2001.05.25.発行 vol.70 [セキュリティの問題 号]

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■■  [本]のメルマガ                             2001.05.25.発行
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■■       mailmagazine of books          [セキュリティの問題 号]
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■CONTENTS----------------------------------------------------------- 
★トピックス
→展覧会、イベント情報、雑誌「ミュルティテュード」最新号など

★「脱・書店員日記」/aguni(あぐに)
→連日の激務により初の休載。24時間たたかう男も悔しがるわい。

★「現代思想の最前線」/五月(ごがつ)
→今回は番外編。おすすめオンライン洋書店と「ビブリオファインド」の事故。
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■トピックス
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■版画イラストレーター「宇田川新聞」展覧会

懐かしくてどこかヘン。木版画イラストレーターの宇田川新聞さんが展覧会を
開きます。蔵書票、絵巻物など新作も含め、約50点を展示します。会場では、
ミニコミ、絵ハガキなどの即売もあり。[記者:南陀楼綾繁]

宇田川新聞 木版画展「版画の散歩道」
会場:オーパ・ギャラリー(渋谷区神宮前4-1-23-1F 03-5785-2646)
日時:6月8日(金)−6月20日(水)11:00am-7:00pm 木曜休み 

なお、宇田川さんの作品は以下のサイトでも見られます。
http://medwave.nikkeibp.co.jp/ndi/udagawa/udagawa.html

■話題の映画「DISTANCE」公開記念イベント

明日5月26日(土)より渋谷シネマライズにて公開される映画「DISTANCE」と、
関連書『DISTANCE〜映画が作られるまで〜』(スイッチ・パブリッシング)の
刊行記念で、是枝裕和氏(映画監督)と若木信吾氏(写真家)のトークライブ
とサイン会が表参道の青山ブックセンター本店で行われる。 

日時: 2001年5月31日(木)19:00〜21:00 
会場: 青山ブックセンター本店 カルチャーサロン青山 
お問い合わせ先: 03-5485-5511(10:00〜22:00) 
参加方法・注意事項:入場料500円。定員120名様、要予約。 

※映画について→ http://www.kore-eda.com/distance/intro/intro1.htm 
※ABCの今後の要チェック・イベント! → http://www.aoyamabc.co.jp

■フランスの理論誌『ミュルティテュード』第五号が刊行された

ヤン・ムーリエ=ブータンを筆頭に欧米の著名な左翼系知識人が多く参加し、そ
の誌名通り多数性[多数多様的特異性]の威力を発揮している、あの注目の文化=
政治理論誌"Multitudes"が、今月(2001年5月)に第五号を刊行した。メイン
特集は「知的所有権」。同サイトの更新が遅れているため、ウェブ上では一年
前に発行された第二号までしか目次詳細を確認できないものの、オンライン書
店ではBOLのフランスサイト http://www.bol.fr/ にて一番詳細な書誌データ
と書影を見ることができる。

ただし執筆者詳細がここでも見れないので、参考までに主な論考を紹介すると、
まずヤン・ムーリエ=ブータンの巻頭言「狂信家たち、68年5月とインターネッ
ト:想像的「小児愛」について」に始まり、メイン特集では、アリス・パパテ
オドルーの「知的所有権、著作権、特許」や、リチャード・ストールマンの
「自由か著作権か」、ふたたびムーリエ=ブータンによる「《認知資本主義》
における豊かさ、所有権、自由そしてインターネット」のほか、グヌーテラに
かんする論考もある(ちなみに認知資本主義capitalisme cognitifというの
は電脳資本主義とでも訳したほうがいいのだろうか)。

小特集ではリチャード・バーブルックによる「サイバー・コミュニズム、ある
いは電脳空間における資本主義の止揚」や、Bifoの通称で親しまれているフラ
ンコ・ベラルディの「テクノ-ノマディスムとリゾーム的思考」などが読める。
全258頁、Editions Exils 刊、定価100FF、ISBN:2-912969-23-9
早く更新してくれ→ http://www.samizdat.net/multitudes/
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★創刊二周年記念臨時増刊号予告★(1)編集同人がついに明かす[本]のメル
マガ誕生のいきさつと苦労話[愚痴とも言う]!(2)記者同人全員アンケート
「こんなブックフェア/本棚があったらいいな」。近日より連続発行予定!! 
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■「現代思想の最前線」/五月(ごがつ)
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番外編 洋書を買うための各国語お勧めサイトとトラブル処理(1)

前回まで色々な人文系洋書をご紹介してきたのだけれど、読者の方から、「ど
うやって情報を集めているのか」というご質問をいただくことがよくあった。
特段の裏技があるわけではないし、皆さんがご存知のことを繰り返し述べるだ
けのような気もするのだが、本誌が創刊二周年を迎えた佳節でもあるし、周辺
的な情報を少しだけ書くことをお許しいただければと思う。

今までは版元のサイトは紹介してもオンライン書店を紹介することがなかった。
私が情報をどこからキャッチしているのかというご質問に対する答えだが、新
刊と近刊についてはアマゾンなどのオンライン書店や、著者の単行本や雑誌論
文からで、既刊や品切絶版本については、図書館や古書店のいずれもオンライ
ン・データを頼りにしている。著者情報全般については既刊書や邦訳書や邦訳
論文などをさらうか、検索エンジンで調べて関連サイトをシラミつぶしにブラ
ウズする。けっこうな手間だが、インターネットがない時代よりは格段に情況
はいい。

今回ご紹介したいのは、まず英米の新刊書店と古書店で、補足として私自身が
先日被害にあった「ビブリオファインド事件」をあわせてご報告する。番外編
が二回続くのも読者に申し訳ないのだが、一回では終わらないので、次号はド
イツ、フランス、イタリア、スペインの新刊オンライン書店と、日本のオンラ
イン古書店をご紹介し、さらには返品などのトラブル談を皆さんにご披露?し、
何かの折の参考にしていただければと思う。

学者になろうとは思っていなかったけれども、そもそも現代思想や哲学の洋書
を買うようになったのは、「重要だけれども邦訳されていない」著作が目に付
いて、それらが邦訳されるのをひたすら待つ、というのが馬鹿らしくなったか
らだ。洋書を求め始めてみると、日本語としては読みにくかった学術書の邦訳
について、原典に戻って文意を確認することができる、というメリットも当然
のことながら発見した。

大学を卒業するまでは原書をひもとくことなんてほとんどなかった。出版社に
念願の就職が叶ってから、洋書を購入するようになったのだ。当時はインター
ネット書店というものがほとんどなかったから、ひたすらリアル書店に頼った。
当時、日本橋丸善の社会科学書系洋書担当者にHさんという方がいて、このか
たにはたいへんお世話になった。Hさんのご専門はフランス語だったのだけれ
ど、ドイツ語や英米語、イタリア語、スペイン語、そしてラテン語やギリシア
語やヘブライ語の文献まで本当にいろいろと探してもらった。あるときなどは、
たった一言のキーワードからお目当ての書目を見つけてもらったこともあった。
書店人という以上に私にとって書物の世界とつながるためのクーリエ的な存在
だった。

だが、丸善ですら調達できない書目もあった。要するに取引上の扱いのない版
元の銘柄だ。その点では現地のインターネット書店の方が便利である場合が多
いけれど、インターネットでは品切だった書目がリアル書店を通じて入手でき
たという経験もある。今はインターネットつまり一般的に「オンライン書店」
と称されるサイトからカード決済で購入することが圧倒的に多くなった。しか
し、今でもいざという時に頼りになるのは、人的コネクションである。

私がよく情報を検索し、購入しているオンライン洋書店は以下のとおりである。

[アメリカ]アマゾン・コム http://www.amazon.com はとにかく進化しつづ
ける書店だという意味で賞讃に値する。その特徴をいちいちあげつらいたいが、
長くなるので別の機会にしたい。BOLと提携しているバーンズ・アンド・ノ
ーブル http://www.bn.com  や、昨今アマゾンと提携したというボーダーズ
http://www.borders.com もけっして悪くないが、扱う書籍の点数や近刊予約
の点ではやはりアマゾンが一歩リードしていると思う。

なお、いくら送料が手頃だとはいえ、アマゾンで船便を選択するのはあまりお
奨めできない。いつ届いてもいいや、という方にはいいかもしれないが、待つ
のがつらい方には船便はストレスでしかないし、航空便以上に手荒に扱われる
ことがある。アマゾンの梱包はしっかりしているから、書籍本体に傷がつくよ
うなことはまずないが、薄汚れた包みを受け取るのは、あまり気持ちのいいも
のではない。私は航空便をもっぱら利用している。よほど廉価なペーパーバッ
クの類を除いて、リアル洋書店のマージン込みの値段より結果的に安い場合が
多いと思う。

また、喜んで近刊予約を入れたはいいものの、発売されてからもいっこうに品
が届かないばかりか、発送すらされていないというケースがたまにある。予約
を入れたら、刊行月には週一回くらいサイト上で発売されたかどうかを確認し
た方がいい。もしも発売されていて、未発送のようだったら、はっきりクレー
ムを入れてみる。アマゾンの予約書目の場合、版元のカタログにすら未掲載の
近刊もデータにバンバン入っていて驚くのだが、時として早すぎて、のちに解
約される場合がある。まあこれはご愛嬌だろう。

[イギリス]アメリカで品切だったものが手に入ったり、イギリスでしか扱わな
い新刊があったり、ヨーロッパ諸国で発行された英語版が入手できるという意
味では、イギリスのオンライン書店は外せない。アマゾン・UK 
http://www.amazon.co.uk を私はもっとも頻繁に使うけれど、調べ物がある
時などはかならずブラックウェルの書籍販売部門を見に行く。 
http://bookshop.blackwell.co.uk  既刊、新刊、近刊を問わず、書誌データ
が充実しており、さずが学術出版社の面目がある。なおアマゾン・UKのメリ
ットはUSサイトに比べて着荷が早いということ。ポンドは高いけれど、満足
感はある。

[英米の洋古書横断検索サイト]古書の場合は、それが英米のサイトだからとい
って英米語の本や雑誌しか扱わないということはない。横断検索サイトでは、
ビブリオファインド http://www.bibliofind.com や、アドヴァンスト・ブッ
ク・エクスチェンジ http://www.abe.com などが最大手で、私はどちらかとい
えば表示がシンプルなビブリオファインドを好んで使っていた。

いわば古書店の寄り集まりともいえるサイトで、こちらの注文を相手方の古書
店に取り次ぎ、カード決済で気軽に購入できる。なにせ古書なので、個別の店
によっては、保存状態の評定がアテにできなかったり、品が届く前にさっさと
本代を引き落とされたりということもあるのだが、日本では一昔前までリアル
書店経由で洋古書を入手するのが難しかったことを考えれば、本当に便利にな
ったものだ。丸善には品切絶版本のコピーをとって製本してくれるシステムで
「バックインプリント・サービス」
http://www.maruzen.co.jp/home/irn-backin.html というのがあるのだが、
何せ利用しやすい価格とはいいがたい。根気よく長期的に探しつづけていけば、
古書横断検索サイトでやがて見つかることもある。

さて、ここからが少し特殊な話になるのだが、ビブリオファインドから「重要
なお知らせ」なるメールが届いたのは今年(2001年)の3月6日だった。内容はだ
いたい以下のようなものだった。「利用者の皆様へ。当社ビブリオファインド
のサイトのセキュリティが破られ、200年10月から2001年2月に当社を利用され
た方のクレジット・カード情報が危険にさらされました。いまのところあなた
のクレジット・カードが不正利用されたかどうかわからないのですが、気をつ
けていただきたいのです。この件で当社は連邦裁判所やクレジット・カード各
社と連絡をとりましたので、カード会社は適切な処置をとってくれると思いま
す。カードについてのご質問は各社にお問い合わせください。こうしたことが
二度と起こらないように当社はサーバー内にあるすべての顧客情報を消しまし
た。ほどなく復旧できると思います。皆さんにご迷惑をおかけするようで、お
詫びいたします。当社へのご質問は以下までお寄せください。敬具」。

むろんもっと慇懃な言葉遣いなのだが、あまりにあっさりしたメールなので、
私は自分には被害はないだろうとタカをくくっていた。その後、今度は4月5日
にまた「重要なお知らせ」が届いた。そこでは誇らしげな調子でこう書かれて
あった、「来たる5月7日から当社ビブリオファインドはアマゾン・コム内の古
書部門zShopsと合併します」と。なにぃ、である。「顧客情報はしかしアマゾ
ンとは共有しません」、当たり前じゃ。

後日、3月分のカード請求が届いた。私はカード利用の明細と、購入した洋書
の個別の請求書を毎回つき合わせている。なにせあれこれ買っているし、現地
価格は円に換算されているし(もちろん現地価格も別項に特記されてはいるが)、
さらによくあることだが、個々の請求日と購入日は必ずしもキレイには一致せ
ず、購入した書店名と請求書にのっている会社名は必ずしも同じではない。私
はオーダー番号を照合し、現地価格を照合して、ひとつひとつ間違いないか調
べる。と、3月分の請求に妙な金額と会社名が3つも載っている。これはなんだ、
おかしいぞ。調べるまでもなく一切物品のやりとりはない。書籍の購入以外に
カードを利用したこともない。請求書の円換算レートを見、現地の請求金額か
ら察するに、これはUSドルである。しかもキレイに割り切れた金額で1回目が
49ドル95セント、2回目と3回目は29ドル95セントずつだ。こんな金額の買い物
を数日おきにしたことなどない。

アクセスしてくれと言わんばかりに、カードの請求明細に記載された会社名は
そのままドメイン名になっていた。http://www.ibillcs.com 危険ではないか
と案じつつも、私はここのトップページを覗いてみた。ご丁寧に「カードの請
求書に当社名がある場合は、当社の電子決済システムを利用している会社から
お買い物をされたときです」とあり、更に問い合わせたい場合にはこちらをク
リック、とある。それはヤバイだろう。カード番号を教えてください、確認し
ますので、等々の指示がこの先に待ち受けており、ズルズルとこちらの情報を
引き出され、きっと。いったいどうしてこんなことが……あっ、もしや。

調べてみると私は2000年10月から2001年2月のあいだに都合4回ビブリオファイ
ンドを利用していた。むろんその時の決済はすべて済んでいる。

とっくに夜は更けていたけれど、カード会社の24時間対応してくれる「盗難紛
失係」に電話して、カードが不正利用されたらしいがどうしたらいいか、と訊
ねた。その場でカードの利用明細が画面上で確認できたらしく、「同じところ
からの請求は3月中に4回ありますね」と言う。〆日の関係で私の手元に届いた
請求書では3回までしか確認できなかった。4回目の金額はひょっとして29ドル
95セントでしょうと返すと、果たして図星だった。今月の請求の後、放って置
けば更に来月も請求が来るというわけだ。幸いにも4月に入ってからは利用さ
れていないようだ。結局カード利用を止めることになった。

翌日、カード会社のセキュリティ課の女性から電話が入った。こちらから情況
を述べ、ビブリオファインドにも問い合わせている旨を話した。女性からの説
明は案の定、有料アダルト・サイトの利用料として請求されている、とのこと
だった。予測はしていたが、あまりにも分かりやすすぎる展開ではないか。

女性とやり取りしていくと、どうやらビブリオファインドから事故の通知を受
けており、更にアマゾン利用者にもこのiBillという会社からの請求が来てい
るケースがあるらしいことが分かった。私はアマゾンがセキュリティ・ヴァイ
オレーションを蒙ったというよりは、zShopつまり古本部門で起きた事態なの
ではないかと推理した。要するに、古本部門といえども、それぞれの実態は小
さな古書店であり、セキュリティ対応が甘めなのではないか、と。

私の経験では、あなたのカード番号をメールで知らせてくれと要求してくるノ
ンキな古書店が海外には実在する。もちろんそんなアブないことは普通できな
いわけだが、牧歌的な世界があるものだ。推測に過ぎないが、犯人がいるとす
れば、古書店サイトの狙い撃ちをしているのではないか。たしかに本を買うく
らいの小銭持ちのカモ情報はターゲットである本屋がワンサカ持っている。

先般のカード情報漏洩について分かったことはないのか、とビブリオファイン
ドに問い合わせたメールにほどなく返事がきた。その内容はまことに頼りない
もので、「いま検察筋に調査してもらっている最中で捜査の妨げになるので、
何もお知らせできない」とのこと。事情はわからないでもないが、アマゾンと
提携、とかで喜んでる場合か。アマゾンはこの事故を知ってのうえで組んでい
るのか。

カード会社から郵送されてきた被害届(Affidavit)に必要事項を記入し、ビブ
リオファインドからのメールを印刷して添付した。カードは破棄処分となり、
新しいカードが発行されることになった。こうして落着したわけだが、さほど
大きい額でない請求が1回ぐらいだったら、何気なく見落としていたかもしれ
ない。結局本日現在も、ビブリオファインドの情報漏洩による被害なのかどう
かははっきりしない。iBillという会社のこともよくわからない。ちなみにこ
こと取引があるカード会社はマスター、ヴィザ、アメックス、ディスカヴァー
の4社である。私は請求書が届いたその日にカード会社へ電話したからよかっ
たものの、気付かないまま1ヶ月、2ヶ月と過ごしてしまえば、カード会社も対
応しにくくなる。あなたのカード情報は安全に守られているだろうか。
                           [2001年5月24日]
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■編集同人備忘録
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「死ぬ理由もないけど生きている理由もない……しいて言えば疲れた」と彼女
たちは書いた。野猿の「撤収」コンサートを見るために福岡から上京し、都内
のマンションから投身。別々の高校に通っており、両親は交流を知らなかった。
遺書には互いの名前を並べて「2人一緒」と書かれており、11頁に及ぶメッセ
ージの最後に太い字で「撤収」とあった。ある教員は「自殺の理由が分からな
い。明るい生徒だったのに」と語る。確かに大文字の「理由」はないようだ。
「命はあなたたち一人だけのものではない」と校長は生徒に話し掛けた。彼女
たちはおそらく「2人一緒」だから選べたのではないか。もう一校の校長は「自
ら死を選んでいいのか。自分の存在について、もう一度考えてほしい」と。自
分が「在ること」を考えるとき、そこに理由はない。存在は空虚な深淵と映る。
「ただ単純に存在すること」ではない何かを求めることによって存在はのっぺ
らぼうでなくなる。わたし一人だけのものではないわたしの命、ふたりあるい
は数人で存在すること以上の存在。ご冥福を心から祈る。       五月 
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