| 第8回 「人間、線さえ引けば相当なことができるぜ」その1
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2000.01.15.
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大騒ぎの2000年の幕が開けて1週間が経とうとしている。コンピュータ ーの誤作動も私の見聞きする範囲では人命、ライフラインに関わるようなと
ころでは起きてない。アメリカは派手に「2000年問題は撃退した」と勝 利宣言し、日本も地味におこなった。
コンピュータ系の友人は12月30日から会社に泊り込みで何も起こらなか った3日間を寂しく過ごした。別の友人は大した用事もないのに世間の雰囲
気におされ会社で新年を迎えた。また、別の友人からは以下の年賀メールが 届いた。
「2000年危機に備え、我が家では年末から買い出しにいそしみ、水120 リットル、米15キロ、チョコレート20枚、コンビーフ缶10缶など、諸々の物
資を穴蔵の小動物よろしく、狭いマンションにため込んで、テレビのカウン トダウンを息が詰まる思いで見つめていました。
幸いなことに大事には至らず、私たちは少々がっかり、というのは冗談で、 非常用カセットコンロで湯豆腐をこしらえて新年をお祝いしました」
ちなみに私は2リットルだけ水を蓄えるにとどまった。120リットルかぁ ・・・。
人それぞれ、この問題を考え、それが起きた時のことを想定し備えたようで ある。来ると思われる問題・危機に対する反応・対応の仕方は人それぞれ違
うようで・・・。
これが今回、次回あたりで書こうとすることです。
人間が作ったはずのコンピュータが私たちの生活の見えない部分まで深く浸 透し、手に負えなくなりはじめ、人間の生命を危機に陥れるまでに成長して
いることに改めて気づかされた。たまに暴走の気配・警鐘を感じさせるよう なことは引き起こしてくれるけれども、今回は大枠では許してもらえた。
以後も暴走する事無く見逃し、許し続けて欲しいものです。
年末23日のTBSテレビの再放送『21世紀プロジェクト・筑紫哲也・立 花隆、ヒトの旅、ヒトへの旅・・世紀末・人類最先端スペシャル』をご覧に
なった方も多いと思う。その中で世界の知識人たちにメールインタビューで 「将来の最大の危機は?」というコーナーがあった。危機と考える第1位は
「人口爆発」第2位は「戦争」第3位は「環境破壊」以下「テロ、独裁国家 」「エネルギー・資源の枯渇」「未知のウイルス」「巨大隕石の衝突」「人
間の愚かさ」「気候大変動」「地球温暖化」へと続く。ざっと見るだけでも これらの危機は単発でくるものではなく複合・前後して起こるということが
分かる。
今回は多方面に関係してくる第1位の「人口爆発」についていくつか資料を あたりましたので、少し書こうと思います。
「世界人口の歴史的推移」の図をみると18世紀初頭からキュンとほぼ垂直 に近い線で人口の増加が表わされている。
200万年前は(猿人)100万人、50万年前(原人)170万人、1万年前 500万人、7000年前農業革命で6600万人、紀元1年には灌漑農法
・その他の技術革新により1億3000万人を超えたといわれている。(当 然のように学者によって幅広い違いがある)
1700年6億8000万人、1750年7億7100万人、1800年9 億5400万人、1850年12億4100万人、1900年16億340
0万人、1950年25億3000万人、1960年に30億突破。199 0年52億9200万人。1998年には約59億3000万人前年比81
00万人増。米商務省は1999年7月についに60億を超えたと発表した 。1960年に30億人突破であるから40年足らずで世界人口は2倍を超
えたことになる。
地域別(1998年資料)ではインド、中国を抱えたアジア地域が世界の約6 0%を超える35億8900万人、アフリカ7億7800万人、ヨーロッパ
七億2900万人、北中アメリカ4億7200万人、南アメリカ3億320 0万人、オセアニア2900万人である。
1997年から1998年の人口増加は、ヨーロッパ・オセアニア100万 人以上の増加なし、北中アメリカ・南アメリカ500万人増、アフリカ20
00万人増、アジア5100万人増、となっている。
日本はどうかというと鬼頭宏教授のまとめによれば次のように概観すること ができる。縄文前期11万人、縄文中期263万人、縄文後期161万人、
弥生602万人、750年559万、900年644万人、1150年69 2万人、1600年1227万人、1721年2128万人、1786年3
010万人、1792年2987万人、1846年3242万人、1875 年3653万人、1900年4439万人、1920年5596万人、19
50年8390万人、1975年1億1194万人、1980年1億170 6万人。直近の総務庁統計局発表では1998年10月1日現在の日本の人
口は1億2648万6430人である。
ジョエル・E・コーエンは過去1万年にわたる人間の増加と減退を「4回の 進化」と呼んで要約している。
@アフリカ、中東、アジア、メソアメリカ(メキシコ中部を含む中央アメリ カ一帯)で発生した「ローカルな農業の進化」(紀元前8000年〜4000
年)
A異なる大陸で開発された栽培変種を共に利用しあい、産業革命の時期とも 一致する「グローバルな農業の進化」(1650年から1850年)
B「公衆衛生の進化」(1945年頃から始まり現在に至る)
C「出生率の進化」(1785年頃からフランスとアメリカで始まり、現在 でも始まっていない地域がある)・・・人口増加率が年々減少し続ける。
この爆発的な人口増加に応ずるようにエネルギーという20世紀を特徴づけ るキーワードが浮かびあがる。1人あたりが利用可能なエネルギー量もまた
爆発的に増加している。換算法がいくつかありますが以下の2つを記します 。@1800年には0.13メガワット時/人、であったものが1950年
には4.7メガワットという具合に、人口の伸び率よりもさらに速い速度で 増えている。(1メガワット時/人というエネルギーは、エネルギー量で換
算すると、1日24時間、1年間毎日奉仕を行なう1人の奴隷に相当する)。 1860年0.9メガワット、1950年8.2メガワット、1990年に
は19メガワットに増大している。『新人口論ー生態学的アプローチ』より A1919年のイギリスで1人あたり20人のエネルギー奴隷を使っており
、1960年には81人になっていたという推定がある。イギリスのエネル ギー消費は1960年と比較して、今1.3倍になっているから、エネルギ
ー奴隷は105人に増えているということになる。アメリカは1960年で 1200人という説があり、エネルギー消費の伸びが1.4倍になっている
ので換算すると何と1680人ということになる。これに人口を乗ずればそ の伸びは他の世紀と比べ天文学的な差がつく。
それを発電量でみると、アメリカの場合、20世紀はじめの総発電量は1億 キロワット時に満たなかったが、第二次大戦が終わる1945年には200
0億キロワットを超え、1994年では3兆キロワット時を超えている。
将来の人口動向は1996年国連推計によると世界人口は2010年に68 億9078万人、2030年に83億7160万人、2050年に93億6
672万人と推測されている。また、その増加の90%以上は現在の開発途 上国にあらわれるとされている。
日本の場合は1997年厚生省が発表した「日本の将来人口」によると20 00年1億2689万人、2007年2778万人をピークに、その後は減
少に転じて2050年には1億50万人になると予測している。
20世紀は先進国の少子化と途上国の人口爆発が同時に起きた。地球の人口 増加はなお続くが、21世紀は少子化が地球全体に広がる。国連人口基金に
よると、現在でも61ヶ国で合計特殊出生率が人口が維持できる水準の2. 1人を下回っている。2015年までには世界人口の2/3に相当する87
ヶ国で同じ状態になると予測されている。(人口転換論・出生率の進化)
次に関係してくるのは地球の人口許容量である。エネルギー問題、地球環境 問題等々考えられるが、ここでは基本の食料問題だけ取り上げることにしま
す。前提として、これから開発される農地の森林への転用を考えず、農業の 生産性を現時点でピークに到達しているものとして、主食となりうる作物に
よって試算すると、次の3つのケースが考えられる。(レスター・ブラウン) @現在の国別の食料消費水準をそのままにした場合、収容可能人口は77億
2600万人。
A1980年のすべての国の世界平均の食料消費水準をそのままにした場合、 収容可能人口は100億1500万人。
B1980年のアメリカの1人当たり食料消費水準を人類全体に当てはめた 場合、収容可能人口は38億9300万人。
となる。
このほかにも諸説あり、12億という人もいれば菜食で生きるなら400億 は可能という説もあるが、その多くは地球の人口許容量の限界にすでに入り
つつあるか、あるいは半世紀以内にその領域に達する可能性があると推測し ている。
人口増加を回避する方法はいくつかすでに実施され提案されている。コーエ ンは人口増加を抑えるための6つのアプローチとして「避妊の促進」「経済
開発」「子供の救済」「女性の地位向上」「男性の教育」「そしてこれらす べてを実行すること」と提案している。
結局はどの資料を見ても将来については不確かで、あくまで推測でしかない 。すべては私たちがこの将来くるであろう危機に対し、どのような生活をし
たいか、人生で何が重要か、等に基づいてどのような選択をするかというこ とである。その選択が個人、家族、共同体、国家によってなされる場合、同
等の他者と互いに影響を及ぼしあう。そして、それは私たち個人の身体に強 烈に関わる選択でもある。
参考図書
『文明の人口史・人類と環境との衝突、一万年史』新評論、湯浅赳男
『環境と人間の歴史』新評論、デイヴィッド・アーノルド
『新人口論・生態学的アプローチ』農文協、ジョエル・E・コーエン
『世界国勢図会1999/2000』国勢社
『日本国勢図会1999/2000』国勢社
『文芸春秋1999/2・20世紀知の爆発』立花隆
『朝日新聞』等
次回に続く。それでは、また。
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