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2000.8.25.発行 vol.43 [本屋で、タクシーで 号]
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■■ [本]のメルマガ 2000.8.25.発行
■■ vol.43
■■ mailmagazine of books [本屋で、タクシーで 号]
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お詫び:諸事情により配信が26日になりうる地域もございます。発行遅延
の段、深くお詫び申しあげます……編集同人・五月
■CONTENTS---------------------------------------------------------
★トピックス
★「脱・書店員日記」/aguni(あぐに)
→本好きって何だ。読書って何だ。人と人との間に「本」はあるのか。
★「現代思想の最前線」/五月(ごがつ)
→休載。チカーナの星アンサルドゥーアの新刊インタビュー集を来月紹介。
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■トピックス
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■書物とデザインをめぐる雑誌特集が相次ぐ
『SD(スペースデザイン)』第431号・8月号、鹿島出版会、
2000年8月1日発行。特集=本:20世紀ブックデザインの精鋭
幻の詩誌「VOU」を主催した詩人の北園克衛の絶妙なデザインワークの紹介、
杉浦康平氏特別インタビューをはじめ、ヴィジョネア、トマト(アンダーワー
ルド)、漢謦(ハンシェン)、フルクサスとサムシング・エルス・プレスなど
など、デザインワークとアートブックの古今をめぐる総力特集。20世紀ブッ
クデザイン通史やSD特選必携書リストも要チェック。思わず古書店で探した
くなる本がズラリの、絶対買っておきたい一冊。特別定価税込2300円。
鹿島出版会HP:http://www.kajima-publishing.co.jp
『芸術新潮』2000年8月号、新潮社、2000年8月1日発行。
特集=三宅一生のデザイン実験室
今月20日まで東京都現代美術館で行われていた「三宅一生展」を君は見たか。
クロニクル形式のロング・インタビューを通じて、30年にわたる果敢な服飾デ
ザインの道程を一望できる必携の一冊。特集の他にもアートニュース「日本の
皮装本」や、西野嘉章氏の新著『装丁考』玄風舎の誕生秘話など、読みどころ
満載。特別定価税込1300円。
三宅一生HP:http://www.isseymiyake.com
#現代日本をそれぞれ代表するブックデザイナーの杉浦康平氏(1932-)とファ
ッションデザイナーの三宅一生氏(1938-)のインタビューは、クリエイターの
熱気あふれる息吹を惜しみなく伝えている。モノ作りにこだわる人々というの
は、何かしらの共通意識のようなものがあるのだろうか。相通ずる「現場主義」
と「価値転換」志向が例えば以下の言葉の内に見出せる、
杉浦氏「何しろ僕は(印刷・製本の)現場にいくんです。現場に足繁く通うデ
ザイナーは、他にはいなかったんじゃないだろうか。現場では、現場に居ない
とわからないようなものがたくさん見つけられる。例えば現場でおこるトラブ
ルやエラー。「ヤレ紙」の発生など。そういったものの中に「おっ、これはお
もしろいぞ」というものがあったりする。それを発想の源にしたりしてね。」
[以上『SD』8月号40頁]
三宅氏「われわれ自身が、僕も、滝沢直己もふくめて、しょっちゅう工場に行
って、人間の手や身体を使って何ができるかを探ってみる。あるいは、美しく
ないと捨てられていた失敗産品を、どうしたらプラスの価値に転化できるかを
考えたり。」[以上『芸術新潮』8月号59頁]
このほかにも、「現場主義とはチームワークの妙である」「デザイナーに求め
られるのは交渉力である」などのメッセージを読み取れる熱源がここにはある。
まがいものの自己啓発ではない「励まし」を受け取ることができるひとときだ。
#『装丁考』西野嘉章=著、玄風舎=発行、青木書店=発売、2000年4月発刊。
西野氏といえば、東大の博物学ならぬ博物館工学(って何?)の教授であり、
図像学に造詣が深いことでも知られる。1996年10月に東京大学コレクションの
一冊として刊行された『歴史の文字』(西野嘉章=編、東京大学総合研究博物
館=発行、東京大学出版会=発売、本体3200円、isbn:4-13-020203-0)は活
版印刷技術の粋を記録し、なおかつ洒脱な造本で記憶に新しいところだろう。
氏が「書物」をめぐる積年の随想をまとめたものがこの『装丁考』だ。まず造
本の妙にハッとし、手にとってその軽やかさに感心し、本文に目を通して組版
のシンプルさと文章の忌憚なさにうなる。限定版とはしたくなかったものの、
活版の印刷所はこの本を最後に店じまいして、初版わずか1000部をつくったの
み。つまり重版が不可能なのだ。数々のドラマを秘蔵した一冊は、ぜひ上記の
『芸術新潮』に掲載された裏話と一緒にゆっくり楽しんでみたい。本体5800円、
isbn:4-250-20025-6
■第121回紀伊國屋セミナー:知を内破する――ひきこもる市民社会の彼方へ
日時:9月28日(木)18:30〜21:00[開場18:00]
会場:紀伊國屋ホール(紀伊國屋書店新宿本店4F)
入場料:1,700円(全席指定、税込)
前売:キノチケットカウンター(紀伊國屋書店新宿本店5F)
予約・問い合わせ:紀伊國屋書店事業部 電話03-3354-0141
主催:紀伊國屋書店/東京大学出版会
パネラー:栗原彬、小森陽一、佐藤学、吉見俊哉
ゲストパネラー:川本隆史、中村和恵、如月小春
内容:『シリーズ越境する知』刊行記念講演会。国家、企業、市場、大学、学
校、家族という近代の装置は、個々人をタコ壺のような〈ひきこもり〉へと導
き、いたるところで言葉と身体の〈内乱〉を生み出している。近代の知に呪縛
された市民社会を、〈現場性〉と〈身体性〉と〈越境性〉によって内側から突
き崩す知の実践の方途を探る。
#『シリーズ越境する知』は全六巻予定で、現在第二巻まで刊行。第三巻『言
説:切り裂く』は来月刊行される。このほか第0巻『内破する知』も好評発売
中。東大出版会HP:http://www.utp.or.jp
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■ 「脱書店員電脳日記」/aguni(あぐに)
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第16回 TAXIと本
最近何かとタクシーを使うことが多いもので、タクシーの運転手さんと雑談
をすることが多い。で、だからと言って話すこともないものだから、自然と話
は本のことになる。
「昔は読んだけど、最近は読まないねぇ。」
理由は?といえば、もちろんタクシーの運転手さんというのは忙しいからだ。
何人もの人に聞いているけれど、本を良く読むという人に当たることはまずな
い。少なくともそんな時間がない。
それともうひとつ。年齢が上がってくると、目が疲れて、とても単行本なん
かは読めないという。(年配の方は文庫本のことを単行本と言う。面白い傾向
だが、理由はわからない。)
そうですよね、と私。聞くに、新聞と文藝春秋は読んでいるという。こうい
う層が読まなくなってはおしまいのような気もする。出版社の方は中活字文庫
を創刊してはいかがだろうか? 大活字ではないのは、それでも文藝春秋は読
みたいという(あれも活字はかなりちっちゃいと思うが、)その心意気に応え
るためだ。私はそんなことを思う。
「そういえば、三島由紀夫にサインを貰いましたよ。」
なんでも今日の運転手さんは昔、大田区馬込の方の果物屋で働いていたらし
い。そこらへんは当時、お屋敷が多く、御用聞きするには最高の場所だったと
いう。三島由紀夫邸はお得意さんで、行けば必ず何かを買ってくれていたらし
い。あるとき『金閣寺』を持って御用聞きに行ったときに、奥様の加代さんに
お願いしてみたところ、いいわよ、今、いるからお願いしてあげる、というこ
とで、貰ったらしい。当時運転手さん20代、三島由紀夫30代の頃のお話だとい
う。サインは今でも家に飾っているらしい。
その他では、室生犀星のとこもよく買ってくれたらしい。宇野千代は又今度、
とばかり言っていたらしい。
「あの人はなんか怖かったー。いつもまた今度で買ってくれなかった、という
印象があるね。」
* * *
運転手さんの関係では、実家の兄弟の娘が幼い頃から本好きだったらしい。
「いやー、ほんとに、あの子は本ばっかり読んでいましたよー。」
彼女はその後演劇の方にいったとのこと。結婚後も続けているというから筋
金入りだ。
「田舎に帰るときも本を山のように持って、あの子は本ばっかり読んでいて、
あんまり人と話をしなかったねー。」
本を読む人が少ないということは、コミュニケーションを媒介する「話題」
として、本が活用されないということを意味する。ということは「本を読む人」
というのは少数派なわけで、自然と会話は途絶えがちになる。野球、相撲、天
候・・・できれば読書は雑誌かマンガレベルに留めたい。話が通じないから。
コミュニケーションを媒介する「話題」として、本が活用されない。という
ことが、ひいてはベストセラー商品が生まれにくいことを意味する。『五体不
満足』『動物占い』『永遠の仔』『だからあなたも生き抜いて』・・・。特徴
は? 話題になりやすい、ということだ。
本が選べない・・・確かにそういう側面がないわけでもない。
しかし実際には、「いい本」が選べないのではなく、コミュニケーションを
媒介するための「ネタ」としての本が、用意に判断できないのだとしたら?
簡単なことだ。プロモーションとして、こういう風に話題にしてください、と
いうところまで示してあげればいいだけのことだ。
「書店同志で争っててもしょうがない。人文書担当は協力して話題を作ってい
かなければならないと思うんだ」(某書店員)
* * *
「昔の人の方が、もっと気楽につきあっていたような気がしませんか?」
「そうですねぇ。」
「やっぱり家族も多かったせいで、他人とのコミュニケーションに馴れていた
からかもしれませんねぇ。」
「そういうこともあるかもしれませんねぇ。」
人の話を聞かない、聞けない。自分のことばかり主張する。
それは本を読まなくなってきたことと、関係があるのかもしれない。
それはまた、他人を自分の中でどう引きうけるか、という問題にも繋がって
くるのだろう。このグローバリゼーションの世界の中で。
* * *
「本日の話題」
8/14 e-book・offオープン
http://www.ebookoff.co.jp/
システムまわりは トヨタのGAZOOがやっているようだ。
永遠の仔 (上) 天童荒太 \900 (新刊 \1,800 差額 -\900)
巨泉 大橋巨泉 \750 (新刊 \1,500 差額 -\750)
再販制はこうして足元から崩れているのに、どうしてそれを認識できない人
達がいるのだろう?
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■広告 「Z−KAN」第2号 絶賛発売中
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受験のZ会で有名な増進会出版が創刊したカルチャー雑誌、「Z−KAN」
2000年8月号 (ISBN4−939149−16−1)が好評発売中。
今号の特集は、恋愛。岡田斗司夫インタビュー「恋愛の取説 オタキング、
愛を語る」のほか、鳥肌実氏、山形浩生氏、小沼純一氏の好評連載など盛り
だくさん。全国書店にてお求めになれます。税別800円。
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■編集同人あとがき
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本誌臨時増刊号「バイオポリティクス」第3号で、韓国におけるアントニオ・
ネグリの受容について記事を書いたが、その準備の際に取材を申し入れてい
た活動家のイ・ウォンヤン氏から実に4ヶ月目にして返事をいただいた。韓
国においてコミュニズム勢力を立ち上げようとするとき、いかに危険にさら
されるかがメールの文面から偲ばれた。氏からの情報はいずれ皆さんに公開
できるだろう。ネグリとハートの新著『帝国』ハーヴァード大学出版部の邦
訳も、ついに某社が版権を取得、気鋭の訳者陣がこの夏から訳稿の準備を始
めたと聞く。来たるべき世紀の胎動を聞き分けていこう。 五月
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