2001.03.25.発行 vol.64 [花粉か花見か 号]

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■■  [本]のメルマガ                             2001.03.25.発行
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■■       mailmagazine of books               [花粉か花見か 号]
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■CONTENTS----------------------------------------------------------- 
★トピックス
→コーネル来日講演本日、再販制論議の最前線など

★「SM日記」/本屋のSM嬢
→花粉症のご案内嬢、本日も奮戦。投稿もアリ。

★「脱・書店員日記」/aguni(あぐに)
→ブックオフの棚は、読者が売った本で出来ている。その積極的意味は……。

★「現代思想の最前線」/五月(ごがつ)
→死期間近とも言われるサイード。しかし「最後の花火」以上の評価と活躍だ。

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 ★3/10刊『ためらいの倫理学――戦争・性・物語』    内田 樹 著
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 46判/並製/272頁/本体2000円/発行:冬弓舎(http://thought.ne.jp/)
 ――――審問の語法は「不幸」な語法である――――(本書より)
 なぜ私は戦争や性について「語らない」のか。
 正義がより正義であるために。非−正義にむけた痛快かつ痛切な方法序説。
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■トピックス
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■ドゥルシラ・コーネル来日講演本日!!

現代アメリカを代表するフェミニズム系法哲学者ドゥルシラ・コーネルが来日
し、公開講演・討論会を行う。本日当日! 発売されたばかりの本邦初訳単行
本『自由のハートで』情況出版とも通底する「法とジェンダー」が演題。従来
の平等主義的理想やポストモダン的差異主義を脱構築し、自由な人格としての
女性の承認と性表象の権利、性的志向のアソシエーションへの権利を主張し、
中絶、妊婦の労働、父権、養子など、具体的な論題へ切り込みながら、「法改
革」への基礎を示す。ロールズやドゥウォーキンを批判的に検討し、カントや
デリダを捉えなおす。必聴。

ドゥルシラ・コーネル『法とジェンダー』講演・討論会
日時:2001年3月25日(日)午後2時
場所:中央大学駿河台記念館430号室(JR及び丸の内線御茶ノ水駅、千代田線
新御茶ノ水駅下車徒歩3分)
参加費:一般1000円、学生500円
主催:アソシエ21(電話03-5282-2221)

※コーネル著『自由のハートで』仲正昌樹ほか訳、情況出版、本体3200円、
ISBN4-915252-52-3 (原著1998年プリンストン大学出版刊行)

■どうなる再販制? 公取委レポートの混乱ぶり

年来その存廃が公正取引委員会に取り上げられてきた「再販制」は出版、新聞、
音楽業界を巻き込み、存続賛成派と撤廃派の議論が激しく入り乱れてきたが、
ついに先日(2001年3月23日)、「当面存置する」という暫定的結論に達した。
「再販制」は独占禁止法で原則禁止されている再販売価格維持行為に対する適
応除外制度であるとされており、文化の振興と普及の観点から戦後長らく施行
されてきた。つまり「いつ・どこで」でも同じ安定した価格で国民が入手でき
る権利(古書は除く)を重視したのである。

しかし表向きとして、規制緩和の推進と「公正かつ自由な競争」を掲げる公取
委側としては、関係世論の強い反対にもかかわらず、市場原理の元に「撤廃」
しようとしてきた。消費者団体、著作権者団体から意見を聴取した結果、存続
賛成意見が全体の98.8%(反対は1.2%)を占め、国民的合意が得られるまで「撤
廃」はしない、と公表した。超党派の国会議員による存続支持派が現れ、政治
家の関心もにわかに高まったが、議論の推移をほとんどの国民が知らなかった
ことは大きな問題だった。既得権を守ろうとする勢力や、無責任で抽象的な「改
革」派には任せず、自分自身で是非を考えてみたい。

平成12年度報道発表資料 http://www.jftc.go.jp/pressrelease/12index.htm
12月7日発表「著作物再販制度の見直しに関する検討状況及び意見照会について」
をクリックすると詳細のPDFファイルがダウンロードできます。

平成13年度報道発表資料 http://www.jftc.go.jp/pressrelease/13index.htm
3月14日発表「著作物再販制度の見直しに関する意見照会・意見聴取等の状況に
ついて」
3月23日発表「著作物再販制度の取扱いについて」こちらのみPDFファイル。
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■「SM日記」/本屋のSM嬢
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第3回 お問い合わせカウンターでの出来事(3)

皆様こんにちは、3ヶ月ぶりのご無沙汰です。本屋のSM嬢と申します。花粉
の季節は薬を飲みますが、それでもだんだん薬に慣れてしまって、ティッシュ
が手放せません。お客様へのご挨拶も「いダっしゃいバせ!」になっている時
があるのですが、今日もご案内係は奮闘しています。では、お客様との素敵な、
勉強になった出会いをご報告させていただきます。

お題(1):今週の「お急ぎのお客様」

「ウソの本を探しているんだけど」40代の女性のお客様です。このごろ種類が
増えている「ウソをつく心理」を解説した関係書目をいくつかお持ちしました。
「そうじゃなくて、ウソをついたあとの本よ!」あと?の本と仰いますと……。
「ウソをついたあとの方が重要な研究対象だと思うわ。そういう本がないなん
てなげかわしいわね!」もういいわ、と足早に行かれました。ウソをついたあ
との「処理方法」が重要だと仰ったのでしょうか。それともご本人様がただち
に研究しようと思い立たれたのでしょうか。切迫したご様子でした。結局「あ
と」の真意はわかりませんでした。お役にたてず、申し訳ございません……。

お題(2):投稿「良くお見かけするタイプ」
 
 お電話などの問い合わせで、あらかじめお取り置きしておいたご本を「こち
らでございますね」とお渡しする時、約三割(推定)のお客様が、手にご本を
お持ちのまま「で、これいくら?」とお尋ねになるのは何故なのでしょう。値
段、お手元のご本に表示されてあるんですけど……、とは言えません。だって、
本屋さんは何でも知っている〜、と思っていてくださるんですものねえ。でも
でもー。                    [ヨウコ様からのご投稿]

ヨウコ様、ご投稿ありがとうございます! 私も体験したことがあります。お
急ぎのタイプのお客様にお見かけする感じでしょうか。「あ、袋もカバーもい
らない。このまま持っていくから」と言われるともっと困惑するのですよね。
スリップを抜いて、バーコードを読み取って、という作業、あまりお客様には
意識されていないのかもしれません。

※「あるある」体験談は kleinwald@hotmail.com までどうぞ!
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■ 「脱書店員電脳日記」/aguni(あぐに)
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第23回 バベルの図書館とブックオフの棚作り

 池袋のジュンク堂がリニューアルオープンしたので行ってみた。若干の噂は
聞いていたのだけれども、まさに噂以上の本の城だった。たまたま出社前で、
空いている時間帯であった、ということもあるのだろう。お客の数は少なく、
ただむやみに棚と本ばかりが並んでいた。文庫のフロアーにはこれでもか、と
文庫が積めこまれていて、その冊数を考えると、ちょっとめまいがした。バベ
ルの図書館ではないが、ここには人類全ての英知が詰まっている、のだろうか?

 などとまあ、ぼうっとしていても仕方がない。岩波同時代ライブラリーの『影
との戦い』を探してみた。もうとっくに品切であることは知っていたが、やっ
ぱりなかった。ま、所詮、流通している本しか扱っていないのだ。それは当た
り前のことなのだけれども。

 オンライン書店(例えばbk1)で検索してみる。『影との戦い』は岩波か
ら4度出ているけれども、今、手に入るのは2点であることがわかる。
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?bibid=00633841
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?bibid=01701794
 もちろんこちらもない本は買うことができない。

 翌日、休日にまたジュンク堂に行ってみた。今度は自分の好きな棚を見つけ
るために行ってみた。最近はあまりそういうこともしていないが、前は、いく
つかの書店のうち、好きな棚だけに行くような書店の使い方をしていた。新刊
台を見るならどこ、とか、社会の棚を見るならどこ、とか、文庫はあそこ、と
か、コミックはどこ、とかいう風に。

 書店にとって「棚作り」は財産である。それは、誰かプロフェッショナルが
多くの山のように刊行される書籍からセレクトして並べたものだからだ。好き
な「棚」を見つけることは、つまりは膨大な書籍全てを見なくても自分にとっ
て面白いであろう本にそこで出会えることを意味する。だから人はその書店の
その棚に通う。時間の節約のために。はっきり言って、普通の人が全ての書籍
情報なんて、見てられるか!

 まあ、オープンしてまだ間がない、ということもあったのだろう。残念なが
ら、そういう棚を見つけることができなかった。ちなみに私の好きなのは、認
知科学と言語学とサブカルチャー論が一緒になったような棚だ。最近、近くに
こういう棚のある書店を持っていないのが悲しい。仕方がないので自宅で作ろ
うか、と思っているけれども(笑)。

 家からすぐ近くの大きなブックオフに行ってみる。1階はCDとDVDとコ
ミック。2階にそれ以外の書籍。これまたジュンクとは対照的に、書籍はジャ
ンルという概念があるのかないのかわからないような詰め込み方。値段はとい
えば、最近のブックオフは普通の古本屋ライクな価格設定になっていて、とい
うのはたいてい新刊販売時の半額の値段設定だからそんなに安いわけではない。
けれども、おそらくここでしか手に入らないだろうという本を発見して、マン
ガ3冊、単行本3冊ほど即買いしてしまった。本に出会うにはいい環境かもし
れない。

 実はブックオフの棚作りは、その町の本好きの客がしている、という事実が
ある。面白かったか面白くなかったかは別として、とりあえず買った本ばかり
が棚に並んでいるわけだ。ブックオフの仕入れはその店で行うのが原則だから、
これが結果として店毎に特徴を出している。もちろんどうしようもない本も混
ざっているだろうけれども、きっとそういう本は売れないから売れ残る。する
と値段を下げる。なんとマトモなビジネスだろう。
 ポイントは誰かがきちんと本を読んで選んでいる、という事実である。客を
店員にしてしまう。これは他のリアル書店にはできない芸当だった。

「この店のこの棚に行けば、時間が節約できる。」

 この事実は、所詮、どの店でも入手可能な書籍に違いがない以上、お客にあ
る特定の店の特定の棚に通わせる理由を与える。これが「許容」である。この
「期待」を裏切らない限り、お客の数は減らない。そしてお客は「期待」して
読むだろう。読んだ結果、やっぱり裏切られていないと思ったなら、この「許
容」は強化され、ますます売れるだろう。

 これが前々回までテーマにしていた書店のパーミッション・マーケティング
であった。しかしよく考えると、これは非常に消極的なマーケティング方法で
あることがわかる。そういう意味では依然として「待ち」の商売である書店と
親和性が高いとも言えるが、しかしただお店で棚を作って待っているだけでは
これまでと一緒。

 では一体、どうすれば最初のお客を獲得できるのだろうか?

 サイン会? 講演会? 喫茶店? それとも値引き販売? 会員制? 

 ブックオフの会員カードがあれば10%分の商品券がもらえる。会員制のキャッ
シュバック。こんな簡単で普通のことを、やっている書店もやっていない書店
もある。大手書店はなぜやろうとしないのだろうか? 再販制擁護派からクレ
ームをつけられるのでも恐れているのだろうか?

 ちなみに私がネタとして使っている「パーミッションマーケティング」の本
は以下のものである。
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?bibid=01707482

 この同じ著者が一応、「最初にパーミションをもらうのにどうやって注目し
てもらえばよいか?」に答える、と称して出したのが、「バイラルマーケティ
ング」である。これは一体、いかなるものなのだろうか?
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?bibid=01973517

(次号に続く)
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■「現代思想の最前線」/五月(ごがつ)
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第20回 サイード、批評の王座はいよいよ荘厳される

ため息である。この活躍ぶり、この影響力。前世紀末アメリカを代表する論客、
それは間違いなくエドワード・サイード(1935-)その人であり、彼でしかもは
やありえないのではないか。このコーナーでも原著発売直後に取り上げた自伝
『アウト・オヴ・プレイス』1999年クノップフ社が、早くもみすず書房から邦
訳版『遠い場所の記憶 自伝』として日本語でも読めるようになった。翻訳は
かつて、バーサミアンによるサイードのインタビュー集『ペンと剣』1998年ク
レイン刊を担当した中野真紀子さん。更にみすず書房からは『文化と帝国主義』
の下巻が近刊であることを小誌の読者ならご存知だろう。

そうした邦訳の充実がいっそうその活躍ぶりの輪郭を際立たせているのだが、
病身にもかかわらずサイードの論文を目にする機会は最近多くなっているし、
サイードを論じた文章も多い。もちろんそれらはこれまで書き溜められてきた
ものなのであって、批評界の王座は、倦むことのない執筆に続く執筆、ペンに
よる闘争に次ぐ闘争という堅固な礎石の上にそびえている。早速今年(2001年)
に入ってから刊行されたものと、続刊予定を紹介しよう。

2月に刊行された『亡命についての省察とその他エッセイ集』ハーヴァード大
学出版は、枕のような分厚い論文集で、表題作「亡命についての省察」と合わ
せ、文化論・文学論46篇を収める。メルヴィル、コンラッド、ヘミングウェイ、
シオラン、ジョージ・オーウェルら文学者のほか、ヴィーコ、ニーチェ、グラ
ムシ、アドルノ、ルカーチ、レイモンド・ウィリアムズ、ロラン・バルト、フ
ーコーら思想家を論じ、グールドやブーレーズなど音楽家や映画をめぐるエッ
セイもある。多彩な関心領域はサイードのこれまでの足跡をあとづけるもので
あり、先に出た自伝と対を成す一巻である。
"Reflections on Exile and Other Essays" by Edward W. Said,
February 2001, Harvard University Press, Hardcover, 576 pages,
$35.00, ISBN: 0674003020

さて、パレスチナ和平をめぐる書籍に、あとがきと序言を寄せたものが各一点
ずつある。あとがきは、2月に刊行されたユージン・ローガンら編纂による『パ
レスチナ戦争:1948年の歴史を書き直す』ケンブリッジ大学出版の「中東研究
叢書」第15巻に付されたものだ。
"The War for Paletine : Rewriting the History of 1948" edited by 
Eugene L. Rogan, Avi Shlaim, afterword by Edward W. Said, February 
2001, Cambridge University Press, Hardcover, 248 pages. 
現在上記ハードカヴァー版が入手可能だが、5月には廉価版のペーパーバック
も出るので、価格とISBNはそちらを記しておこう。Paperback, $19.95, 
ISBN: 0521794765

序言を寄せるのは、ジャーナリスト系漫画家(と言っていいのだろうか)であ
るジョー・サッコが1996年のアメリカン・ブック・アワードを獲得した『パレ
スチナ』の新版に対してで、ファンタグラフィックス社から来たる5月に刊行
予定だ。
"Palestine" by Joe Sacco, Introduction by Edward Said, May 2001, 
Fantagraphics Books, Paperback, 288 pages, $24.95, ISBN: 156097432X

さらにベイルート生まれ、ロンドン在住のパレスチナ人女性アーティスト、モ
ナ・ハトゥムがイギリスのテイト・ギャラリーのために作成した新作3点に向
けてコメントしたものと思われる(現物未入手)、『モナ・ハトゥム:世界は
これすべて異郷の地なり』というパンフレットが3月に発売されている。キュ
レーターはシーナ・ワグスタッフ。
"Mona Hatoum : The Entire World As a Foreign Land" by Edward W. Said, 
Sheena Wagstaff, March 2001, University of Washington Press, 
Paperback, 40 pages, $19.95, ISBN: 1854373269 

サイード論としては、ビル・アシュクロフト(著書『ポストコロニアルの文学』
青土社が既刊)らによる、『エドワード・サイード』(ラウトレッジ社の批評
思想家シリーズ)の第二版が3月に出た。サイードのキイ概念を簡明に解説し
たコンパクトな入門書だ。そしてなにより極めつけと言うべきなのが、そのひ
と月前の2月(先月)に出たパトリック・ウィリアムズ編『エドワード・サイ
ード』セージ出版社である。全4巻箱入で1664頁、消費税を加算すると13万円
(778.50ドル)を超える、堂々たる研究論文選集だ。

第一部「知識人と批評:立場と論争」にアイジャズ・アハマドやマイケル・ス
プリンカー、アシュクロフトほかによる16篇、第二部「『オリエンタリズム』
論」にはジェイムズ・クリフォードやギヤン・プラカシュほかによる18篇、第
三部「文化の様々なかたち、学問的諸境界」にはリサ・ロウやリンゼイ・ウォ
ーターズほかによる23篇、第四部「理論と政治」にはホミ・バーバやヘイドン・
ホワイトほかによる22篇が収録されている。まさに一大コルプスだ。国内の洋
書店で配布していたパンフレットにも「文芸批評、カルチュラル・スタディー
ズ、人種・民族問題、社会学、人類学、政治学などへのサイードの寄与と影響
を評価するために不可欠の資料を提供する」とある。なるほど確かにそうかも
しれない。セージ出版社の「現代社会思想の巨人たち」シリーズから刊行され
たそれは、否応なくサイードの地位を私たちに認識させるものだ。
"Edward Said" 4 volumes, edited by Patrick Williams, February 2001, 
Sage Publications, Hardcovewr, 1664 total pages, ISBN: 0761969802 

上記論文集にも貢献しているホミ・バーバは、まだ当分先だが、ポリティ出版
社から来年5月に『エドワード・サイードとオリエンタリズム』という書籍を
刊行する予定。バーバの立場からして苛烈な論争の書となる予感がする。
"Edward Said and Orientalism" by Homi K. Bhabha, 31th May 2002, 
Polity Press, Hardback, ISBN: 0745608175
このほかバーバ自身は長くかかっている『ファノン・リーダー』をブラックウェ
ルから間もなく公刊し、主著『文化の場所』も某版元から今年中には邦訳刊行
されるだろう。

最後にサイードのインタビュー集の近刊2点をご紹介したい。
  
まず6月にミシシッピ大学出版から「著名知識人インタビュー」シリーズの一
冊として『エドワード・サイードへのインタビュー』が刊行予定。
"Interviews With Edward W. Said" by Edward W. Said, 
edited by Amritjit Singh and Bruce G. Johnson, June 2001, University 
Press of Mississippi, Paperback, 224pages, $18.00, ISBN: 1578063663 

そして8月には、大手のクノップフ社から『権力・政治・文化:エドワード・
サイードへのインタビュー』が近刊予定されている。
"Power, Politics, and Culture : Interviews With Edward W. Said" 
by Edward W. Said, Gauri Viswanathan, August 2001, Knopf, Hardcover,
$25.00, ISBN: 0375421076

いずれの編者やインタビュワーもポストコロニアル研究の気鋭の思想家である。
サイードの著書はこれまでも比較的に積極的に邦訳されてきた方だが、細かい
インタビューや小論なども含めると、日本人にとってはまだまだ未聞の多くの
テクストが残されていると言っていいだろう。ここ数年のサイードの動向には
刮目せずにおれまい。同時代人として彼の息と魂魄をまた自分も呼吸しようと
すること、それがどれほどの特権なのかがわかるのは、彼のやがて来たるべき
死後のみなのであるから。[2001年3月24日]

付記―――――――――――
|前回のドゥルーズ=ガタリ特集記事の記事について、杉村昌昭様から誤記の
|指摘を頂戴しました。謹んでお詫びし、訂正します。フランソワ・トスケル
|と書いたのは、フランソワ・パンの誤りでした。詳しくは小誌HPのバック
|ナンバーで訂正の上、付記いたします。杉村先生、ありがとうございました。
|また、記事で取り上げたギャリー・ジェノスコ氏本人に問い合わせていたプ
|ロフィール情報が届きましたので、併せて近日中にアップロードいたします。
|前回は記事中に一部文字化け(英数字が?に)もあり、そちらも訂正いたし
|ます。なお、ドゥルーズとガタリそれぞれの単行本(原著および邦訳)リス
|トを作成済みですが、こちらはご要望があればアップいたします。
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■編集同人備忘録
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テレビ業界のフリー・ディレクター森達也氏の『スプーン』飛鳥新社を新刊コ
ーナーで立ち読みして暗い気持ちになった。私は氏の戸惑いや疑問に同感する。
「火の玉教授」O槻氏やタレントの松尾某氏や大竹某氏が「超常的能力」を罵
倒する際のあの自信満々の物言いに接するたび、何とも言えない嫌な気分がし
たものだ。懐疑があのように用いられたことがかつてあったか。バカにされて
いるのは「超能力者」やその礼賛者たちではない。私たちは天から降ってくる
彼らの唾を受けているのか。反対派はその実、科学をも理性をも蔑(なみ)す
る利己主義の狂信者と化しやすい。いったい何が「常識」か。     五月
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