| 第11回 東京都現代美術館で見つけた雑誌『SAP』の紹介
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2000.04.15.
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過日、現代美術館の図書室で『読書人』をまとめてペラペラと見た。
その中で99年9月4日号の『sagi times−02号刊行によせて』 という、西谷修氏の『sagi times』という雑誌コードをもたず車
で「意ある書店」に行商で売り歩いているこの映画系雑誌を野心的な文化運 動として紹介している記事が目にとまった。
もちろん『sagi times』には心惹かれたが、それよりも記事の冒 頭部分と最後の文章に興味を持った。全文は『読書人』を読んで頂くとして
、その中でいくつか気になったところを抜き書きしてみます。
「・・活字メディアをもっとも脅かしているのは、実は「知のコンビニ化」 というものである。「読み、書く」という作業の創造性が支えてきたあらゆ
る文化領域の足場を、そのコンビニ化が侵食してしまっている。
・・・コンビニでは・・気楽な消費に供される本、ティッシュペーパーのよ うな本しか、そこでは用がない。仕入も在庫もコンピューターが最大効率を
はじき出し、それにしたがって管理される。まことに「消費者」という人間 はプログラムできるのだ。・・・知的と言えるような雑誌は、市場からいつ
のまにか駆逐され、いまではほとんど見当らない。コンピューターの採算管 理はここでも、人間の知や創意など必要のないものとして排除してしまう。
・・・大新聞は部数を競って「多数」に媚びる。「一般的でない」とみなさ れたものは扱いからはずす。読者の想定イメージはコンビニの客に限りなく
近づいてゆく。コンビニが流通のモデルになる。・・・流通の多様性はコン ピューター管理に一元化され、市場経済のなかに「悪貨は良貨を駆逐する」
という鉄則が貫徹する。・・・かれら(『sagi times』の発行者) にとってこれは「試み」などではないだろう。それはその都度遂行される
「行動」であり、そこにあるのは根拠のない「自負」などではなく、今こそ こういう「運動」が必要なのだという、時代との響応に対する逆説的な「信
頼」があるように思われる。」
抜き書きなので多少キツク感じられると思います。興味のある方は全文をお 読み下さい。普段、漠然と思っていることを言葉にしてくれていると思うと
ともに氏の洞察力の深さと「思い」が伝わってきます。
上のようなことを前提として前号で予告したように、コンビニではもちろん 大手書店でもあまり見かけない、現代美術館で見つけた直取引の雑誌『SA
P』と『LR』を紹介しようと思います。(電話確認の結果、都内の書店で は青山ブックセンター本店・六本木店、リブロ池袋店・青山店、表参道ナデ
ィッフ・現代美術館〔モット〕ザ・ショップ、日本橋INAX、パルコブッ クセンター吉祥寺店・渋谷店・池袋店に卸しているとのことです。)
「みんな知ってるわい」と言われそうですが、私は知らなかったので・・。
まずは『SAP』
正式にはSaison Art Program Journalという。 99年9月25日No.1創刊。2000年1月1日No.2、4月1日
No.3発売で現在3冊。発行はセゾンアート・プログラムセンター。
http://www.smma-sap.or.jp
リブロポートを潰し、池袋西武美術館、六本木のWAVE館を閉館・・・さ せ文化活動から撤退か?と噂されたあの「セゾン系」である。協賛は西武百
貨店、西友をはじめセゾングループの大所が記されているので、セゾングル ープあげての・・・ということになるのであろうか。
覚えていらっしゃる方も多い?と思うが、その昔『アール・ヴィヴァン』と 『CO・LAB/ART コ・ラボ・アート』という現代美術に特化した雑
誌があった。この2誌の記憶を呼び起こし、(呼び起こされ)今一度とこの 雑誌を立ち上げ(立ち上げさせられ)たようである。編集後記にもあるよう
に、現代美術専門の「活字」にこだわり、論文、論考、講演等の「活字」を 積極的に取り上げ紙面を大幅に割いている。
以下に各号のいくつかの記事の一部を羅列してみます。いくつかは 「引っかかって」くるテーマ、人があると思います。
創刊号
・中西夏之ー光の条件としての「着陸と着水」について
・公開講座ー制度と文化・・・戦後という時代
〔非ー知〕と表現:西谷修
日本における「1968年の革命」:すが秀実
世紀末のアヴァンギャルド?:塚原史
植草甚一的なるものをめぐって:坪内祐三
・連載ーメディア、身体、アクティヴィズムーパフォーマンス・アートとは何か?:内野儀
・連載ー思想を読む第1回、美の理論の脱ー構築 デリダ「絵画における真理」解題:阿倍宏慈
・特別収録ーSMAメモリアル・シンポジウム
第一部「セゾン美術館ー四半世紀の足跡」
パネリスト・宇佐美圭司、中原佑介、森口陽
第二部「解体する美術館ーその現実と近未来像」
パネリスト・逢坂恵里子、大西若人、建畠あきら、前田恭二、 正木基
NO.2
・21世紀へ向かう芸術の可能性
「アートイング東京1999:21×21」
・公開講座ー美術批評の歴史性、そして現在
戦後美術のアポリア:建畠あきら
「物質」のゆくえー瀧口修造と美術批評:林道郎
宮川淳と美術批評の行方:小林康夫
規範なき規範主義:松浦寿夫
・連載ー思想を読む第2回、アルチュセールの芸術解題:市田良彦
NO.3 ・イリヤ・カバコフ関連特集
シンポジウム「未来の後に未来はあるかー現代美術の摸索と可能性」
バネリスト、イリヤ・カバコフ、ドミトリー・プリゴフ、辻井喬
・公開講座ー「現在進行形の美術とそのゆくえ、事例としての〈アートイング〉展」
バネリスト、峯村敏明、高島直之、真壁佳織、村田真、彦坂尚嘉
・連載ー思想を読む第3回、ソフィ・カル、ゲームの規則:野崎歓
・連載ーメディア、身体、アクティヴィズムーパフォーマンス・アートとは何か?
六〇年代演劇革命、一九八〇年の「境界」、そして新たなアクティヴィズムへ:内野儀
紙面が尽きました。もう一冊の『LR』は次回以降の紹介ということにさせて頂きます。
それでは、また。
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