2001.04.25.発行 vol.67 [伝染するアイデア 号]

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■■  [本]のメルマガ                             2001.04.25.発行
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■■       mailmagazine of books           [伝染するアイデア 号]
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■CONTENTS----------------------------------------------------------- 
★トピックス
→新生『夜想』,「リキエスタ」シンポ,『テキスト実践技法』刊行など

★「脱・書店員日記」/aguni(あぐに)
→自分も参加してみたくなる伝染型アイデア。bk1とGOZANSの新企画

★「現代思想の最前線」/五月(ごがつ)
→『ゲド戦記外伝』がついに刊行。秋には最新第5部『他なる風』が!
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■トピックス
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■雑誌『夜想』が新生創刊、その名も『夜想2−:+』、読み方は?

昨春惜しまれつつも解散したペヨトル工房が、1979年10月から1999年7月まで
20年間にわたって刊行しつづけてきた個性派雑誌『夜想』が、このたびリニュ
ーアル創刊された。その名も『夜想2−:+』。やそう・トゥ・マイナス、と
読む。マイナスがふたつ重ね合わさるとプラスに転ずる、という意味深長なタ
イトル。解散から約一年後の復活は、ペヨトル工房から独立した「ステュディ
オ・パラボリカ」のミルキィ・イソベ氏によるもの。創刊準備号として4月20
日に発売された0号は、チェコのアニメーション映像作家であるヤン・シュヴァ
ンクマイエルを特集。旧『夜想』35号(最終号)の人気特集「チェコの魔術的
芸術」を引き継いだかたちだが、内容は「メチャ濃い」です! 通でなくとも
「たまらん」です! 体裁はB5変型判カラー160頁で、税別1500円。店頭では、
違いのわかる書店でのみ、販売している。アナタの行きつけの本屋さんは置い
ているか? http://www.tctv.ne.jp/peyotl/2minus/yaso_00.html

※急告!冬弓舎より『ペヨトル興亡史』が来たる6月についに刊行!詳しくは↓
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/sangatu/tubureta/peyotorukoubouki.htm

■《リキエスタ》刊行&『本とコンピュータ』リニューアル記念シンポジウム

ついに4月10日から開始された人文系オンデマンド書籍シリーズ《リキエスタ》
をご存知ですか?http://www.transart.co.jp/richiesta/ 人文系出版社6
社(岩波書店/晶文社/筑摩書房/白水社/平凡社/みすず書房)が共同して、
『本とコンピュータ』編集室と、大日本印刷ICC本部のサポートによって、
立ち上げられたオンデマンド出版群だ。あるいはこちらもご存知ですか、読書
人のための専門誌『本とコンピュータ』が好評につき、「終刊予定」を粉砕し
て、来たる9月に第二期が新創刊されることは?http://www.honco.net/ これ
らに携わる、出版の次代を担う仕掛人たちが一同に会して、シンポジウムを開
きます。参加無料!

シンポジウム「電子出版の未来・実践編」

日時 5月10日(木) 開場18:00 開演18:30〜21:00
場所 紀伊國屋ホール(紀伊國屋書店新宿本店4階)TEL03-3354-0141
定員 400名(入場無料)、要申込→お名前・年齢・住所・電話番号を明記
のうえ、はがき、FAX、Eメールで下記までお申し込みください。定員にな
り次第、しめきらせていただきますので、お早めに。

〒162-0846 東京都新宿区市谷左内町29-3豊橋市ヶ谷ビル1階
「本とコンピュータ」編集室 シンポジウム係行
FAX 03-3266-2499/E-mail zassi@honco.net

趣旨:ブックオンデマンド、インターネット配信等、電子出版がいよいよ本格
的に動き始めた。本を「書く・作る・読む」現場が、大きく変貌しようとして
いる。「紙の本か電子の本か」というこれまでの選択を越えて、歴史的な転換
期にある本を、編集者たちはどのようにとらえようとしているのか。本とコン
ピュータの行く手にはいかなる可能性がひらけていくのか。

プログラム

第一部「編集者、わが電子出版を語る」
パネリスト:足立亨(平凡社)、尾方邦雄(みすず書房)、小島潔(岩波書店)、
田嵜皙(文藝春秋)、龍沢武(司会)
※リキエスタ刊行にまつわる先行座談会「ブックオンデマンドは編集者の武器
となるか?」は今春発売された『本とコンピュータ』第16号(第1期最終号)
に掲載されている。

第二部「本とコンピュータの未来」
パネリスト:『本とコンピュータ』編集委員会(柏木博、永江朗、萩野正昭、
松枝到、松田哲夫、水越伸、龍沢武)、津野海太郎(司会)
                
※問い合わせ:『本とコンピュータ』編集室 永井 TEL03-3266-4270 

■DTP時代のライターの基礎知識『出版のためのテキスト実践技法』刊行!

ライター、学部生、院生必読! 朝日新聞文化面でも大きく扱われた話題の新
刊『出版のためのテキスト実践技法[執筆篇]』が、人文社会書系の中堅・未来
社から刊行された。知ってるつもりでも意外と知らない原稿作成の常識と、い
ますぐ使えるDTPの基本的編集ノウハウが分かる便利なマニュアルだ。関連
プログラムファイルなどを搭載したカード型CD-ROMを附録にするなど、とにか
く親切。46判並製128頁、本体1200円。ISBN:4-624-00021-8 今秋には待望の
[編集篇]を刊行予定! 今月開催された東京国際ブックフェアに参加した御仁
なら、未来社のブースで無料配布されていた、西谷能英社長特製[編集篇]CD-ROM
をゲットしているかも? http://www.miraisha.co.jp
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★緊急レポート近日掲載予告★「古書サイトBibliofindから顧客情報が盗まれ
た」→被害者続出クレジットカード不正利用の実態は?アマゾン利用者も必読。
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■ 「脱書店員電脳日記」/aguni(あぐに)
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第24回 今回はネット上の「バイラル」候補をご紹介

 前回最後に紹介したのは『バイラル・マーケティング』という書籍だった。
 ↓詳細はこちら
 http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?bibid=01973517

「バイラル」というのはウィルスのこと。オビには「アイディア」+「ウィル
ス」でネットの「口コミ」は進化する!とある。
 どういうことかというと、簡単に言えば、著者のセスは「アイディア」を
「ウィルス」に例えているわけだ。アイディアがあり、それを伝える媒体があ
れば、口コミが広がっていく。それをマーケティングとして考えるのであれば、
その「アイディア」を持った仕掛けをいかに作っていけるのか、ということに
なる。

 さて、今回は具体例。オンライン上の書籍紹介・出版について、この「バイ
ラル」になるかもしれない二つのアイデアを紹介したい。

◆bk1のブリーダー・プログラム(4月24日〜)
 http://www.bk1.co.jp/
 「bk1 ブリーダー・プログラム」は、個人のホームページ、メールマガ
ジンからbk1へのリンクをはり、そのリンクを経由して商品が購入されると
ホームページ運営者(メールマガジン発行者)にbk1から販売手数料が払わ
れる、というもの。
 eS! Booksの「アフィリエイト・プログラム」(バリューコマース社)、ア
マゾンも近々始めると告知している「アソシエイト・プログラム」と同等のも
のだが、bk1の場合、検索やコンテンツなどのリンクをはることを積極的に
おすすめし、ソースまで公開しているところがアイデア。

 なぜ、これがアイデアかというと、このやり方は「伝染性」があるからだ。
誰かのホームページに行く。そこが「プチbk1」(bk1の機能・素材を使
っているサイト)だったとする。それが楽しそうであれば、(そもそも楽しく
ないと誰もやらない!)マネして参加してみたくなるのが人情。
 ちなみにbk1トップページでは、「ゴールデンウィークにプチbk1を作
ろう!」のコーナーがある。html文書の保存の方法から説明してくれるという
のはスゴイ。

◆インターネット出版サイト「GOZANS」(4月18日〜)
 http://www.gozans.com/
 ご存知、「まぐまぐ」の深水さんのサイト。もともと深水さんはまぐまぐ時
代から書籍化のプロジェクトなどされていたと記憶している。ゴザンスはその
傾向がさらに特化されたサイト(プロジェクト?)だ。
 まずはメールマガジン発行、Webマガジン発行、から始まり、書籍販売ま
でをつなげていこうという試みである。
 サイトの説明文によると、ゴザンスでは、

メールマガジン発行 → Webマガジン発行 → (パーソナル印刷出版)→
(オンデマンド出版)→(マス出版) → 書籍販売

 という流れを構築することを目的にしているという。(今、カッコで囲まれ
ている部分が今はない。)
 ゴザンスではメールマガジンから本の詳しい情報を参照できるシステム「マ
イ本だな」を開始している。このアイデア自体はそんなに目新しいものではな
いが、今後、今はないカッコの部分を埋めるために、このプロジェクトのため
にはさまざまなアイデアが登場してくるだろう。それを「応援」したくなると
ころに、このゴザンスの「バイラル」性がある。(サイトもそれを意識した手
作り感のサイトになっている。)

 それが楽しみであると人が思うところに、「アイデア」の伝染する「媒体」
がある。応援したい、と思うところに「バイラル」の資質がある。そうでなく
ては「アイデア」は人の口にものぼらないし、伝染しない。その「アイデア」
を最初にばらまくことが、逆に不快になったりもする。
 では伝染するための「アイデア」の条件って一体、何なのだろうか? これ
については次回にもう少し考えていくことにする。(以下、次回)
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■「現代思想の最前線」/五月(ごがつ)
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第21回 ル=グィン最新作はゲド戦記外伝、今秋には待望の第五部が刊行!

SFファンタジー作家の巨匠アーシュラ・ル=グィンの最新短編集がこの4月に
出た。しかもタイトルは『アースシー物語』、つまりかの大ヒット作「ゲド戦
記」の外伝なのである。戦記の前史および周辺史を描いた"The Finder","The 
Bone of the Earth","Darkrose and Diamond"の3作、大賢人時代のゲドの
逸話が1作、そしてハイライトは、戦記の前作『帰還』と今秋刊行予定の待望
の第5部"The Other Wind"をつなぐ短編"Dragonfly"である。

"Tales from Earthsea" by Ursula K. Le Guin, 2001, Harcourt,
hardcover, 296 pages, US$24.00-, ISBN:0-15-100561-3

「まえがき」でル=グィン女史は「前作『帰還(原題"Tehanu"1990)』を書いた
ときは、ようやく現実の《今》にたどり着いた気がしました。これ以上書き進
める何かを持ち合わせていなくて、この本を最後の書としたのですが、出版社
から外伝を書くよう奨められて気付いたのです、あれを最後だとしたのは愚か
だったと。しばらく離れている間に物語の世界は変化していたのです」と述べ
ている。なるほど見返しには新たに書き直されたアースシーの地図と、巻末に
はアースシー文明の小事典が書き下ろされている。いよいよ作品世界の全貌が
あらわになってきたのだ。

"Dragonfly"はすでに昨年末に発売されたハヤカワ文庫の『伝説は永遠に(3)』
に邦訳が収録されている。ISBN:4-15-020282-6 本体860円。『帰還』以後の
新展開が明らかにされる必読のプロローグであり、第5部"The Other Wind"へ
の周到な橋渡しであると言えよう。読者の楽しみのために「ネタバレ」はなし
にする。第5部では、いよいよ竜の子テハヌーが縦横に活躍するのだろう。あ
あ、秋が待てない!

さて、読者諸姉兄のなかにはそもそも「ゲド戦記って何?」という方がいるか
もしれない。本誌の兄弟誌「[書評]のメルマガ」25号(2001年2月25日配信)
を読んでいただいた方は、私がなんでこのシリーズに思い入れがあるのかご存
知だろう。読んでない、という方は、シリーズ全4巻が岩波書店から出ています、
今すぐ全巻購入して読んでみてください。後悔はさせません。

さらにたとえ読んでいても、「現代思想の紹介でなぜル=グィンを?」とお思
いになる方がいるかもしれない。しかしこれには必然性があるのです。ゲド戦
記、つまり「アースシーの魔法使い」シリーズを3巻まで書いて、しばらく長
いブランクが著者にはあった。そして実に18年を経て『帰還』が刊行されたの
です。そこには、男性至上主義との戦い、という課題がありました。

『帰還』のテーマは重い。シリーズのなかで一番暗い。魔術を捨てて一農婦と
なったテナー。魔法の力を使い果たし、栄光を振り払って故郷へ帰ってきた老
廃のゲド。父親やその友人から虐待され殺されかけたところをテナーに助けら
れて、以後彼女に育てられることとなるテルー(テハヌー)。情け容赦なく彼
らに襲いかかる倣岸で卑劣な魔法使いアスペン。これが小学校高学年以上を対
象とした本とは。つらい。ル=グィンはゲド戦記を書き直し、今までのシリー
ズを一新させる心積もりで書いたのではないかと思う。なぜ魔法使いは男だけ
なのか? 女のまじない師はなぜ「正統」でないのか? なぜ独身として「清
く」なければならないのか? そもそもSFファンタジーというジャンルはあ
らかじめの男性至上主義が暗黙にすべてを規定されている節はないか? その
内的格闘のゆえに『帰還』はシリーズ中もっとも難解である。

フェミニズム系法哲学者のドゥルシラ・コーネルの『自由のハートで』情況出
版刊を読んでいたら、解説でル=グィンがエピグラフに引かれていて驚いた。
コーネルの主著『イマジナリーな領域』1995年からの孫引きだった。ル=グィ
ンはいつも自身の心の闇を手探りして奥へ奥へと歩いていく、そんな書き方を
する。ル=グィンのSFファンタジーはそのテーマ性と手法においてきわめて
哲学的な探究を実践している。特に『帰還』以後の思想圏は、イヴ・コゾフス
キー・セジウィックの『男同士の絆』名古屋大学出版会や『クローゼットの認
識論』青土社における「ホモソーシャル」理論、SF作家で大学教授のジョア
ナ・ラスの『テクスチュアル・ハラスメント』インスクリプトの議論とも響き
あってくるのではないかと思う。

2001年秋に刊行予定の"The Other Wind"は、『帰還』において時代の《今》に
たどり着いた著者が、その渦中の問題圏をいっそう深化させたものとなるだろ
うことは間違いない。『外伝』の「まえがき」で告白されていたが、作家が自
分の物語世界のゆくえがわからないというのは、ル=グィンの場合、読者をじら
したりもったいぶったりする身振りなのではない。本当にわからないのだ。

例えば「竜」という象徴にこだわってきたル=グィンは、そのシンボリズムに
未来を託すべき予感を憶えつつも、自己の心のうちに沈潜する形象をまだ描き
きれているわけではない。いまのところ『帰還』でも"Dragonfly"でも、竜は
物語上の一種のデウス・エクス・マキーナ、つまり幕引きのための強引な解決
策と見える。いや、本当は間違いなく著者にとってはそれ以上の「何か」であ
るのだが、描き進む機が熟していないということなのだろう。彼女は彼女自身
の心の内奥へ深々と進む。そしてもはや彼女だけのものとはいえない、彼女の
ものではない場所へと至ろうとしているのだろう。

「変化、変化、変化」。ゲド戦記の登場人物「様式の長」に物語のゆくえをそ
う象徴的に要約させたように、ル=グィンは生きつづける限り、そのメッセー
ジの通りにゲド戦記を書きつづけ、問いつづけ、なおも探究しつづけるだろう。
かつて哲学者オルテガ・イ・ガセーは「動中の動(Mobilis in mobili)」をモ
ットーとせねばならぬ、と書いた。未完成ではあっても、それは一歩前へのめ
り出るゆらぎである。埴谷雄高を模倣するならば、そうした「無限に向かう種
族」が人間のうちにはいる、と言わなければならない。[2001年4月24日]
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■編集同人備忘録
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イタリアの著名な指揮者、ジュゼッペ・シノーポリが今月20日夜、ベルリンの
ドイツ・オペラでヴェルディ作曲のオペラ「アイーダ」の演奏中、心臓発作を
起こして死去した。享年54歳。ポーの短編の中でヴァルドマル氏は「いま俺は
死んだ!」と言えたが、発作でそのまま逝ったシノーポリに死の自覚はあった
ろうか。舞台の上で倒れる若き巨匠を見た観客はどんな思いだったか。仏教で
は「中有」を説く。死者が転生するまでのあいだの期間のことだ。チベット密
教の「バルド・ソドル」は中有を旅する魂への語りかけの経典である。我なら
ざる我、煙のような私、薄れゆく意識の漂い、この不思議な時間。   五月 
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読者数(現在3785人)×1円×5行以内でしたが、創刊二周年記念に向けてご利
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