------------------------------
■「全点報告 この店で買った本」/南陀楼綾繁
----------------------------------------------------------------------
全点報告 この店で買った本
第4回 東京・京都・ソウル――暑い街で本屋を訪ねて

七月一日
◎ドゥロス号(船上書店)
『Logos Doulos Logos 2』300円ぐらい
『The Pilgrim's Progress』100円ぐらい
【ひとこと】新聞記事で、「各国の男女約三百人のボランティアが乗り込み、
世界中を回って書籍を販売している」洋上書店が横浜港(新港埠頭)に入港
と知り、酔狂にも出かけていった。船に着くと甲板に幕が張られ、その中で
本を売っている。約五十万冊載せているというが、予想していたとおり、キ
リスト関係の本、実用書、コンピュータマニュアルなどが中心で、書店とし
ての魅力はまるでなし。ま、チャリティだからと、この船の沿革を書いた本
など買う。支払いはunitという独自の単位で計算される。せっかく思いつき
はいいのだから、高くてもイイからもっとオモシロイ本を置いてくれェ。そ
の方が客も集まると思う。品揃えを一部、どこかの書店員に任せてみるとか、
いろいろ手はあるだろう。

◎有隣堂(ランドマークプラザ店)
Anake Nawigamune『A Century of THAI GRAPHIC DESIGN』Thames&Hudson、
5590円
『地球の歩き方 韓国』ダイヤモンド社、1640円
【ひとこと】一年ぶりぐらいに行ったが、かなり配置が変わっていた。ココ
で直行するのは洋書コーナー。今日はA3判のドデカイ本が平積みになって
おり、表紙を見た瞬間、コレは買わねばと思い込む。雑誌、広告、ポスター、
商品ラベルなど、タイのあらゆる紙モノの図版を詰め込んだ本。

七月二日(日)
◎あおい書店(新宿店)
『まんだらけZENBU』第7号、1429円
【ひとこと】チェーンの書店はどうしても画一化しがちだが、その中であお
い書店は、店ごとの個性を活かした棚づくりをしている。この新宿店はつい
最近できたらしいが、狭い単行本スペースに頑張ってイイ本を置いている。
奥のマンガコーナーもセレクトがいい。これまで新宿三丁目には書店がなか
ったので、ちょいちょい寄ることになるだろう。

七月四日
◎BOLジャパン(オンライン書店)
堀井憲一郎『この役立たず! ホリイのずんずん調査』文藝春秋、1429円
【ひとこと】一日にオープンした「ベルテルスマン・オンライン」で買って
みる。おそらく品切れであろう本が「24?48時間出荷」になっているので、
意地悪く注文してみると、やっぱりキャンセルになってしまった。そのメー
ルで、「お客様からのご注文が殺到したため、システムが不安定な状態とな
り、お届け時期などホームページでのご案内が、一部誤ったものとなってお
ります」などと言い訳してるのが、むかつく。システムのせいじゃなく、デ
ータベースの不備なんじゃないのか。ただし、一月後にもう一度検索してみ
ると、データからハズされていた。それなりに対応してはいるようだ。
http://www.jp.bol.com/

七月五日
◎三省堂書店(神保町本店)
泡坂妻夫『奇術探偵曾我佳城全集』講談社、3200円

七月十一日
◎ブックマート市ヶ谷
『噂の真相』470円
『噂』450円

七月十二日
◎bk1(オンライン書店)
森まゆみ『大正美人伝 林きむ子の生涯』文藝春秋、1810円
【ひとこと】こちらも昨日正式にオープンしたオンライン書店。注文した翌
日に本が届く「アタリマエ」がちゃんとできてるコトが嬉しい。開店記念と
かで、特製文庫カバーが同封されている。ただ、このカバー、文庫判ギリギ
リにつくってあり、ほとんど余裕がない。そのため、他の文庫より少しサイ
ズの大きい文春文庫はどうやっても入らないのだ。

http://www.bk1.co.jp/

七月十三日
◎青山ブックセンター(表参道本店)
望月通陽『道に降りた散歩家』偕成社、2200円
トマス・H・クック『だれも知らない女』文春文庫、619円
『summer store』第4号、381円
『marie=madeleine』第2号、500円
『LB中洲通信』8月号、477円
◎INAXブックショップ
中村圭介『文明開化と明治の住まい 暮らしとインテリアの近代史(上)』
理工学社、
4200円
『本の雑誌』8月号、505円
【ひとこと】タイル・トイレなどのメーカーINAXが経営する書店。上がギャ
ラリー、下が建築・デザインの専門書店で、僕の好きな本がたくさん置いて
ある。江戸・東京に関する本は、単行本・文庫を問わず、かなり昔に出たも
のでもちゃんとおいてある。また、新刊は平台に平積みするだけのスペース
がないためか、背を向けて並べてある。しかし、これが妙にソソルのだ。背
表紙を見ていると、本が向こうから目に飛び込んでくるような感覚が生じる。
◎近藤書店(銀座)
多川精一『戦争のグラフィズム 『FRONT』を創った人々』
平凡社ライブラリー、
1300円

七月十四日
◎書肆アクセス
井上精三『川上音二郎の生涯』葦書房、1300円
『貸本マンガ史研究』第1号、500円
『SUMUS』第3号、600円
『SHOPPE』第3号、200円

七月十五日
◎ブックセンター・リブロ(浅草店)
小笠原和彦『霊園はワンダーランド ホームレスと過ごした一年間の記録』
現代書館、
2300円
『二階堂黎人が選ぶ 手塚治虫ミステリー傑作集』ちくま文庫、780円
菜摘ひかる『仰げば尊し』秋田書店、933円
【ひとこと】数年前までは東京で一番好きな店だった。エスカレーター正面
にあった、江戸・東京書のコーナーが大好きで、中二階みたいになっていて、
その段を上がる瞬間、今日はどんなヘンな本が見つかるかドキドキしていた
ものだ。

七月十六日
◎bk1(オンライン書店)
本橋成一写真集(文・阿奈井文彦)『サーカスが来る日』現代書館、2400円
奥武則『大衆新聞と国民国家 人気投票・慈善・スキャンダル』
平凡社、2400円

七月十九日
◎ブックセンター・リブロ(青山店)
『デザインプレックス』8月号、1500円
小熊英二『インド日記 牛とコンピュータの国から』新曜社、2700円
◎青山ブックセンター(表参道本店)
非ユークリッド写真連盟『フォトモ 路上写真の新展開』工作舎、2800円
『サイゾー』8月号、657円
◎ギャラリー5610(表参道)
川畑直道監修『青春図會 河野鷹思初期作品集』河野鷹思デザイン資料室、
18000円
【ひとこと】松竹映画のポスターなどで有名なデザイナーのいちばんイイ時
期の作品を、執念で蒐集した本。限定千部で、書店でも売らないだろうから、
大枚はたいて買う。

七月二十日
◎アヴァンティ・ブックセンター(京都)
『文庫判 京都』昭文社、667円
『ポスターの歴史』白水社・文庫クセジュ
【ひとこと】京都駅に着くなり、荷物を引きずって、南側のビル六階にある
書店へ。奥行きが広く、品揃えは充実している。米子の今井ブックセンター
と感じが似ている気がした。京都では他に、くまざわ書店(四条烏丸)、ブ
ックファースト、丸善、ジュンク堂などをのぞいたが、コレからソウルに行
くことを考え、買わずにすます。
◎祇園書房(京都)
『Egg』復活号

七月二十日
◎三月書房(京都)
幻の名盤解放同盟『ディープ歌謡』ペヨトル工房、1800円
『川崎ゆきお初期作品集 完結篇』幻堂、1200円
木山捷平『角帯兵児帯・わが半生記』講談社文芸文庫、980円
車谷長吉『漂流物』新潮文庫、400円
西木正明『夢幻の山旅』中公文庫、952円
【ひとこと】京都に行ったら、やはりこの店に行かねば。初めて行ったとき
の衝撃(二万円も買ってしまった)はないが、それでも一時間も店内を見て
回る。東京でも買える本を買ってしまったが、これらはこの店の棚だからこ
そ輝いて見えたのだ。この日は「ギャラリーそわか」のミニコミ展で一日店
長を務める。ミニコミを三千円分買って売上に貢献。

七月二十七日
◎教保文庫(ソウル)
『易 TRANS/journal of visual culture studies』第1号、1200円
ヤン・チヒョルト『Typographische gestaltung』700円
◎永豊文庫(ソウル)
『出版ジャーナル』7月20日号、200円
【ひとこと】ソウルも二度目となれば、書店の場所だけはアタマに入ってい
る。両店ともソウルで一二を争う大書店だ。平日の朝だというのに、客がい
っぱいいるのに驚いた。柳美里『命』、大平光代『だから、あなたも生きぬ
いて』の韓国語版がスデに並んでおり、しかもベストセラーに入っている。
相変わらず、スピードの早い国だなァ。

七月二十八日
◎bk1(オンライン書店)
田中信清『ものと人間の文化史 経木』法政大学出版局、2600円
秋田実『大阪笑話史』編集工房ノア、1890円
【ひとこと】気が付いたら、毎日のようにbk1の黄色いパッケージがウチ
に届いている。九月末まで送料無料なので、つい気軽に注文してしまうのだ。
先日から、「高くてかさばるけどいい本」特集をやってるが、リアル書店で
は見つからないし買うのに気後れするようなタイプの本こそ、オンラインで
買うのにふさわしいと思う。

七月二十九日
◎三省堂書店(神保町本店)
四方田犬彦『われらが〈他者〉なる韓国』平凡社ライブラリー、1400円
高橋輝次編著『誤植読本』東京書籍、1700円
◎INAXブックショップ(京橋)
柘植久慶『ヒトラー時代のデザイン』小学館文庫、733円
辻まこと『山からの言葉』平凡社ライブラリー、738円
◎文教堂書店(霞が関店)
尾高煌之助『新版 職人の世界・工場の世界』NTT出版、2500円
【ひとこと】霞が関のオフィス街にあって、通路をはさんで一般書とコンピ
ュータ書の売場がある。新刊中心だが、けっこう見ゴタエがあった。

七月三十一日
◎往来堂書店
白川静『文字逍遥』平凡社ライブラリー、1359円
葦原邦子『夫 中原淳一』平凡社ライブラリー、1200円
リチャード・アンダーソン『お寺の事情 アメリカ人民俗学者が見たニッポ
ンの寺』毎日
新聞社、2000円
『地域雑誌 谷中・根津・千駄木』第62号、500円

今月の購入本 計54冊
----------------------------------------------------------------------
■「今日(こんにち)の芸術」/忘れっぽい天使
----------------------------------------------------------------------
「現世否定」の倫理
     ―「ヘンリー・ダーガー 非現実の王国で」
                                
  既に新聞の書評などでも紹介され、あちこちで評判になっているようだ。
ダーガーの絵を世田谷美術館の「パラレル・ヴィジョン」展で見て衝撃を受
けて以来(93年のことだ)、刊行を待ち望んでいた一冊であり、出版され
て即、予想以上の反響を呼んでいることを心から嬉しく思う。
   「ヘンリー・ダーガー 非現実の王国で」(作品社  ジョン・マクレガー
著小出由紀子訳  6500円)。

  ヘンリー・ダーガーは1892年に生まれ1973年に死んだアメリカの
画家・小説家(?)である。ここで(?)を記した理由は、彼は一生をかけ
て創作した膨大な作品群を、画壇や文壇に向けて発表しなかったばかりか、
誰にも見せようとしなかったからだ。
  幼年・少年期を施設を転々として過ごさねばならなかった境遇であったダ
ーガーは、17歳の時施設から逃げ出し、以後掃除夫などの仕事に従事しな
がらほぼ完全な孤独のうちに生涯を終えた。彼の家主であった写真家のネイ
サン・ラーナーは、年老いて病院に入院したダーガーの部屋に入室するや否
や、そこに残された夥しい数の絵や長大な小説を見て驚愕したらしい。鋭い
眼識に恵まれていたラーナーはすぐさまその価値を見抜き、作品群の保存を
決意したという。

  ダーガーの作品は、それに接した誰もが、直ちに心に激しい傷を受けずに
はいられないほど強烈なインパクトを持つものだ。ダーガーは、施設を逃げ
出した19歳頃から長編の物語の構想を抱き、一生をかけて執筆にあたった。
それが「非現実の王国の王国として知られている国の、ヴィヴィアンの少女
たちの物語。あるいは子供奴隷の反乱が引き起こしたグランデーコ=アンジ
ェリニアン戦争の嵐の物語」と題された小説で、タイプ原稿で何と1万5千
ページ以上にも及ぶものであるというのだ。その内容は、残虐なグランデリ
ン人とヴィヴィアン・ガールズと呼ばれる少女をはじめとするキリスト教徒
との死闘を描いたものであり、晩年近くになってダーガーはその小説のため
に挿し絵を描き始めた。美術教育を全く受けていなかったダーガーは、雑誌
に載っているイラストからネガを起こし、それを基に絵を描くことを思いつ
いた。彼の絵に登場する少女たちはしばしば裸体で描かれるが、彼女たちに
はペニスがついている(世間知に疎い余りダーガーが性差を知らなかったの
ではないかという説もある)。
  彼は作品の制作に文字どおり命を賭けたようだ。少女たちが殺されていく
戦場の残虐なシーンなど、現実の世界では満たされることのなかったダーガ
ーの性欲の激しさが込められているようで、稚拙な技法で描かれているにも
かかわらず目を背けたくなるような迫真性がある。

  作品社刊のこの本は、ダーガーの絵の図版39点と小説の部分訳、及びダ
ーガー研究家であるマクレガーの評論を収録しており、ダーガー紹介にふさ
わしい完備された一冊であると言える。また、全くもってタイミングのいい
ことに、精神科医であり批評家である斎藤環氏が「戦闘美少女の精神分析」
(太田出版)を出した。ダーガー作品の詳細な分析を含むこの本は、心理学
サイドから現代の文化を論じた希に見る快著である。また淡交社刊行の「パ
ラレル・ヴィジョンズ」は、ダーガーの他多くのアウトサイダー・アートの
作品と解説を収めた大変読み応えのある一冊。ダーガーを深く知りたい方は、
作品社の新刊とともにこれら2冊の書物に是非目を通してほしい。

  ところで、ぼくはダーガーを異常な天才としてでなく、フツーの欲望をた
またま「作品」という形に昇華させることのできたフツーの生活者、として
捉えてみたいと思う。
  本欄で、ぼくが様々な現代の芸術作品に触れながら書いてきたことは、つ
まるところ「個室性」の問題を核にしたことだったように思う。それはダー
ガーの作品において余りにも突出した形で顕れている要素だ。都市化と核家
族化の進行が止まらない(どころか離婚と非婚が増大する一方の)今、この
言わば「ダーガー問題」は人の生き死にをも左右する重大問題へと急成長を
遂げていると考えられるのではないだろうか。
  共有される価値観の土台が危うくなった時、人が倒錯に陥るのはごく自然
なことである。
 「ダーガー問題」―それは現実世界で希薄になってしまった共同体性を回
復するために敢えて個室にひきこもり、「自分」を限りなく細分化し、自分
自身との関係を濃密にしていくことにまつわる諸問題である。それを現世否
定の思想と言い換えたとしても、恐らく間違いではないだろう。問題は自身
の肉体が住む現実世界を、一方で否定しながら一方で適応していくことであ
ろう。

  地続きな人間関係が希薄になって、現実の他者との対応が自明なものでな
くなり、人間が本来抱え持ってしまっている攻撃性を共同体が解消させてく
れる機会(祭りや戦闘の形で)を授けてくれなくなった時、現実の他者に刃
を向けることなくいかに本能としての攻撃性を先鋭化させることができるか。
これは現代の芸術家が抱え持つ最大の課題の一つであるように思われる。
 「現世否定」、それは攻撃性の究極の顕れだ。それを首尾よく「個室」の
中でやりおおせる者だけが、安全に「現実」の中に戻って来られる。

  ダーガーも、現実にはただ一人の少女にも危害を加えることがなかった。
  ダーガーの作品を見て衝撃を受けるのは、別に少女にペニスがついている
からとか、残虐な拷問シーンがあるからだけではない。作者の目が「向こう
」を見たきり、こちら側の世界の価値を一顧だにしないことが明らかだから
なのだ。彼は意外と現実と虚構の区別がついている。虚構の世界の中で徹底
的に「現実殺し」ができるだけなのだ。彼の小説には自伝的要素がしばしば
混入されるそうだが、それこそが「現実殺し」が徹底している証拠だ。不愉
快な外界から目を背けることなく、ただその事実を個室の中に持ち帰り、切
り刻み、彼の好む形に昇華させてしまう。
  「個室」化の進行する現代においては、ダーガーがシステマチックに行っ
ていたような「現世否定」の方法を、程度の差こそあれ各人が確立しておく
ことは、健全な日常生活を送る上での条件の一つになる(?)のではないか
、などと考えてしまうのである。
----------------------------------------------------------------------
■ 中国古典で浅学菲才が直る?/掩耳(えんじ)
----------------------------------------------------------------------
「礼」って何のためにあるの??

道徳、というものを語るとき、中国古典のなかで避けて通れないものがあり
ます。それは、四書五経のひとつ『礼記』。

『礼記』とは、言わば中国古典における礼儀作法と道徳の総本山みたいな本
なのですが、実はこれ読むと結構面白いのです。

まず、ちょっとひとつ問いを立てましょう。それは、なぜ礼儀作法なんても
のがあるの?? ということです。人間関係を円滑にするため、身分社会を
維持するための道具というのは、ぱっと思い浮かぶ答えですが、では、だっ
たらなぜ、葬式において細細した儀式をこなさなければならず、そのうえ、
後で3年も喪に服さなければならないのか、さらに酒をみなで飲むときさえ
細細した儀式や果てはゲームまでしなければならないのか・・・

『礼記』を読むと、どうもこれらには、ふかーい理由があるのです。いや、
理由というより、英知とでも言うべきものが・・・

例えば、葬式の儀礼をわざと細細とするのは、どうも(僕の勝手な読みの部
分がありますが)わざわざ煩雑な儀礼を踏ませることにより、残された者の
正気を保たせようとする狙いがあるようなのです。

これは『礼記』自体に書いてある酒の飲み方からの類推なのですが、要は
『礼記』に従うと、酒一杯飲むのにもえらい面倒な儀式なりゲームをしなけ
ればならないんだけど、これは、お酒を飲むのになるべく間隔をあけるよう
にして、今で言う急性アルコール中毒になったり、まあ2日酔いで翌日に支
障が出ないようにするための手段だと言うのです。まあ、学生さんがよく一
気飲みしすぎて、そのままお亡くなりになっちゃうニュースを春先よく耳に
しますが、そうならないようにするため、大人の知恵働かせて先を見越した
手を打ってた――これが「礼」なわけです。

葬式における儀礼というのも、どうもこれと同じ雰囲気がかぎとれます。思
い余った遺族がボロボロになりすぎないための手段(3年の喪というのも同
じこと)と読み取れるのです。つまり礼とは、まあ、いろんな意味合いが複
合してはいますが、その中のひとつが、「先々への布石」というのは間違い
ないようです。

現在(いや、昔からかもしれませんが)、今の若者には礼儀がないという言
説がなされますが、その発言はこの意味で、同時に発言者への問いかけとし
て返ってきます。「そういうあなたは先々への布石に何を打ってきたのか」
という問い。少なくとも、借金450兆にもしてしまった関係者、荒れる教
育に対し有効な手を打ててこれなかった為政者の方々、地球環境をここまで
ボロボロにしてしまった産業界のみなさんは、「礼儀」などと口にする資格
はどこにもない――などと書いたら、これは厭味に過ぎるのでしょうか。
==広告===============================
『デジタル時代の出版メディア』著・湯浅俊彦(旭屋書店・外商部に勤務)
四六・200P・上/1,800円+税/ISBN4-939015-27-0 C0000
◆学術出版の世界は激変している/電子出版は出版を変えるか/成長するイン
ターネット書店/出版情報・物流情報のデジタル化/出版メディアのゆくえ 
books@pot.co.jpで注文受け ポット出版●http://www.pot.co.jp/ 送料無料
===============================広告==
---------------------------------------------------------------------
■あとがき
----------------------------------------------------------------------
>えー実は、18日から北京に行ってきまーす
>はあはあ
>今回で3回目なんですが、ちょっと偉そうに中国旅行される方向けの注意事
項を・・エヘン、エヘン(えばってるらしい)
>なんか、気をつけた方が良いことあるんですか?
>大有りなのです。まず、荷物の鍵のかかってないポケットに何か入れたまま
飛行機とかに預けると、ほぼ100%抜かれます。僕は帽子、知り合いは歯ブ
ラシセット抜かれました
>おや、他人の歯ブラシセットまで取るんですか(笑)
>それと、胃薬と正露丸の類は必需品です
>食べ物にやられちゃうんですか??
>脂っこいのとは辛いのが多いので、要注意です。あ、それとポケットティッ
シュも大量に必要です(特にお腹の弱い方)
>ああ、日本みたいに歩いてれば、くれるわけじゃないでしょうからね(笑)
しかし、そんなこと言ってる本人が、お腹こわして真っ青な顔して中国うろう
ろしてるのが毎度のことなんじゃないんですか?(笑)
>ああ、そういうホントのことは言わないで(TT)
----------------------------------------------------------------------
■広告募集のお知らせ
当メルマガでは広告を募集しています。一回につき購読者数(現在2720人)
×1円×3行以内の予定です。詳しくはメールでお問い合わせ下さい。
======================================================================
■ 電子メールマガジン「[本]のメルマガ 」(毎月5・15・25日発行)  
■ 発行:[本]のメルマガ発行委員会                                     
■ 掲載された内容を許可無く転載することを禁じます。                    
■ COPYRIGHTはそれぞれの記事の記者が有します。
■ ご意見・御質問はこちらまで anjienji@mcn.ne.jp                       
■ HPアドレス http://page.freett.com/anjienji/index.html     
■ このメルマガは『まぐまぐ』を利用して発行しています。                
■ メールマガジンIDナンバー:0000013315
■ 購読・解除・変更手続きは http://www.mag2.com/ より行って下さい。    
======================================================================

▲トップページへ戻る