2000.3.20.発行 vol.29  [サッカー離婚!? 号]

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■トッピクス&お知らせ
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■アーサー・ビナード著『釣り上げては』(思潮社 二千円)滅茶売れ!
第六回中原中也賞受賞作にして、朝日新聞の三月十五日(木)「ひと」コー
ナーで紹介された途端、滅茶売れだそうです(同社の著者が過去の「ひと」
欄で紹介されたときの数倍!だそうです)。在日十年にして、誤植訂正のと
き、「この部首は、肉付きではありません」と言って訂正するほどの日本語
堪能さの著者だそうです。恐るべし!

■畠中さんの連載、今回だけ月末号になります
二十日号連載の畠中理恵子さんの書評ですが、今回だけ月末号に延期になり
ます。もう少々お待ち下さいませ。
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■『こんなサッカーのコラムばかり雑誌に書いていた。』他、小林圭司
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『こんなサッカーのコラムばかり雑誌に書いていた。』佐山一郎・著(双葉
社刊)
『サッカーの敵』サイモン・クーパー・著(白水社刊)

サッカーの本は大きく2つに分類出来る。
ひとつはチームや選手について書かれたもので、もうひとつはサッカーその
ものについて書かれたものだ。
前者の中でも、特定の人気選手に親密なライターの書いたものが商業的に成
功したため、この類のものがメインストリームになっている感もある。
そういったものにもそれなりのおもしろさはあるのだが、例えば、中田英寿
について書かれたものが、実際の彼のプレーよりも興味深いかというと、そ
んなことはあり得ない。
『FC東京の挑戦』(小学館)なんて新刊も、ファンにはありがたいかもし
れないが、個人的にはこのチームのサポーターが好きではないこともあり、
あまり関心を持てない。
しかし、一昨年のJ2で昇格争いをしていたFC東京と川崎フロンターレ
が、厳しい残暑の残る満員の西が丘球技場で凄まじいスコアレス・ドローを
演じた試合は、今でも忘れることがない。
120分間点の入らない試合であれほど興奮したのははじめてだった。
ぼくの中ではFC東京はそういうすばらしい記憶が残っているだけで十分
だ。

でも、サッカーについて書かれたものは、サッカーそのものに対して副次的
なものでしかあり得ないのだろうか。
いやいや、佐山一郎氏のサッカーコラムからは、サッカーの現場の匂いが、
いつも感じられる。
そこにあるのはまぎれもない、サッカーそのものだ。
「スタジオ・ボイス」元編集長という肩書きや、あまりに東京人的なお洒落
さに騙されてはいけない。
泥臭いまでに現場主義的な佐山氏は、連敗記録を更新し続けるヴァンフォー
レ甲府のために甲府へ(この人のJ2好きには、同好の者として思わずニヤ
リとされられる)、あるいはtotoの取材のために日本体育・学校研究セ
ンターへ、と飛び回る。
「サッカーに時間を捧げていない人の原稿ってバレバレでしょ?」と語る言
葉にも強烈な自負が表れている。
サッカーはいつでもどこででもやっている。
だから、愚直なまでにサッカーの行われている場へ足を運ぶ、それだけが
サッカーそのものに近づく方法なのだ。

サイモン・クーパーもまったく同じスタンスと言っていい。
『サッカーの敵』のメインテーマは、サッカーとその国の政治との関わりだ
が、彼が取材する対象は政治家そのものから一般のサッカーファンまで、
回った国は一流のサッカーネイションだけでなく、ロシア・東欧・米国・ア
フリカと多岐に渡り、様々なサッカーに触れている。
そうして明らかになったサッカーとその周辺のものとのつながりは、時には
純粋だが、権力闘争と謀略に汚されきっている場合もある。
それでも、そういったものを含めて、それがサッカーなのだ、と言わざるを
得ない。

冒頭の分類でいけば2冊ともサッカーそのものについての本で、あまりに濃
度が濃いのだが、ぜひサッカーに関心のない方にも読んでいただきたい。
それは、この2冊がどちらも読み物として大変優れているからだけではな
く、この本を通してサッカーに取り憑かれてしまう人間のことを理解してい
ただきたい、暖かい目で見ていただきたいからだ。
ぼくの「年間生観戦量」というのは下の「年間読書量」にほぼ匹敵してい
て、週末はほとんどサッカーを観に行っているという計算になる。
佐山氏のコラムの中で、読んでいて最も痛かった一篇〜「嗚呼、サッカー離
婚!」では、サッカーが原因で三行半を突きつけられた実例が載っていて、
まったく他人事ではないのだ。
もはや家人の理解を得るためには、totoで1億円当てるしかないのだろ
うか・・・。
『サッカーの敵』2,700円
http://www.ganessa.com/shop.php3/0906200024/25/
『こんなサッカーのコラムばかり雑誌に書いていた。』1,900円
http://www.ganessa.com/shop.php3/0906200024/26/
(↑こちらからお買い上げ頂けます)
<小林圭司 出版社営業部員 32歳 年間読書量50冊(トホホ...) 好き
なジャンル 翻訳小説・サッカー>
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■『何だ難だ!児童文学』朝日山
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「何だ難だ!児童文学」さねとうあきら・中島信子・長谷川智子 編書房

出版業界人の必読本を出す会社といえば、編書房\(^O^)/
「出版に未来はあるか」や「出版クラッシュ」は、読んでおられる方も多い
と思いますと書きたいところですけど、あんまり売れてないようですねぇ。
「出版クラッシュ」は一応2刷はしたみたいだけど……特にこの「何だ難だ!
児童文学」は売れゆきがよくないようです。児童文学なんか興味がないと思
っているあなた!ぜひ読んで下さい。日本の児童文学が風前の灯になってい
る……え、出版界全体もだって?そうかも知れないけど、その遠因は絶対こ
こにも書いてあります。子供を活字から遠ざけたという遠因が……

遠因……それは児童文学を牛耳る連中が呆れるくらい愚かだから。日本の児
童文学界の重鎮たちがいかに愚劣か。朝日山が最初に知ったのは三年ほど前
のこと。機会があって、「日本児童文学」鳥越信と、「戦後児童文学の50
年」日本児童文学者協会の二冊を読んだときのことでした。

どれほどひどいかというと、あいつらは、「私はマンガは読まないし、ゲー
ムもやらないんですが……」なんて言いながら、マンガやゲームを商業主義
的と断じ、自分たちのやっているのを、無批判に「芸術的・民主的児童文学
」と称賛するていたらく……芸術的で民主的な奴が、見もしないものの悪口
を言うのか(笑)。
そんな感じで、もう、と学会の研究対象にならないのが不思議なほど、トン
デモな内容です。いや、と学会関係者諸君、一見まともそうに見える権威に
も挑戦しないといかんよ。

しかし、児童文学をやる人全体がそうだというわけではない。中には骨のあ
る人もいらっしゃるようです。そんな方たちが、児童文学の歴史から今の現
状までを語っているのがこの本!過去の名著のブックガイドにもなっていて
なかなかよい。紹介されている本、ぼちぼち読んでいこう……

さて、内容はというと、これ読んで本を読んだ気になってもらうと困るので、
どんなことが批判されているかを列記してみましょう。

「少年H」は嘘っぽい
フランシスとか、メリーとかカタカナの著者名がついていたらいいのか?
なぜ新美南吉が、宮沢賢治より評価が低いのか?
読書感想文なんてやめてまえ
「兎の眼」は絶望の挽歌だ
母と子が平和に読書にふける光景なんて、およそ不自然でまやかしに見える
などなど……

なぜ著者たちがそう思うのかは、皆さん買って読みましょうね。
主張の中には、一部に「政府の攻撃」とか、左翼風の、ちょっとついていけ
ない部分もあるのですが、その辺を無視すれば、私が見たところ正当な主張
だと思います。ついていけない部分も一番あるが、一番面白く、一番気骨を
持っている、さねとうあきらの発言に特に注目しましょう。

児童書の棚は母親が気に入るように作れというのが、書店経営の鉄則らしい。
これは児童書に金を払うのが子供ではなく、母親だからだ。母親が選択する
と、たいてい手に取るのはメルヘン・ファンタジーになる。ジャンプでもマ
ーガレットでもコロコロでもいいが、子供が自分のこずかいを握りしめて買
いにくるコミック、あるいはゲームの世界と比較してみたらよい。マンガや
ゲームにも、もちろんメルヘン・ファンタジーもあるが、決してそれだけじ
ゃない。ミステリ、歴史、アクション、ラブコメ、スポーツ……児童文学は
は、子供の要請に応えているとは言えない。

子供と母親の趣味嗜好が同じなら問題はないだろうが、まあ違うのが普通だ。
母親の読書への介入は子供の本好きにさせるとは思いにくい。母親の思惑の
おしつけのために本が使われることになるからだ。児童文学者協会も文部省
も別の思惑を持っているというだけで、同じ穴のムジナ。
これに対し、トーハンの新刊ニュース二月号に「生きる力をくれた読書」と
いう特集が組まれている。「朝の読書」をやっている大塚笑子センセは、感
想文なし、マンガと雑誌以外なら何読んでもいいで本好きを大量に育成した
そうだ。

大塚センセは、熱心に読みきかせをする母親や、文部省や児童文学者協会が
絶対やらないことをやって成功していると言えるだろう。なんのことはない。
「民主的・芸術的・教育的」なんてことを言い出し、読みたい本を読ませな
かったから子供は本を読まなくなっただけじゃないのか?

一つ不満もある。既存の大作家たちが、なぜ児童文学に参入して、この世界
を浄化しよう、活性化しようとしないのか。突っ込みが欲しかった。皆川博
子は児童文学から作家になったが、「児童文学は難しすぎて」大人の文学に
転向したという。もう、これだけで皆川博子を読まずとも、彼女が一流だと
わかるわな。

一流の作家となれば、児童文学を書くことの難しさは知っているはずだし、
書ける技術も持っているはずだ。今の児童文学の状態に危機感をもって然る
べきだし、危機感を持っているなら一流ほど児童文学に挑戦する姿勢があっ
ていいんじゃないか?皆川博子よ、少しは自信がついたら児童文学もまた書
いてね。いや、頼むから書いてくれ

「日本に幽霊が出る。『おもしろい児童文学』という幽霊である。ふるい日
本の児童文学関係者は、この幽霊を退治するために神聖同盟を結んでいる。
文部省と児童文学者協会、先生とPTA、マスコミとコメンテイター。
………中略………
支配階級よ、児童文学革命のまえにおののくがいい。ガキどもは、革命にお
いてクズ本のほか失うべきものはもたない。かれらが獲得するものは世界で
ある。
万国のガキども団結せよ!」
「おもしろい児童文学党宣言」より
よーーーし!異議なーーーし!

はい、みなさん、大空こだまひびきの調子で
「そんなやつ、おらへんやろー」(。_゜)\BAKI
失礼しました
って、それじゃ困るんだよなぁ……

『何だ難だ!児童文学』1,500円
http://www.ganessa.com/shop.php3/0906200024/27/
(↑こちらからお買い上げ頂けます)
(朝日山 百姓 36歳 年間読書量50冊 好きなジャンル 特になし)
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■あとがき
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>花粉の飛散がひどくなっていますねー
>はあはあ。マスクしてる姿もこの季節の季語にしたいくらいの日常風景に
なってきましたねー
>一つ思ったんですが、こんな状況になっても日本人は大人しいですよねー
>と、言いますと?
>いや、血の気の多い民族だったら、きっと花粉症の人みんなで山に杉を焼
き討ちにしにいくんじゃないかと(笑)。
>そう言えば、こうなったのって戦後、杉ばっかり植え過ぎたからという話
を聞いた事ありますねー
>うーん、焼き討ちにすべきはやっぱ政府と官僚かー(笑)。しかし、例の
海苔不漁にしろ、日本のお役人は自然を舐め過ぎですね、シクシク
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