2000.9.25.発行 vol.46  [夢の書斎 号]

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■CONTENTS----------------------------------------------------------- 
★トピックス

★「脱・書店員日記」/aguni(あぐに)
→クーンツの「困った業界人」の分類はまだ生きている。

★「現代思想の最前線」/五月(ごがつ)
→フェミニズムの新世代アンサルドゥーアの新刊インタビュー集を紹介。
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■トピックス
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■小沢書店が自己破産へ

1971年創業の堅実な文芸書出版社として知られていた株式会社小沢書店(資本
金2700万円)がさる9月11日不渡りを出し、即日操業停止となった。負債総額
は約3億円。読者層の個人消費の冷え込み等により、売上は最盛期の約三分の
一まで落ち込んでおり、不動産の売却などでしのいでいたが持ちこたえること
ができなかった。小売店ではすでに回収が始まっており、まもなく新刊市場か
ら商品は姿を消すことになる。常備期限いっぱいで返品する小売店ではいま少
しの展開をみることができるだろう。自社ビルを雑司が谷に構えるなど、順調
かと見られていただけに残念無念。数々の刊行中の文学全集はどうなるのだろ
うか。

■ブルデュー来日講演、第一線の社会学者の肉声を聞こう

「新しい社会運動のために」ピエール・ブルデュー来日講演会

日時:2000年10月3日(火)午後5:30会場、6時開会
会場:カンダ・パンセ・ホール(千代田区西神田3-9-10、電話03-3265-6366)
入場料:無料。予約無用、定員400名先着順
主催:恵泉女学園大学、後援:朝日新聞社、協賛:藤原書店

趣旨:現代フランスの著名な社会学者で、近年欧州や南米諸国の社会運動に大
きな影響を与え続けている、行動する思想家ブルデュー氏が来日、こんにちに
おける文化闘争と、その来たるべき地平を語る。

問い合わせ:恵泉女学園大学入試広報室(電話042-376-8217)9:00〜17:00土
日は休みです。パンセホールや藤原書店では予約を受付ておりませんので注意。

■知の変動を解析する紀伊國屋セミナー近日開催、お見逃しなく!

第121回紀伊國屋セミナー:知を内破する――ひきこもる市民社会の彼方へ

日時:2000年9月28日(木)18:30〜21:00[開場18:00]
会場:紀伊國屋ホール(紀伊國屋書店新宿本店4F)
入場料:1,700円(全席指定、税込)
前売:キノチケットカウンター(紀伊國屋書店新宿本店5F)
予約・問い合わせ:紀伊國屋書店事業部 電話03-3354-0141
主催:紀伊國屋書店/東京大学出版会

パネラー:栗原彬、小森陽一、佐藤学、吉見俊哉
ゲストパネラー:川本隆史、中村和恵、如月小春

内容:『シリーズ越境する知』刊行記念講演会。国家、企業、市場、大学、学
校、家族という近代の装置は、個々人をタコ壺のような〈ひきこもり〉へと導
き、いたるところで言葉と身体の〈内乱〉を生み出している。近代の知に呪縛
された市民社会を、〈現場性〉と〈身体性〉と〈越境性〉によって内側から突
き崩す知の実践の方途を探る。

東大出版会HP:http://www.utp.or.jp

■読者だからこそ参加したい、出版/書店業界の有名シンポジウム

本の学校・神保町シンポジウム2000

日時:2000年10月28日(土)13:00〜20:30[受付開始12:00]
会場:お茶の水スクエア・C館(JR東日本・中央線御茶ノ水駅下車徒歩5分)
参加費:第一部+第二部=1000円、第三部(懇親パーティ)5000円
※参加費は当日受付にて支払い。
主催:本の学校「大山緑陰シンポジウムin東京」実行委員会

趣旨:出版社、書店、図書館、著者、読者が集って、本や読書などをめぐる催
事を行う一大イベント。1995年から五年間、鳥取県大山山麓で催されたが、今
年は秋の読書週間に行われる「神保町ブックフェスティバル」と連動。出版バ
ブル崩壊後の「新世界」はどこにあるのか。寄る辺なき時代の文化の行方を模
索する。

タイム・スケジュール
13:00 開会
13:15 第一部:基調講演・重松清氏「子供を書店に放り込め!」3Fホール
14:30 第二部:パネル・ディスカッション「読者・街・書店」3Fホール
    司会=永江朗、パネリスト=世良與志雄(広島・フタバ図書)、
    福嶋聡(ジュンク堂書店池袋店)、荒田哲史(建築図書・南洋堂)、
    高橋小織(国分寺・隆文堂)
同時進行:第一分科会「年一回神保町に集まろう地方出版」3F・8号館
     第二分科会「作家はどのようにつくられ、読者はどのようにつくら
     れたか?」3F・14号室(資料費別途500円)
18:00 第三部:懇親パーティ A館11F・オニックスルーム
    司会=安藤哲也(bk1) 一般読者の参加も大歓迎とのこと
20:30 終了

http://www.hon-no-gakkou.com
参加希望者はEメールb-schule@imaibooks.co.jpかFax0859-31-9231まで申込
んでください。名前住所電話番号を添えて。締め切りは10月7日(土)。
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■ 「脱書店員電脳日記」/aguni(あぐに)
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第17回 出版業界不況伝説・世迷言

 今月の繰言。

 国文学関係の出版社、小沢書店が倒産した。その理由のひとつが、「ヒット
作にめぐまれなかった」という。国文学でヒット作、か。と、ちょっと悲しく
なった。

 *

 ディーン・R・クーンツの『ベストセラー小説の書き方』(朝日文庫)とい
う本の中に、「本は本当に売れなくなったのか」という一節がある(48頁)。
 クーンツによれば、出版界の崩壊を予告する人びとには5つのタイプがある
という。

(1)社会・経済欄にちょっとした記事を書くために即席の取材をする新聞記
者たち→出版業界について何も知らないで、たんなる無知から言いふらしてい
る人びと

(2)出版業界に関するかなりな知識をもち、この業界の関係分野で仕事をし
ているにもかかわらず、そこでの動きを正しく把握しようとする努力をしない
人びと→誤報や誤解に基づいて右往左往するタイプ

(3)編集者や出版社のたぐい→作家たちに不安を与えて前払い金や印税を値
切るために意図的に出版産業の悪口を言い、失敗をことさら大げさに言いたて
る

(4)出版界で働く編集者、エージェント、作家その他の人びと→(3)のタ
イプを知り合いに持ち、好意を寄せ、信頼している。本の売り上げについての
事実を探求する時間も意志もないので、第三のタイプの人の言うことをすべて
鵜呑みにしてしまう。

(5)自分の作品を売るのが自分自身のせいで失敗しているにもかかわらず、
その責任を取ろうとしない作家→出版界全体の売れゆきが落ちているという言
いわけに逃げ込もうとしている

 さあて、自分はどっかにあてはまらないかな、と考えてみた。

 ともかく「出版業界の不況」に乗じて金儲けをしようとしている輩はうよう
よいて、出版業界というのはわりとそういう点では無邪気だから、きっといろ
いろなことが起こり得るだろう。不安病にも注意が必要である。
 いや、それは業界外部にいるとは限らないんだけどさ。

 クーンツの結論は、「本はかつてなくよく売れている」。51頁から先は、買
って読んでいただきたい。

 * *

 12月アマゾン上陸。ほとんど出版業界のことを知らないスタッフだというの
が楽しみだ。出版業界のことを知らないということはつまり、様々な矛盾を知
らないということで、ということは、もしかしたら黒船になりうるかもしれな
い、ということだから。黒船は去ってしまうかもしれないけれど、そこに何ら
かの変革があればもうけもの。

 * * *

 出版業界の問題は給与体系である。意味なく給料が高い出版社ってありませ
んか?
 金があるところに金と情報が集まってくる資本主義社会の塊なんだよね、結
局、出版業界って。
 でもさ、むかしは革命だとかって叫んでいた人達もそこに入っているんでし
ょ? なんか変。

 * * * *  

 この文庫新書の嵐が去った後は、荒野が残るだけ。円本が日本の出版業界に
何をもたらしたのか、わかってないんだね、きっと。当たればでかいけど、刷
れば刷るほど自分の首を締める廉価本の不思議。
 その「販売」にはもしかするとビジネスチャンスがあるかもしれないけれど、
多分、作っている側にはその意識はない。きっと「下手な鉄砲も数打ちゃ当た
る」という考えだろう。健全化のために、早く再販制がなくならないかしら?

 * * * * *

 書店の合併、中小出版社の合併。
 社長さん、そろそろマジメに考えた方がいいんではないでしょうか?
 きっと社員もそう思っているからさ。

 次回は明るい話題でお会いしましょう。きっと。
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■「現代思想の最前線」/五月(ごがつ)
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第14回 ポストフェミニズムの星アンサルドゥーアの生き方

グロリア・エバンヘリーナ・アンサルドゥーアは1942年9月26日、メキシコ
からの移民の子として、アメリカの南テキサスのリオ・グランデ・ヴァレー
に生まれた。チカーナ(メキシコ系アメリカ人)にしてダイク(レズビアン)
のフェミニストであり、作家、詩人、文化理論家である。

現在サンタクルスに在住している彼女の著述は、アメリカにおけるフェミニ
ズム、カルチュラル・スタディーズ、メキシコ系移民の問題、文学、民族研
究、クィア理論、ポストコロニアル理論などに幅広い影響を与えつづけてい
る。編著者多数。女性研究誌「サインズ」の共同編集者を務めるほか、チカ
ーノ研究およびフェミニズム研究をテキサス大学で教え、カリフォルニア大
学サンタクルス校やノーウィッチ大学ヴァーモント校などで、講演等も活発
に行ってきた。

こんにちまで数々の賞を受賞しており、NEA(記者の勘違いでなければ、今
年で創立143周年を迎える、ワシントンDC所在の非営利的教育機関National 
Education Associationのことではないかと思う)のフィクション賞をはじ
め、91年にはレズ人権賞、92年にはサッフォー栄誉賞を受けている。日本人
にはいずれもあまりなじみのない賞かもしれないが、彼女の名声はすでに確
立されていると考えていい。

代表作『ボーダーランズ:新たなメスティーサ』は1987年Aunt Lute社から
刊行された。リテラリー・ジャーナル誌から当時のベストセラーの一冊とし
て選ばれている本書は、様々な要素の混合からなるもので、スペイン語/英
語、詩/散文、神話/自伝、過去/現在、回想/歴史分析が溶け合い、チカ
ーナのハイブリディティを闡明するものとして絶賛された。それは一種の存
在論的宣言であり、自己の固定的アイデンティティとそのポジショニングを
問い直す作業である。ふたつの異なる場所、文化、言語、現実において同時
に生きる経験を元に、どちらにも安住できない居場所の不確かさがある一方
で、西洋近代文明における二元論の無効とオルタナティヴな境界人の豊かさ
が表現されている。

アンサルドゥーアの境界とは、人種(チカーナであること)、ジェンダー
(女性であること)、階級(富裕ではなかったが、近隣で唯一大学に進学し
た)、セクシャリティ(レズビアンであること)、地域(アメリカ南西部と
メキシコとのボーダー)にまつわるものだ。世間一般のおおかたとは違って
いる人々、ふたつの異なる文化の狭間で生きねばならない人々が、新たな価
値空間を創造する様を描いた『ボーダーランズ』は、心理的/物理的な諸境
界の祝福と呪詛を示しつつ、共同体の成員であり同時に永久のアウトサイダ
ーでもある生の創造性を見つめている。

特に彼女のセクシャリティの表明は、80年代後半から90年代前半にかけての
フェミニズム理論にインパクトを与えた。アメリカの従来のフェミニズムで
は実に、アングロサクソンでヘテロなプロテスタントの白人女性が暗黙の主
体となっており、有色人種の女性がいかに無視されつづけてきたかが明らか
になっていったのだ。

この代表作は1999年の5月に、『境界上のフェミニズム』の著者ソニア・サ
ルディバル-ウルの序言と、アンサルドゥーアの新しいインタビューを加え
た第二版が刊行されている。このほかアメリカ白人社会に生きる有色人女性
の声を広く集めた画期的論集や、民話に触発された子供向けの創作童話まで
様々に印象的な執筆活動を続けている。

彼女の著作の大きな特徴になっているのは、人種とセクシャリティの特異さ
がかならずある種のスピリチュアリティと土着的な神秘性を伴っていること
だと言える。境界人のヴィジョンは世界の分断を癒すことができる。それが
彼女の執筆の源泉である。

アンサルドゥーアのその源泉をつぶさにみることができるのが、2000年の6月
に刊行された『インタビュー集』である。1961年生まれのアナ-ルイーズ・キ
ーティングの編纂になるもので、1982年から1999年までの10のインタビュー
を収録している。これが非常に面白い。編者自身も自覚しているように、イ
ンタビューはアンサルドゥーアの著書を何冊も束ねたような膨大な情報量を
蔵している。いや、著書以上に多くのことを含んでいると言えよう。つまり
本書は格好のアンサルドゥーア入門であると同時に、自伝であり創作ノート
であり大全とも言うべき豊穣さを備えている。

セクシャリティとスピリチュアリティとの関連とは何か。例えば彼女はオル
ガズムを他者との合一であると同時に自他以上の何かとの合一でもあると捉
えている(37頁以下参照)。ここだけを抽出すると彼女の言いたいことの半
分以上を見誤る可能性があるので注意したい。彼女が重視しているのは、越
境の精神性であって、呪術的な神秘主義ではない。

現実の社会運動において、彼女は繰り返し、男性との共闘や異なる共同体間
の同盟は可能だと主張し、一人ひとりがその掛け橋(bridge)となりうるこ
とを語ってやまない。ネオ・トライバリズムの台頭についてイネス・エルナ
ンデス-アビラと交わす対話は、本書でも読んでいて胸を詰まらせる、非常
に緊張感のある一節だが、それでも彼女の「掛け橋」としての熱情は尽きる
ことがない。

ボーダーランズ、境界という言葉はまたたくまに人口に膾炙し、ポストモダ
ン社会を占う便利な概念として様々な場面で活用され始めたが、彼女は今、
かつての境界(Frontera)という言葉に代えてNepantlaというタームを使っ
ている。このNepantlaも境界を意味するのだが、ここではより濃く精神性の
次元が強調されている(編者による解説も参照。5頁以後)。

「私がもともと意味させているより限られた定義で『境界』というメタファ
ーを使う人たちがいるので、精神的で情念的な側面をより強調しようと思っ
て、nepantlaという言葉を使い始めたのです。この言葉によって、精神的な
世界との紐帯、死後の世界や心霊的空間との紐帯はより鮮明になりました。
この言葉はよりスピリチュアルでサイキック、超自然的で、土着的な共鳴を
意味しているのです」(『インタビュー集』176頁)

彼女の言うスピリチュアリティは、繰り返すがいわゆる現代的オカルト(思
えばこのオカルトという言葉もラテン語時代に比べてずいぶん脚色されたも
のだが)ではない。アンサルドゥーアのキータームにconocimientos、叡智
とでも訳すべき言葉があるが、その叡智と対極の概念としてdesconocimiento
というのがある。これは「知らないこと、知ることを拒絶すること、無視で
あり、害を与え、交流を取り返しがたく失敗させ、信用を裏切り、破壊する
もの」である。ゆえに現代の人間的生活における諸悪であるとされる(178
頁参照)。

この激越な言葉は、越境し結び合おうとする人間にとっての原初的な力ある
いは場(それがスピリチュアルなもの=魂であるわけだが)を阻むものへの
怒りから来ている。アンサルドゥーアのスピリチュアリティとは、境界を越
えて未知の一人ひとりの「あなた」と結びつきあう力を言うのだと思う。

キーティングとの対話の末尾近くに、「あなたの怒りの質は変わってきたの
ですか」という問いかけがある。アンサルドゥーアは答える、「ええ、もっ
と和らいできました。怒りが込み上げてくるとすぐに考えるのです、まてよ、
自分がしていることをよく見なきゃ! この怒りは何かの役に立つかしら、
私は怒りを感じる相手より素晴らしい人間かしら、この世界をより良くして
いく助けになるかしらってね」(288頁参照)。彼女はけして態度を軟化さ
せたわけではない。日本という国でまともに怒ることすらできない私たちが
更に彼女のこの自然体と観察眼に共鳴できるまでには、まだはるかに時間が
かかるのだろう。

アンサルドゥーアの自覚=魂は次の通りである、

「私の役割は、教師であり癒し手であり、(文化の)翻訳者であり瞑想する
者です。それが私の作家としての仕事です」(200頁参照)。

彼女が「旅人よ、掛け渡す橋はもともとあるのではない。人が歩み、橋がつ
くられるのだ」と書くとき、私は魯迅の次の言葉を思い出す、「希望とは、
もともとあるものだとも言えぬし、ないものだとも言えない。それは地上の
道のようなものである。もともと地上には、道はない。歩く人が多くなれば、
それが道になるのだ」(『故郷』竹内好=訳より)。この素朴で力強い言葉
を前にして書き継ぐ言葉はない。ただ、掛け渡すために誰かに会いに行くこ
と、それだけだ。[2000年9月25日]

参考文献

Gloria E. Anzaldua "Interviews / Entrevistas" Routledge, 2000,
isbn:0-415-92504-5, $18.95-
http://www.routledge-ny.com/

"Borderlands / La Frontera : The New Mestiza" 2nd edition, 
Aunt Lute, 1999, isbn:1-879960-56-7, $13.95-, Introduction by 
Sonia Saldivar-Hull
http://www.auntlute.com/anzaldua.htm

Afterwords : Tommorow is her birthday. I, just an unknown reader 
in Japan, would sincerely say to Gloria, Happy Birthday to you!!
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■編集同人備忘録
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一週間ほどシアトルへ旅行に行ってきた。スターバックスの第一号店やビル・
ゲイツの別荘やらを横目で見ながら、市内の書店や図書館も巡った。評判が
高いダウンタウンのエリオット・ベイ書店のたたずまいに、すっかり時を忘
れて過ごした。日本の大型チェーン店にありがちな、既成ビルの一角を間借
りしたインショップの平板なフロア展開と違い、起伏とドラマのあるインテ
リアを堪能。そうだ、これは「一から本屋として」設計された空間なのであ
って、無味な多目的型「がらんどう」に棚を並べたものとはわけが違う。日
本の来たるべき書店人たちよ、あなたたちはもはや多目的という名の平板な
空間設計から真の意味で自由でなければならない。日本のチェーン店と同じ
ように米国で多店舗展開をしているバーンズ・アンド・ノーブルのこぎれい
でゆったりした空間もやはり平板であることに変わりはなかった。  五月
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