| 第16回 急告!鴨居玲の没後15年大回顧展と待望の全画集発刊について |
2000.11.25.
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「自画像とは何か」をめぐって、鴨居玲とOdd Nerdrumの画業について先月書いたのだけれど、思いのほかこの主題は自分にとって「底なし沼」であること
がわかってきた。現在、第15回の原稿を全面的に書き直しており、三つの主題 が立っている。1)鴨居玲の自画像の分析。2)Odd
Nerdrumの自画像の分析。 3)自画像の諸定義。それぞれのノートは未完成であり、進展があり次第、随 時本誌HPのバックナンバーにアップロードさせていただくつもりである。
特に鴨居玲については新しい情報や証言資料を得て、根本的に考え直さなけれ
ばならない点が出てきた。ひとつには、鴨居玲は狭心症で亡くなったと紹介さ
れていたが、実は自殺だったらしいこと、何度も未遂を繰り返し入院してきた
こと。そしてもうひとつには、自画像の数々は不安を演じる虚構と実際の不安
感とのすれすれの狭間の産物であるらしいこと……。
Odd Nerdrumについては、前回の記事でご紹介できなかった研究書をここに記
したい。この『Odd Nerdrum : 物語作家にして自己の開示者』は画家の略伝
であると同時に画業の解説でもあり、113枚に及ぶ主要作をオールカラーで収
録(ディテールも50枚!)した得がたい逸品である。私はワシントン州立大学
の近くの大学書店で偶然見つけて購入し、前回の記事を書く発端に至った。日
本ではあるいは出会わなかったかもしれない。大学書店ではベルギーのアート
系専門版元Imschootから1999年に刊行されたヤン・ファーブルの偽昆虫記(?
解説がほとんどなくて正体がいまひとつ判らない)も買ったのだが、オンライ
ン書店と違って、店頭で現物のアウラに射貫かれる経験というものはやはり何
にも増して棄てがたい魅力だとつくづく実感する。
"Odd Nerdrum : Storyteller and Self-Revealer" by Jan Ake Pettersson,
afterword by Donald Kuspit, 1998, Aschehoug & Co., Oslo, Norway
isbn:82-03-22272-2, 258pages, US$49.95-
本書は1998年9月25日から1999年1月3日までAstrup Fearnley Museum of
Modern Art にて、1999年1月16日から3月28日までKunsthal Rotterdamにて
開催された回顧展"Odd Nerdrum : Paintings 1978-1998"(キュレーターは
Oystein Ustvedt)と連動して作成された。「絵画の預言者」を自認する画家
の特異な魂の内奥と作品世界を垣間見る、買って絶対損のない一冊である。オ
ンライン書店でも比較的用意に購入できる。
なお、不思議なアーティストブック制作集団Imschootについては、下記のオフ ィシャル・サイトをぜひ隅々までご覧下さい。http://www.imschoot.com/
一方、自画像の諸定義の考察に至っては逸脱としか言いようのない観念に取り 憑かれており、『ヘルメス文書』のポイマンドレース篇からボルヘスの短編
『アレフ』、ハイデガーの『放下の所在究明に向かって』からツェランの詩篇 『テネブレ』に至る、私自身の年来の様々な問題意識を収斂させる糸口が見つかったとにわかに喜んでいるのだが、まだまだ皆さんにご笑覧いただく段では
ない。
今回は鴨居玲をめぐる最新情報を皆さんに以下にご紹介したい。こんなにも世
間で盛り上がってきているとはまるで知らなかった。
前回の原稿を準備していた2000年10月下旬には不覚にも気付いていなかったの
だが、2000年は鴨居玲の没後15周年にあたり、銀座の日動画廊本店(10月20日
〜10月31日「没後15年鴨居玲展」)や、石川県立美術館で回顧展(9月29日〜
10月22日「一期は夢よ―鴨居玲展」)が開かれたので、ご覧になったファンの
方もいらっしゃるだろう。石川県美の回顧展は巡回で次の会場へ移動しており、
2000年11月1日(水)〜12月17日(日)には、茨城県笠間市の笠間日動美術館
にて催されている。入場料は大人1,300円、大学・高校生800円、小中学生500
円。
笠間日動美術館
http://www.nichido-garo.co.jp/museum/ja/KASAMA/index.html
住所:茨城県笠間市笠間978−4 電話:0296(72)2160
開館時間:午前9時30分〜午後5時(入場は4時30分まで)
休館日:月曜日(祝日の場合はその翌日)、年末年始、展示替え期間
JR利用:常磐線友部駅(上野駅から65分)よりバスまたはタクシー約15分/
水戸線笠間駅(友部駅から10分)より徒歩25分/笠間駅より市内循環バス銀行
角下車徒歩3分。
自動車利用:常磐自動車道水戸I.Cより国道50号経由約20分/岩間I.Cより国道
355号経由約20分。
高速バス利用:東京駅八重洲南口より約2時間。笠間行き朝9時発、笠間稲荷
神社入口下車徒歩15分。
石川県立美術館で回顧展の図録を買いそびれた方は、笠間日動美術館でも購入
することができるだろう。カタログは税込2,000円。郵便による直送を希望す
る場合、石川県立美術館や笠間日動美術館でも受付けてくれる(在庫要確認)。
送料をプラスした合計2,340円(送料分のみ切手でも可)を現金書留にて前払
いすれば、先方が入金確認後、郵送してくれる。書留の封書の中に「鴨居玲展
図録希望」のメモを入れておくこと。なお、日動画廊本店で行われた展覧会で
は図録は作成されていない。
石川県立美術館 http://www.ishibi.pref.ishikawa.jp/
更に朗報だが、日動画廊から鴨居玲のすべての作品を網羅した『鴨居玲画集』
が刊行される!! 体裁は以下の通り。
収録作:油絵460点、その他スケッチ600点。うちカラー掲載作品約140点
判型:33×26cm、B4変型、上製本
解説:俵万智、宝木範義
予価:38,000円(税別)直送希望の場合:別途送料1,200円
日動画廊 http://www.nichido-garo.co.jp/index.html
2000年12月中旬刊行予定で、現在先行予約受付中。希望者は名前、住所、電話
番号を明記の上、日動画廊までハガキ等で申し込むこと。メールでも受付けて
いる→ galerie@nichido-garo.co.jp まで。画集が出来次第、出版部から連
絡がもらえる。マストバイである。
なお、今までに出版された鴨居玲の画集は三種、随筆集一点を確認できるが、
随筆集を除き、画集はすべて絶版、入手不可である。2000年12月に刊行される
「全画集」は、1985年画集及び1988年素描集との単純な「統合」ではないだろ
う。価格から言って、1985年の画集はオールカラーかそれに近いものだったと
思われる。鴨居玲の人気は年々高まっているというから、今回はオールカラー
で10万円以上するものよりは、広く普及しうることを考慮したギリギリの価格
設定をしたのだろうとも推測できる。し・か・し、1000点を超す画業のうちの
一割強のみがカラーだとすると、コレクターやファンなどにすれば中途半端な
つくり方であるという声が当然出てくるかもしれない。[記2000年11月24日]
『鴨居玲素描集 酔って候』
鴨居玲=画、神戸新聞総合出版センター=発行、1979年10月刊行
タテ46cm、本体価:13,000円(絶版)
『鴨居玲画集―夢候 作品1947-1984』 ISBN:4888700516
鴨居玲=画、日動出版部=発行、1985年05月刊行
タテ36cm、225頁、本体価:48,000円(絶版)
『鴨居玲素描集』ISBN:4888700567
鴨居玲=画、日動出版部=発行、1988年11月刊行
タテ43cm、本体価:12,621円(絶版)
『踊り候え [改訂版]』
鴨居玲=著、風来舎=発行、1992年04月刊行(初版:1989年11月刊行)
タテ18cm、246頁、本体価:1,650円
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