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第2回 『童話物語』の宮山香里さんをお迎えして。
1999.07.01.

今回は知人の紹介で知り合いになった『童話物語』の絵・装丁・ワールド デザイン担当の宮山香里(かおり)さんとのメール・インタビューを掲載し ます。

『童話物語』1999年4月 幻冬舎刊 本体価格2000円 現在第3版 向山貴彦・著 宮山香里・絵

「永遠の世界からやってきた妖精フィツにとって地上世界は不思議な ところだった。
何もかも移り変わり消えてゆく、限りある世界。
フィツが地上にいられるのはわずか九日間。
その限られた時間で、最初に話したひとりの人間を観察し
答えを出さなければならない。
世界は滅びるべきなのか・・・」

◎Q1ーはじめての出版ですね。おめでとう。
◎自分たちの本が書店にドカッと積まれて売られているのを見て、
◎どんな感じがしましたか?

>>→いつかこうなるのでは?という期待はありましたが、
>>実際書店で見たときには、嬉しい!と喜ぶ一方で、
>>他の本の山を見て複雑な気持ちになったりもしました。
>>とりあえず、スタジオの仲間がそれぞれの書店にカメラを持参しました!

◎Q2「他の本の山を見て複雑な気持ち」とはなんですか?

>>→新刊ってこんなに多いんだ!と改めて驚き、こんなにたくさんの本の中
>>から一体どれほどの人が、この本を手にとってくれるのだろう、というよ
>>うな複雑な思いが渦巻きました。
>>また、読み手を待っているだけの本、もしくはその機会さえ与えられてい
>>ない本がどれほど多いかを実感しました。

◎Q3ー『童話物語』という書名にした理由は?

>>→「童話のような」物語だから。
>>ほかにも意味はあるけれど、それは本の中で自然と感じてほしいです。

◎Q4ー宮山さんはこの本で、絵・装丁・ワールドデザインを担当されてい
◎ますが、影響を受けた画家、およびワールドデザインとはどのような役割
◎なのかをお聞かせください。

>>→「童話物語」に関しては、どのくらい影響をうけているかはわかりませ
>>んが、好きな画家は、パウル・クレー、ベン・シャーン、絵本作家のジョ
>>ン・バーニンガムです。
>>渋い色使いと、色んな意味のユーモアを感じさせてくれるものが好きです
>>ワールドデザインは、ビジュアルを中心に、世界観やそのディテールを創
>>り上げていく役割です。「童話物語」の特徴の一つとして、文と絵が同時
>>に進行してお話を創り上げていったという過程があります。
>>お互い意見を出し合って、実際にクローシャ大陸に住んでいる気持ちで
>>世界観を創っていきました。登場人物も同様です。
>>本の中には具体的に出てきていない町や、無くなってしまったアイデアな
>>ど、たくさんあります。今後ホームページ上で紹介していく予定ですが、
>>日々クローシャ大陸の世界は広がっています。

◎Q5ー作品中の、トリニティー、ペチカ、フィツ、ヴォーという「音」と
◎風景が、北欧キリスト教圏を感じさせますが、これについてはいかがです
◎か?

>>→具体的にどこかを参考にしているというわけではなく、
>>実際のクローシャがたまたまそうなのです。
>>現実社会でもそうであるように名前には往々にして意味があることが
>>あるけど、でも、それは読者が思いを巡らせるしかないと思います。

◎Q6ー500ページを超える大作。原稿用紙に換算すると1,287枚と
◎いうことですが、いつ頃から著者の向山貴彦さんと共同制作をはじめたの
◎ですか?

>>→大学1年のクラスメートになった「秋」くらいから。今からおよそ5年
>>前です。たまたま私の旅絵日記を見た向山から、いっしょに制作しよう、
>>という話がもちあがりました。
>>その当時は、トリニティーと性格の悪い少女ペチカ、おひとよしの妖精フ
>>ィツの存在を語られ、プロローグのみ存在している、という状況でした。
>>その後、1章の文章とキャラクターを作り上げるだけで1年以上かかりま
>>した。
>>その頃から、向山の幼馴染が加わり、スタジオエトセトラとして本格的に
>>制作が始動しました。

◎Q7ーまた、旧バージョンがあるとのことですが、出版されている新バー
◎ジョン『童話物語』との違いは何ですか?

>>→新バージョンのほうが、書籍としての全体的な完成度が高いです。
>>最も違うのは4章と5章、フィツの性格です。
>>旧バージョンは、スタジオで編集から版下制作まで行ったため、
>>苦労が多かったですが、その分、思い入れも強いです。
>>絵的には、旧バージョンの印刷の色合いが好きです。

◎Q8ー旧バージョンを手に入れる方法はありますか?

>>→基本的にはもう売っていないのですが、
>>スタジオの仮ホームページ(http://www.tt.rim.or.jp/~etcetera/ 
>>公式サイトのアドレスは、オープン次第、上のアドレスで発表されます)
>>に幻冬舎版の感想を送ってくれた人に抽選で毎月一冊程度プレゼント!
>>という話があります。

◎Q9ー作品中に印象的な言葉が2つあります。

>>→ひとつは、解説で巽孝之氏が取り上げている「誰だって、自分が思って
>>いる人間よりはすごい人間だよ」というもの。ふたつ目は、終わりの方で
>>「永遠じゃないから変われるんだよ。・・・みんな変わった。ぼくも変わ
>>った・・・」「変われるってことはいつだって可能性があるってことなん
>>だ。変われるってことは今日がだめでも、明日はうまくいくかもしれない
>>ってことなんだ。変われるってことは絶対あきらめるなってことなんだ。」

>>これらがこの作品およびこれから描かれるであろう作品の
>>基本的なメッセージと考えてよろしいですか?

>>→基本的に童話はお話なので直接的なメッセージはありません。台詞はそ
>>れぞれフィツとヤヤの考えであって、それ以上でもそれ以下でもありませ
>>んが、もし読者が二人の言葉に共感できたならそれは本当にうれしいこと
>>です。

◎Q10ーこの作品はまだはじまったばかりのようです。
◎全10巻のうち第5巻と第6巻がこの本ということですが、
◎今後の出版予定についてお聞かせください。

>>→向山曰く「すでに世界のどこかにはあるかもしれない」とのこと。
>>しかし、詳細は一切不明。向山や私にもわかりません。

◎Q11ー出版意外の活動の予定がありましたらお聞かせください。

>>→現在、池田満寿夫さんや、その他多くの芸術家の版画を刷ってらした
>>刷り師に師事してリトグラフ(石版画)の修業をしています。
>>童話物語関連の版画も制作していて、ホームページ等に随時載せていく
>>予定です。
>>来年には展示会も行いたいと思っています。
>>落ち着きましたら、次の課題であるシリーズの版画制作や、絵本制作、
>>アニメーションなどにも挑戦してみたいです。

◎Q12ー最後にこの「本のメル・マガ」講読の皆様へのメッセージを
◎お願いします。

>>→「童話物語」というたった一冊の本から、あなたの「旅」が始まるこ
>>と、そしてクローシャの世界を楽しんでいただくことができたら、と思
>>います。

◎ありがとうございました。

興味を持たれた方は、本屋で探して手に取ってみてください。

本屋に行って何千冊、何万冊、何十万冊の中から一冊を探し出す。
むやみに書店員にどこにあるかと聞いてはいけません。
読書と書店の楽しみが半減します。
書店で日本文学のところかな?児童書の童話ところかな?
エンデのところかな?なんて自分なりに見当つけて探し廻ってみましょう

たとえ目的の本が探し出せなくても、在庫が無くて手に入らなくても、
がっかりしてはいけません。
本の<知>と<血>の森or海をさまよっているだけで、別の本の
微かなささやきが聞こえてくるでしょう。

新たな本との出会いは、もうすでにはじまっています。

おしまい。

文責:湯川新一


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