2004.6.6.発行 vol.167 [地下室の古書展 号]

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[CONTENTS]------------------------------------------------------
★近事雑報「南陀楼綾繁のホンのメド」
 →本をめぐる情報+アルファの雑談です。今月もいろいろ行きたいです。
★新連載「もっとピントがボケる音」樽本周馬
 →2003年度の話題作、安田謙一『ピントがボケる音』が生まれるまで。
★「大阪豆ごほん」次田史季(ちょうちょぼっこ)
 →北堀江のふたつの「本スポット」から届く、楽しくて美味しいお便り。
★「酒とつまみと営業の日々」大竹聡
 →各方面で話題沸騰のミニコミ「酒とつまみ」の営業秘話です。大好評。
★「版元様の御殿拝見」塩山芳明
 →新幹線通勤中に毎日一冊は本を読む男が版元の社屋を徘徊します。
★「かねたくの読まずにホメる」金子拓
 →買ったときから、いや手にしたときから読書ははじまっているのです。
★「食の本つまみぐい」遠藤哲夫
 →〈大衆食堂の詩人〉エンテツが料理文化史の重要本を紹介します。

*本文中の価格は、すべて税抜き(本体)価格です。

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■南陀楼綾繁のホンのメド 
新刊、古書、マンガ、雑誌、ウェブサイト、書店、イベントの近事雑報
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【トピックス】
★太田順一写真展
 全国のハンセン病療養所を丹念に回ったり、大阪の在日朝鮮人街を歩いた
りして、そこに住む人たちの写真を撮ってきた、奈良在住の写真家・太田順一
さんの展覧会が開かれます。今年の「日本写真協会賞」の作家賞を受賞した記
念として開催されるもの(もう一人の受賞者は森山大道!)。
今回のテーマは「花」。運河や埠頭、貨物線操車場などの殺風景な場所で咲
く一輪の花を見つけ、カメラに収めてきました。その写真集『化外の花』(ブ
レーンセンター)からの100枚を展示します。

日時:6月15日(火)〜6月21日(月)
10:00〜19:00(最終日は16:00まで)
場所:新宿ニコンサロン
http://www.nikon-image.com/jpn/service/salon/index.htmm

 なお、この機会に、南陀楼が主宰している「BOOKMANの会」で、太田順一さ
んをお招きしてお話をお聞きします。6月16日(水)7時から、文京区春日
の某所にて。太田さんの話を聞いてみたいという方には、案内のメールを差し
上げます。以下まで、ご連絡を。
kawakami@honco.net

★「地下室の古書展」、来週開催!
 先月もお伝えしましたが、東京古書会館で、「アンダーグラウンド・ブック
カフェ 地下室の古書展」と題する、古書即売会が開催されます。ビジュアル
な本、貴重な文学書を手に取って見られる機会です。会場には100円でコーヒ
ー・紅茶の飲めるカフェも設置します。古書会館をちょっと足を踏み入れにく
い場所だと敬遠していた方も、この際、どうぞ。
 また、この古書展に連動して、2階展示スペースで、書物同人誌「sumus」が
企画してちいさな展覧会を行ないます。題して「小出版社の冒険」。同人各人
が持ち寄った本を展示します。また、「sumus」最新号、スムース文庫、同人
の著書などのほか、古本関係の雑誌、ミニコミの販売も行ないます。
南陀楼の新刊、「BOOKISH」最新号はココが初売りになると思われます。

■2004年6月13日(日)〜15日(火)
■午前10時〜午後6時30分(最終日5時閉場)
■東京古書会館地下ホール:千代田区神田小川町3-22
http://underg.cocolog-nifty.com/tikasitu/

 初日の13日午後3時から、「スムース同人が勝手に語る こんな古本屋
が欲しい!」と題して、林哲夫+東京同人によるトークショーを行ないます。
司会は「彷書月刊」編集長の田村治芳さん。さて、どんな話が飛び出すやら。
同人持ち寄りの秘蔵本をオークションする「振り市」も開催します。いまや
「振り」(オークションの掛け声)をやらせたら一番!の田村さんが振って
くれるのだから、盛り上がらないハズはありません。
 会場は2階ですが、多数ご来場で入りきれない場合には、ゲリラ的に場所
を移すかも。たくさんのご来場をお待ちしています。

出演:林哲夫、岡崎武志、松本八郎、生田誠、荻原魚雷、南陀楼綾繁
司会:田村治芳

★『ナンダロウアヤシゲな日々』、もう少しです。
 何度もこの場で予告してきた南陀楼の初エッセイ集ですが、「6月アタマ」
からズレこんでしまいました。ナニしろ、表紙の加工に手間が掛かってしまい
まして(並装本のクセにコリまくるから……)。発売前告知の難しさを実感し
ております。しかし、もう待ったなし、6月10日には間違いなく本ができま
す。書店に並ぶのは数日後でしょうが……。ただ、「書肆アクセス」には10
日に並ぶと思われるので、サイトをチェックよろしく。
 なお、これに関連して、地方小出版流通センターの情報誌「アクセス」に、
『本の「フトコロの深さ」を伝えたい』というエッセイを書きました。よろし
ければご覧ください。
『ナンダロウアヤシゲな日々 〜本の海で溺れて〜』
著者 南陀楼綾繁
装丁/挿画 内澤旬子
無明舎出版 刊行 
四六判・268頁、1600円

「無明舎出版」
http://www.mumyosha.co.jp/

「書肆アクセス」
http://plaza.rakuten.co.jp/accesshanjoe/

★「おに吉」
 荻窪、西荻窪、三鷹の古本屋地図「おに吉」の第2号が出た。地図なのに
「第2号」とはこれ如何に? つまり、地図の前にたっぷりと読み物が載って
いるのです。編集長は岡崎武志さん。なにしろ、冒頭から三味線ボーカリスト
上野茂都のオリジナルソング「ふるほん節」の楽譜が載っている。「ぶっくす 
ぶっくす ほりだした しょはん ぜっぱん ろばのぱん」……。この歌、ぜ
ひ聴いてみたい。他にも、角田光代、亀和田武のエッセイ、岡崎原作・久住卓
也画の漫画「おに吉の冒険」など盛りだくさん。一番笑ったのは、西荻の音羽
館・広瀬さんの奥様の「古本屋女房きまぐれ絵日記」。「赤ん坊を連れて帰宅
すると片付けておいた部屋が買い取った本で埋もれていた。ショックで倒れそ
うになった」。いやー、身にコタエます。
 地域の各店舗で配布のほか、「地下室の古書展」などでも配布します。

【イベント】
★「よつばカフェ」で古本イベント
 奈良町の憩いスポットとして、行くたびに時間を忘れて過ごしてしまう、
「よつばカフェ」で、古本市が開催されます。町家を改装した喫茶店のその二
階で、絵本、児童書など約200冊を販売します。題して、金泉堂の古本市
「2階で絵本」。金泉堂って誰? と思ったヒトは、6月25日発売の「彷書
月刊」の南陀楼の記事をご覧あれ。
 なお、「よつばカフェ」がサイトを開きました。展覧会情報もココに。
http://www.h7.dion.ne.jp/~yotsuba/

6月19日(土)、20日(日) 12:00〜20:00
問い合わせ 金泉堂 hello-t@kd5.so-net.ne.jp

【ギャラリー】
★東京にアヴァンギャルドが溢れる
 最近往時のマニアックぶりを取り戻したように調子のいいPARCO出版より、
今月、1960〜70年代のアングラ演劇のポスターを集大成した『ジャパン・ア
ヴァンギャルド』が刊行されます。A3サイズ、120ページというドデカイ本で
5,040円(税込み)。これを記念して、ロゴスギャラリーで展覧会が開かれます。
横尾忠則、平野甲賀、宇野亞喜良、粟津潔らのポスターが多数展示されます。
また、同時期に複数のギャラリー・古書店・バーでも展示が行なわれるよう
です。「池林房」や「ですぺら」(一度行ってみたかった)でもやるんだって。

6月11日(金)〜29日(火) 10:00〜21:00(最終日17:00まで)
(ギャラリートーク) 両日とも2時開始
12日(土) ゲスト・宇野亞喜良
19日(土) ゲスト・及部克人http://www.parco-art.com/

【これから出る本】
★「フォア・レディース」シリーズ復刻
 毎日新聞(6月2日付)によれば、新書館の「フォア・レディース」シリー
ズのうち、寺山修司と宇野亞喜良のコンビによる『ひとりぼっちのあなたに』
『さよならの城』『はだしの恋唄』が三冊セットで復刊される(3990円)。
 ここ数年に古書価が高騰した本はいくつかあるが、「フォア・レディース」
はその筆頭といえるだろう。血眼になって探している女性は多い。そういや、
浅生ハルミンさんと五反田のブックオフに行ったとき、ハルミンさん、このシ
リーズの安井かずみの本を掘り出して狂喜してたっけ。
 オリジナル版の編集者だった内藤三津子さんという方が、復刻版でも編集を
担当されているというも、「フォア・レディース」信者のココロをくすぐりそう。

新書館
http://www.shinshokan.co.jp/

【雑誌】
★「未来」で早稲田古書店主の聞き書き
 未来社のPR誌「未来」6月号から、向井透史「開店まで 早稲田古書店街
外史」が始まりました。「モクローくん通信」のセドローくんとしても知られる
早稲田の「古書現世」の二代目の向井君が、各店主がどんな経歴を経て、古本
屋を開いたかを丁寧に聞いています。第一回は、歴史・民俗の「岸書店」。店
主が台湾の高雄生まれだというのも初耳なら、神保町の「玉英堂」出身だとい
うのも知らなかった。
「棚が埋まらなくてね。開店初日には空いてる棚に段ボール箱を差してごまか
してたんだ。(略)今でも当時を知るお客さんには言われるよ。『あんたとこ
は昔ダンボール屋だったもんなぁ、本より多かったもの』なんてね」という
結びには笑った。
 ふだんもっと軽い文章を書いている向井君が、ココでは語り手のライフヒス
トリーを読みやすく伝えることに心を砕いている。地の文と、話し手の台詞と
のバランスがいい。
 ところで、5月号からリニューアルした「未来」だが、デザインに関してい
えば、表紙・本文ともかえって読みにくくなった。再考を望む。

【映画】
★末井昭セレクションの特集上映
 『絶対毎日スエイ日記』(アートン)が好評の末井昭が選んだ映画を、「シ
ネマアートン下北沢」でレイトショーで掛けるという企画。館の名前で判ると
おり、シネマ下北沢をアートンという新興の版元が買っちゃったワケだ。よう
するにタイアップ企画ではあるが、スエイさんの選んだ映画が極めてシブイ。
救いようのない人々が主人公の映画を撮る、ハーモニー・コリンという脚本家・
監督の3本である。オモシロいかどうかは判らないけど、こういう機会でも
なければ滅多に上映しない映画であるコトはたしか。私は明日(6日)に行っ
てみるツモリ。

6月5日(土)〜10日(木)『KIDS』 監督 ラリー・クラーク
                   脚本 ハーモニー・コリン
6月12日(土)〜15日(火)『ガンモ』 脚本・監督 ハーモニー・コリン
6月16日(水)〜18日(金)『ジュリアン』 脚本・監督 ハーモニー・コリン
いずれも21時開始
11日(金)には、末井昭トーク&サイン会を開催(映画上映はナシ)

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■もっとピントがボケる音  樽本周馬
(2)中学のときから追いかけてきた人
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 安田謙一の名前を知ったのは、私が中学3年ぐらいの時だ。洋楽を聴き始め
た頃、京都三条にあった「ヴィレッジグリーン」という中古レコード屋に置か
れたフリーペーパーで、だった。そこでヘンな音楽のことばかり書いている人
が安田謙一で、そのレコード屋の店員さんでもあった。ヴィレッジグリーンは
仲間内では伝説的なレコード屋だ。ロック、ポップスとともにラテン、テック
スメックスなどのワールドミュージックや日本のロック(遠藤賢司、はっぴい
えんど等々)がバッチリと並び、カウンターの横の本棚には「レコードコレク
ターズ」のバックナンバーがびしっと詰まっていて、自由に閲覧することがで
きた。

 そこには、安田さんがフリーペーパーで紹介しているヘンなレコードが揃っ
ていた。普通のレコード屋には絶対に置いていないもの――タイニー・ティム、
ブレイヴ・コンボ、レジデンツ、シャッグス……。私たちはヴィレッジグリー

ンで自分の好きな音楽を大半を知り、大袈裟ながら歴史も学ぶことが出来た。
当時、安田さんは自分で発行していた「3ちゃんロック」というこれまた伝説
的なミニコミや、「花形文化通信」というフリーペーパーでも文章を書きまく
っていて、私はそこで紹介された面白くてヘンな音楽や映画、書籍を買い漁っ
ていった。
 以来、私は安田さんが面白がっているモノやコトを追い続け、物の考え方や
人生に対する態度などにも完璧に影響を受け、今に至っている。喩えて言えば、
あるジェネレーションが吉本隆明を信仰する感じ?(語尾上げ) しばらくし
て、知人を通じて直接お話が出来る間柄となり、一緒に遊んでもらったりした
のだが、この期間に安田さんのセンス、つまりは一緒に本を作る上で必要にな
った感覚を学んでいたとも言える。

 私は東京の出版社に就職し、営業部に配属となった。この会社、国書刊行会
では、営業から企画をどんどん出すべきという方針がある。年に2回の出張
(車に本を詰めた箱を30ケほど積んで、全国の図書館・美術館に直接売りに行
く。およそ2ヶ月間、毎日2回図書館で本をおろしてはまた積んで、を繰り返
し、ビジネスホテルを渡り歩く地獄行脚。国書に入った男性社員はほぼ全員こ
の修行を体験している)の合間に、企画のネタを探すのだが、そんなにすぐに
見つけられるはずもない。

 ただ、自分が一番読みたい本は何か、と考えてすぐに思いついたのが安田謙
一の文章を集めた本だった。興奮して、すぐに安田さんに「今営業なので、い
つになるか分かりませんが、安田さんの本を作らせてください」と電話した。
安田さんは「売れへんで〜」と言いながらも、快諾してくれたのでホッとした。
あとから聞くと、それまでにも本を出さないかと誘いはいくつかあったけど断
っていたらしいので、なおさら嬉しかったものだ。それから2年たって、編集
部に異動になり、予定どおり安田謙一本の企画を提出。国書刊行会では編集会
議などというものはなく、編集長に企画を出し、1対1で説明をし、それが通
ると、次に営業部長をと交渉するという形式をとっている。音楽コラムを中心
にしたいわゆるサブカルチャー本は国書刊行会では出したことがないジャンル
なので、かなりの長期戦を覚悟してたが、割合あっさりと通ったのでこっち
がビックリした。

 考えてみれば、国書刊行会が扱っているジャンルといえば、仏教書、戦争関
係、オカルト本、超マイナーな海外文学、ヴィンテージミステリ、妖怪画集、
中原淳一などの少女もの、となんでもありなので、いまさらサブカルが来よう
と何が来ようとビクともしないということだと思う。しかし、タイトルが『ピ
ントがボケる音』(安田さんの発案:中村とうようの『地球がまわる音』から
由来する)です、と発表したときはさすがに編集部全体に「大丈夫か……」と
いう気の抜けた雰囲気が漂ったのをよく憶えている。     (つづく)

〈たるもと・しゅうま〉1974年奈良県生まれ。2000年より国書刊行会勤務。
担当書籍に『吉屋信子乙女小説コレクション』『鴨居羊子コレクション』『国
書刊行会SF・未来の文学』など。

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■大阪豆ごほん  次田史季(ちょうちょぼっこ)
(8)本に囲まれた生活、いつも。
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 ちょうちょぼっこが鳥かごビルディングに引っ越してから、はや4ヵ月が経
ちました。

 最近、「本屋」関連の特集をする雑誌をよく見かけます。どうやら世間では
ちょっとした「本屋ブーム」のようです。今日も卒論のテーマにブックカフェ
をとりあげようと考えている大学生が北から順番に何件かまわってきて、最後
ちょうちょぼっこに来てくれました。
ブームにのっているのかどうかはよく分かりませんが、ちょうちょぼっこを
紹介していただいた雑誌を並べると、バラエティ豊かな品揃えになっていて、
それぞれの雑誌を見ていろんな人たちが同じ場所へ集まってくることを考える
と、おもしろく、うれしいです。

 初の新聞掲載とケーブルテレビ出演のときはどうなることやらと思いましたが、
かなり会っていなかった友達が見ていたり、母の友人がお宅の娘さん新聞に出
てはるわよと母に教えてくれていたり、少し新しいお客さんがきてくれたりし
たくらいで、大幅にてんてこまいになることもなく、あいかわらずなちょうち
ょぼっこでした。

 あいかわらずというのは、たまに忙しいときもあるし、結構暇なときもある
ということで、お客さんのいないときなどには、おまめさんのところへ遊びに
行ったりもします。悪戦苦闘、七転八倒の末、ぎりぎりなんとか間に合った豆
本展のときにも、何度か相談に乗ってもらいました。残っていた豆本の材料を
おまめさんに譲ると、その日のうちにいくつか試作品ができあがっていました。
さすが!

 今は印刷屋さんの事務をしていますが、なかなか印刷に関する知識は深めた
いのに深まらず、請求書の処理に追われる毎日です。土曜日出勤の多い月は、
ちょうちょぼっこの当番をすると、お休みがほとんどなくなるので嫌だなあと
思ったりもしますが、いざ当番に行くと、いろんな郵便物が届いていたり、い
ろいろな人に会えたり新入荷した本をチェックしたりしているうちに、やっぱ
りきてよかったなと思うのです。

 うちには、物心つかない頃から本がたくさんあり、本を読むことを禁止も強
制もされなかったためか、本が好きで、本に囲まれた生活があたりまえになっ
ていました。本のある空間にはすぐ反応してしまい、図書館や書店は見つける
とついつい入りたくなります。

 ブームでもブームじゃなくても、本に囲まれた生活からは、なかなか離れら
れない気がします。

(つぎた・ふみき)貸本喫茶ちょうちょぼっこのメンバー。眠っているガリ版
を今年こそ使う予定。

貸本喫茶ちょうちょぼっこ
〒550-0014 大阪市西区北堀江1-14-21 第一北堀江ビル4F
地下鉄四ツ橋線四ツ橋駅下車6番出口西へ徒歩2分/地下鉄長堀鶴見緑地線西
大橋駅下車徒歩5分
金  :18:00〜22:00/土日:13:00〜21:00
http://www.nk.rim.or.jp/~apricot/chochobocko.html

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■酒とつまみと営業の日々  大竹聡
(13)ミニコミ誌・悶絶の広告問題(その1)
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 さて今回は、『酒とつまみ』の広告問題である。ミニコミ雑誌はただでさえ
部数が少ないから、印刷した分を全部販売できたとしても利益など望めるもの
ではない。だからせめて広告がほしい、と切に思う。しかし、部数が少なくて
知名度もないとうことは、広告媒体としての価値もそれだけ低いということで、
そんなところに広告を打ってもどれだけ意味があるか、まるでわからない。だ
から、広告は集まらない、ということになる。

 まして小誌の場合、広告をいただくことで特定の酒メーカーや飲み屋さんに
遠慮した誌面を作ってしまえば、ただ好きなことをやろうじゃないかと言って
ミニコミを始めた意味がなくなってしまう。だから小誌では、内部の決め事と
して、酒を作っている個人や会社、酒を販売している個人や会社からは、もし
万が一広告を出したいと言われてもお受けしない方針を固めていた。

 とかなんとかエラそうなこと言ってるが、創刊号に関しては制作するのが精
一杯で広告営業をする気持ちの余裕さえなかった。結果として広告はゼロ。第
2号の編集作業に入ったときには、広告なんとかしなくちゃモードに入っては
いたものの、どこへ行けばいいのかもわからず、お手上げ状態。二日酔いの薬
とか胃薬など、この雑誌の広告にはぴったりだとは思うけれど、具体的な手立
ては何一つ思い浮かばなかった。やっぱり広告はゼロ。

 そんな窮状を救ったのは1本の雑誌記事だった。『編集会議』03年3月号で、
新宿の『模索舎』という書店さんの売上ベスト3が掲載され、小誌創刊号が2
位にランクされていた。そのとき、1位だったのが『中南米マガジン』という
雑誌で、この記事をきっかけにして、発行人の金安顕一さんが小誌編集部を訪
ねてくださったのである。そのときには、映画雑誌『ジャッピー!』の編集者、
中島泰司さんも一緒だった。
「3誌で広告を交換しませんか」

 実にありがたい申し出だった。そのときすでに『中南米マガジン』は13号
を、『ジャッピー!』は18号の編集作業に入っていた。息も絶え絶えになり
ながらようやく2号の発売に漕ぎつけた小誌にとっては大先輩である。2誌か
ら広告原稿をいただいて誌面を作る。広告料は入らないが、その代わり、小誌
の広告が2誌に掲載される。固定読者をもった既存の雑誌で、『酒とつまみ』
を知っていただくことができる。このメリットは大きい。

 嬉しさのあまり、調子ものの私は言った。
「3誌合同で、どこかの雑誌に広告を出すというのはどうでしょう。悶絶する
ミニコミ雑誌・連合広告企画! という具合で」
「おお、そういう考え方もありますね」
 金安さんはご機嫌にそう答えてくれた。そして、いくらになるかという相
談……。
「仮にページ20万円の媒体なら、1誌7万円弱の負担で出せますね」
 言ったそばから、私はがっくり肩を落とした。7万円なんて、『酒とつまみ』
のどこを突っついても出てくるものではなかった(泣)。

〈おおたけ・さとし〉『酒とつまみ』編集発行人
週末、ヘロヘロに疲れているのになぜか朝早くから目が覚める。具合が悪いの
ではない。渓流が呼んでいるのだ。とはいえ釣れない。へたくそ・にわか釣り
師に釣られるほど、人に慣れ、すれたヤマメは甘くない。だからまた行く。で
も釣れない。毎週通ってはや2ヵ月。焼いたヤマメで缶ビール、はまだ遠い。
http://www.saketsuma.com/

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■版元様の御殿拝見  塩山芳明
(21)あかね書房の巻  光々しくさえ見えるプレハブ謙虚社屋
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 嫌がらせというような“根性ある行為”ではなく、単に体裁の良さを狙って、
エロ本屋は子会社を設立する際、大手とまぎらわしい社名を付ける事が。辰巳
系の富士美出版は、無論角川系の富士見からパクりだろうが、関係者の意に反
し、孤独なオナニスト達の猫背がちな後ろ姿が、霊峰富士に投影される様は、
どこか初期横尾忠則的で、本家の抹香臭いイメージをしのぐ。

 その辰巳出身で、率いるエロ漫画メインの編プロ、コミックハウスを急成長
させ、“業界のビル・ゲイツ”との声まである、中年実業家、宮本正生社長が
買収した版元、茜新社の事を、今回のあかね書房(1949年設立)関係者が、内
心どう思ってるかは全く不明(勿論茜は“反社会的エロ漫画”が中心。笠間し
ろうの、カラー堅縛画集とかも)。

 前回取り上げたアストラより、“廃墟通り”と筆者が勝手に命名してる、旧
日刊工業新聞、旧森本組東京支社等の空きビルが林立する通りに近い(その森
本組、熊谷組他のゾンビゼネコンがおっ建てた西洋棺桶風マンション、「ラ・
トゥール千代田」は、笑わせる事に、旧森本組ビル正面に。ハデな宣伝活動し
てるが、どこの物好きが入居?)。靖国神社を背に首都高をくぐり、右に祥伝
社、左に朝日出版社。その間の通りを直進した左(千代田区西神田3-2-1)。

 初めて見た人はビックリじゃ? 何せ単なる二階建てのプレハブ風社屋なの
だ。埼玉あたりの建築現場で、訳あり夫婦が飯のまかないやってる、出稼ぎ肉
体労働向けのヤサ風。ひょっとするとここは、拡張工事中の仮り住まいで、本
社は後方のビルかとも考えたが、そこにはちゃんと三松堂印刷と。やはり数々
の児童書は、菅井きんと山谷初男夫婦が炉事を任されてる(?)、この飯場か
ら送り出されてるらしい。

 が、長年に渡り同社前を通ってると、次第に社屋が光々しく見え始めるのも
事実だ。後方の先のラトゥール千代田を筆頭に、付近には錦明印刷、専修大の
建物等が無意味にそびえ立つのだが、謙虚すぎるあかね“プレハブ”書房の建
物は、調子づく成金共に対し、「あんた方の明日は、日刊工業新聞か森本組じ
ゃ?」とつぶやいてるのかも。

「あかね書房って日共系でしょ? 嫌だったけど面接に行ったのよ。落ちちゃ
ったけど、ほら交通費だって500円もくれたの。歩いてったから1円もかか
んないのに。偉いよネ。塩山君、お茶の水の弘済会(現KIOSK)に行って、
コレでトリス1本買って来て!」
 1970年代半ば、明大夜間部の或るサークルボックスで、文学部自治会委員長
だった某女のパシリで、安ウィスキーを1本買って宴会、悪酔いした(当時お
茶の水駅の弘済会では、『日本読書新聞』、『東大新聞』、日本酒の一升ビン、
トリスのボトル等が売られていた)。

 今も時々『赤旗』に書籍広告。やっぱり先輩が言ったように、“日共系”な
ので収益も吸い上げられ、プレハブなのか? そういえば児童書の全盛期、福
音館他のベラボーな給料が話題になった際も、名前が出なかったような気が。
大昔には三島由紀夫の本も出した事があるらしいし、ミステリアスな版元様だ。
いきなりつまらんビルに建て替えられる可能性もあるので、近所の丸井クリー
ニングと渡井徽章の入ってた廃墟共々、今のうちに一見しとく価値あり(交通
費は自腹で)。

〈しおやま・よしあき〉エロ漫画編集者。編プロ「漫画屋」を率いる。著書
『嫌われ者の記』『現代エロ漫画』(一水社)。なお、この連載に関しての批
判・苦情・お叱りは筆者本人まで、どうぞ(ただし、謝るとは限りません)。
mangaya@air.linkclub.or.jp
http://www.linkclub.or.jp/~mangaya/

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■かねたくの読まずにホメる 金子拓
(23)酒と日記と初出一覧
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山口瞳『わが師わが友』河出書房新社、2004年5月、1500円
吉行淳之介編『酒中日記』講談社、1988年8月、1300円(品切)
吉行淳之介編『また酒中日記』講談社、1991年5月、1500円(品切)

 先日、ウェブサイト“戸板康二ダイジェスト”主宰の藤田さんから、メール
で、山口瞳さんの単行本未収録の人物エッセイを集めた新刊『わが師わが友』
はいいですよと教えていただいた。その数日後、たまたま某所で藤田さんにお
会いする機会があって、その前に本屋に寄りくだんの『わが師わが友』を買い
求めた。

 世の中には“あとがき派”と称し、本を買うと本文より先に「あとがき」か
ら読むという人たちがいる。あとがき派かそうでないかといえば、私は断然あ
とがき派であることを否定しないのだが、私の場合、そのあと小声で「実はあ
とがきよりも「初出一覧」の方を先に見るけどね」とつぶやくだろう。いわば
“初出一覧派”である。

 なぜ初出一覧が好きなのかと問われれば即答に窮してしまうが、短篇集なり
エッセイ集なりに収められた文章群がもともといつ、どんな媒体に発表され、
それらがどのように集められ組み立てられたのかという編集のやり方に思いを
馳せるのが好きということかもしれない。まれに初出一覧というかたちで巻末
にまとめられず、初出データが各文章の末尾に付けられている本があるが、こ
れを見ると少しがっかりする。ましてやあるべき初出一覧がない本に遭遇する
と、どうにも居心地の悪さを感じてしまう。

 ということで、『わが師わが友』を買う前に、儀式のように初出一覧を確認
したのである。すると気になる単語が目に入ってきた。「ふうわふうわ」とい
う一文の初出が吉行淳之介編『また酒中日記』となっていたからだ。

 リトルマガジン『BOOKISH』第6号戸板康二特集にて、藤田さんと私は、戸
板さんが『小説現代』のリレーコラム「酒中日記」に書いた二篇を採録し、解
題を付す作業を担当させていただいた。そのさいの売りのひとつに「単行本未
収録」という点があった。ところが吉行淳之介編『また酒中日記』という書名
を目にして心中が騒ぎ出す。しかも書名に「また」とあることは、たんなる
『酒中日記』が存在する可能性もあるわけで、直後に藤田さんとお会いしたと
きこの疑念を申し上げたら、藤田さんもとっくにお見通しだった。とにかく現
物を確認せねばとその日は別れたのである。

 後日、藤田さんが調べて下さったところによれば、予想どおり吉行淳之介編
『酒中日記』『また酒中日記』という二冊が存在し、それぞれ『小説現代』の
同名コラムのアンソロジーであり、しかも『酒中日記』には当の戸板さんによ
る序文が載せられていた。さらにわれわれが『BOOKISH』に採録した二篇のうち
一篇が『酒中日記』のほうに収録されていた。自著に未収録という意味での
「単行本未収録」であると言い逃れできるけれど(山口さんの場合も同じ)、
『酒中日記』『また酒中日記』という本の存在を二人して知らなかった迂闊さ
を恥じたのである。

 ともあれ、この二冊のアンソロジーはかなり面白そうだ。文壇著名人が日記
の体裁でお酒を通じた交友を綴ったもので、木山捷平や浅見淵といった名前も
見える。興味をお持ちの向きはぜひ古本屋で探していただきたいと言いたいと
ころだが、一、二週間の間に二冊ずつ古書のネット通販目録から消えたことは
確実なので、はからずもわれわれは需要と供給のバランスを乱してしまったこ
とになるのかもしれない。

〈かねこ・ひらく〉サイト「本読みの快楽」運営。本業は日本史研究者。
私の購書生活は、月の後半に買いまくり、月の前半はただひたすら我慢という
もの。いまがその忍耐の時期です。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~kinko/index1.htm

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■食の本つまみぐい  遠藤哲夫
(6)とびちる放言力にやれやれ
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小泉武夫『食の堕落と日本人』東洋経済新報社、2001年。

 古い本ばかりじゃなくて、イマの本から。小泉武夫さんの本を一冊は取り上
げなくてはならないね。なにしろ売れっ子、「著作は80冊を超える」と。で、
どうせなら、このコワイ題の本にしましょうか。

「いまやこの国の多くの人たちは、全地球型雑食民族になってしまった感があ
る」「素晴らしかった日本人の食生活はいよいよ堕落化に走りはじめたようで
ある」韓国人留学生がキムチを漬けられるように漬物の漬け方を知っている日
本人はどれだけいるか! 堕落だ! ヘイすみません。日本酒があるのに、ビ
ールやウィスキーやワインを飲むなんて、堕落だ! ヘイすみません。という
調子で、こっちは平身低頭しっぱなし。

 小泉さんは、背広やジェット機はいいが、食は2千年の伝統でなきゃいけな
い、自分はそのようにしているが、おまえら日本人は堕落していると言いたい
らしい。そして「丼に盛った熱い飯に、一缶一五〇円也のサバの水煮の缶詰を
ぶっかけて、その上から醤油を数滴たらして、それを今生の最高の丼飯だと賞
味できる者こそ食の達人であり、文人なのである」なんて言うのだ。

 つまり、この本は、歴史的現実は無関係の放言集なのである。歯切れよくポ
ンポンと、多くの人びとがイマの日本の「食」に感じるだろう不安や不信をつ
く。そのへんに喝采し溜飲を下げる読者が多いことを計算しているかのように。
しかし、韓国のキムチが中国産を頼り、小泉先生が見習おうという「スローフ
ード先進国」のイタリアはスパゲティをインド産に頼らなくてはならなくなっ
た現実は、無視される。そして、いい古された実態ではない「素晴らしい日本
食2千年の伝統」の旗が高々と翻るのだ。ああ、何度もくりかえされた光景だ。
こうして伝統的な日本食は、資本主義の現実の中で迷走し衰退していくのか。
やれやれくたびれる。

〈えんどう・てつお〉フリーライター。『ぶっかけめしの悦楽』に大幅に加筆
した『汁かけめし快食学』がちくま文庫から、7月9日刊行です、780円。
よろしく〜。
「ザ大衆食」http://homepage2.nifty.com/entetsu/ 

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