2000.6.20.発行 vol.38  [残された創造物の温もり 号]

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■『ノーベル平和賞を次に取る日本人はこいつだ!』朝日山
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「破天 一億の魂を掴んだ男」山際素男 南風社

終戦まもないころ、女教師を好きになった小学生がいた。それで先生を一日
中つけ回していた。最初は怒っていた先生もついに折れた。ブラウスがまぶ
しい初夏の夏、そんなに私が好きならと、先生は山の茂みに入っていき、切
り株に腰を下ろすと目をつぶった。どうしていいかわからない少年の手を先
生は自分の胸に持っていき、少年は……

毎月書くようになった早々、ネタが切れて朝日山はポルノ書評に手を染める
のか!!ちゃう、ちゃう、タイトルよく見ろっちゅうに(^_^;)
今ならストーカーが泣いて喜びそうな体験をしたこの元祖ストーカー少年は、
名を佐々井秀嶺(本名実)という。

今はインドで、以前ここで紹介したガンジーをクズ呼ばわりした男、アンベ
ードカルの運動を再興し、名実ともにインド仏教界のトップに立つ日本人僧
侶アーリヤ・ナーガルジュナ(聖・竜樹)は、昔こんな少年だったのです
(笑)。

以前、紹介したアンベードカル関連本を読んで下さった方は、隅っこの方に
アンベードカル亡きあと停滞に陥っていた新仏教運動の中で、気を吐いてい
る日本人僧侶がいると書いてあったのを思い出して下さい。そう、彼の一代
記が出たのです。

佐々井師は鳥取との県境近くの岡山、横溝正史や岩井志麻子など、不気味系
作家が好んで取り上げる地域の産。おきゃーま人はせっかちやけ、ドライブ
マナーは悪いんじゃが、そんな不気味なやつらけぇ?と思ったりもするが、
ま、そういう地域だ(。_+)\BAKI

佐々井少年は根っからのスケベであった。幼少の頃はそれをなんとも思って
はいなかったが、成長するにつれ自分のスケベが尋常ではないと気がつく。
そして自分が並外れたスケベの家系に連なっていることを知ってショックを
受けた。

まもなく大病にかかり病弱な子になってしまった佐々井少年は、なんとかこ
の状態から脱出しようと東京に行き、思うところあって帰郷して事業を成功
させるのだが、初恋の人に気を取られすぎて事業が傾いた。女にだらしない
男に生きる資格はない。そう思って自殺しようとあっちこっちをうろつくが、
邪魔がはいったりしてなかなかできない。

仏門にはいろう思って有名な寺に行けば「大学を出ているのか」などと聞か
れて体よく追い払われる。追い払った連中のいるところから聞こえるラジオ
は流行歌を流している。悔しい。また自殺しようと考えてふと頭に浮かんだ
のは「大菩薩峠」。主人公の机竜之助を気取って大菩薩峠で身投げをしよう
とするが、死ぬ気になったら何でもできると思い直して山を下りる途中、体
力を使い果たして気絶した。担ぎ込まれたのが真言宗大善寺。それが彼の人
生に最初に影響を与えることになった、住職井上秀佑との出会いとなった。

自分の生きる道を探し、その後もあっちへふらふら、こっちでふらふらと佐
々井師は彷徨う。どこでも修業に賭ける情熱は認められるが、熱心すぎては
み出してしまう。そのくせ無銭飲食で怒られたり、浪曲や易者で評判をとっ
たりする(笑)佐々井師を得度し、彼が最高の師匠と仰いでいた高尾山薬王院
貫首、山本秀順は、そんな佐々井師の資質を見抜き、高尾山史上最初の海外
留学生として彼をタイに送りだした。

ところがタイでまた佐々井師は失敗する。原因はやっぱり女(^_^;)これでは
日本に帰れないと半ばやけになりながら帰国前にインドに行ってみる。イン
ドにある日本寺で懸命に頑張るが、日本寺との確執もまた深まっていった。
明日帰国しようとする晩、金縛りにあって奇跡が起こった。突如何やら仙人
風のジジイが出てきて、我は竜樹なり、おまえは南天竜宮城に行けという。
竜樹大師は知っているが、南天竜宮城なんてどこにあるねん?

朝、当地の先輩八木に聞くと、竜はナーガ、宮城はプール、どうもそれはナ
クプールのことではないか……仏教徒の多い地域だと知らされる。竜樹のい
うことを聞いてみようとナグプールに行った佐々井師は、竜樹だと名乗った
あの男の写真が釈迦像と並んで張られているのを見て驚いた。

この男こそインド憲法を編纂した不可触民の開放者にして我々仏教徒の大指
導者アンベードカル博士だという。佐々井師は思った。あなたはなんで竜樹
と名乗ったんだ?アンベードカルと言ってくれれば話がわかりやすくなるの
に……この期に及んで、まだこんなことを言う男なのである(^_^;)

この時が、佐々井師がアンベードカルを知った最初なんだそうな。お釈迦様
のおぼしめしか、ナグプールはアンベードカルが数十万人の支持者と共に仏
教に改宗した歴史的な場所だと知ったのも後のこと……これより佐々井秀嶺
師の大活躍の幕が開く。

佐々井師は高潔な行動で信徒を増やし、次第にアンベードカルの後継者とし
て認知されていくが、そこはインドだ。ムチャクチャである。テロ集団ヒン
ズー過激派の脅威にさらされ、インド仏教界の主流派、さらに駐印日本仏教
教団からも迫害される。仏教徒の成長を快く思わないブラーミンを中心とし
た政府関係者も圧倒的な多数を占めている。だからインドの諜報機関までも
彼の周囲をうろつく……要するに周りは敵だらけ。

それでも修業に精を出し、法要を営んでも金を取らず、苛烈な断食行やブラ
ッティの「エクソシスト」に似た化け物退治……ホントか(^_^;)?……など
しているうちに評判も高まっていく。彼の支持者は幅広い。政治家、藩王の
ようなエリートから元盗賊団首領、何十人殺したか覚えていない元殺人鬼ま
でが彼を師と仰ぎ、彼を守る。ついていく。

彼が再三申請していた国籍取得を阻む政府の反佐々井勢力。佐々井に居座ら
れるとまずいということで、国外追放を画策し、反佐々井勢力はピザ切れ不
法滞在容疑で彼の逮捕に踏み切る。その日のうちに裁判所に連れていかれる
と、路上の爺さんが騒いであっという間に数十人の弁護士がやってくる。

弁護士たちは担当裁判官の部屋に殴り込み、不当逮捕だ、釈放しないとてめ
ぇ免責裁判にかけてクビにしてやると脅かして釈放を勝ち取る。敵のやり方
もムチャだが、こっちだって人のことは言えない(^_^;)。こんな事件はほん
の一例。佐々井師も州首相(県知事)の胸ぐらは掴むは、運輸大臣に鉄道無
理やり作らせるわと、呆れてものが言えない事件がてんこもり。


仏教というと、我々日本人は一般にキリスト教やイスラム教などと違って穏
やかな性格の宗教だと思っているが、インドは違う。闘わなければ法律も警
察も守ってくれないどころか、積極的に攻撃すらしてくる。平和惚けが過ぎ
て、国旗掲揚、国歌斉唱に反対なんて非常識発言をして悦に入る、反戦論者
がはびこる日本とは違うのだ。

日本以外のいったいどこに、てめえの国の国旗や国歌を侮蔑する奴等が威張
っている国があるというのか。おまえらみたいなのは普通ぶん殴られるのが、
「国際常識」というものだぜ。子供や親と同じで、優秀だろうがクズだろう
が、捨てられず、守らなければならないのが国家だ。違うか?

最後は佐々井師がここ十年近く取り組んできたブッタガヤ大菩薩寺奪還闘争。
ブッタガヤの大菩薩寺とは仏陀成道(悟りを開いた)の地で、アショーカ王
が建てたとされる。十九世紀になってから、カニンガムが発掘、修復したが、
二十世紀初頭にはヒンズー教徒が支配し、仏教徒への返還を拒否してきた。

大菩薩寺内部では貴重な仏教遺産を侮蔑しているとしか思えない方法で使い、
世界の仏教徒からの寄進もヒンズー教徒の理事長が着服、てめえの会社の事
業資金やヒンズー過激派の活動資金に回している。仏教徒はいつまで聖地を
汚され、自分たちを目の敵にする連中へ資金提供を続ける屈辱に耐えなけれ
ばならないのか。

仏教徒の聖地を、仏教徒の管理に戻さなければならない。インド仏教徒の全
精力を傾けた闘争は、まだ終わってはいない。アンベードカルが育てた仏教
徒はインドで五百万人程度、それが今は五千万人から一億五千万人程度にな
っているという。まさしく一億人の魂を掴んだインド新仏教中興の祖、佐々
井秀嶺師の闘いはこれからクライマックスを迎えようとしている。

彼の実績はすでにマザーテレサを凌駕したと言ってもいいだろう。インドの
新仏教運動は、そのまんまカースト制度撤廃運動である。三千年の長きにわ
たってインドを支配したカースト制度が今まさにほころびを見せ始めている。
そのきっかけを作った男。それが佐々井秀嶺だ。ノーベル平和賞の候補に佐
々井師がなったとは聞かないが、これだけの仕事をやって候補にもなってい
なければノーベル賞委員会の見識が問われるはずだ。

加えて、これほどの仕事をした日本人がインドにいるというのに、なんでこ
うも彼の知名度はないのだろう。日本の書評家たちの目は節穴ではない。こ
の本が出たとき、かなりの方が紹介文を書いている。にもかかわらずこの販
売実績はなんだ?本屋の目が節穴なのか?日本国民がクズだからなのか?

欠点の指摘もしておこう。はっきり言って編集が不足している。冒頭、佐々
井師の生まれた新見市の鳥取との県境から鳥取側に下りるとき、「八つ墓村」
のモデルになった村を通ったとあるが、「八つ墓村」のモデルになったのは
津山市近辺の某地であったはずで、地図を見たらこの記述が変だとわかる。

「不可触民」と書かねばならないところを「仏教徒」と書いていたり、新し
い言葉を登場させて、その説明がだいぶ後にあったり、これほどの男の写真
が載っていないとか、細かい粗がけっこうある。が、これから買う方、ご安
心めされ。初版の読者が版元に要望を出して、2刷目からは佐々井師の写真
が入ったそうだ。文章に手が入ったかどうかは知らないけど……

この前ノーベル賞を取った白川センセも日本のマスコミからノーマークだっ
た。佐々井秀嶺師も今のところノーマークだ。今のうちにこの本読んでおい
て、ノーベル平和賞を取る日本人としてみんなに言いふらしておきましょう。

そうすると、数年後には「あいつはノーベル賞受賞者を当てよった!」と言
われて、あなたの見識が認められることになること請け合い\(^o^)/
くれぐれも、今のうち……さあ急げ!
『破天』2800円
http://www.gozans.com/bk/?b=4931062199&s=shohyo 
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(朝日山 百姓 36歳 年間読書量50冊 好きなジャンル 特になし)
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■「O線について語ろう」小林圭司
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『気になる部分』岸本佐知子 白水社 1500円
『回送電車』堀江敏幸 中央公論新社 1900円

山手線を中心に放射状に広がる、東京の通勤電車。
首都圏に勤めるサラリーマンの平均通勤時間は約70分だそうだ。
家から駅、駅から会社までにかかる時間を除いても、往復で2時間弱の電車
の中で過ごす時間は、生活の中で大きな部分を占めることになる。
どんな電車を利用するかということは、その人のライフスタイルだけじゃな
く、人格形成にも大きな影響を与えているに違いない。

私自身は、花月園競輪・川崎競馬・平和島競艇を経由して品川へ向かう、場
末のギャンブル電車K線で、サラリーマン生活をスタートさせた。
その後、「金妻」がなつかしい、ハイブラウさが鼻につく渋谷起点のT急D線
沿線に移り、今年になってさらに、O線郊外へ引っ越したのだった。
O線というのは、新宿と郊外のベッドタウンを結ぶだけでは飽きたらず、神
奈川県西部の温泉地まで伸びる長い長い私鉄電車である。
この電車の特徴は、一般的にこう言われている。

「混む」

たった一言だ。
これではあんまりなので、O線歴の長い名翻訳家で名エッセイストの岸本佐
知子氏の文章から、ちょっと引用させてもらおう。

高校の頃、ユダヤ人がアウシュビッツに輸送されたときの貨物列車の惨状と
いうのを何かで読んだときに、「これはO線よりもひどい」と思ったのを覚
えているが、そういう比較がごく自然に成り立ってしまうくらいに混む。メ
ガメは割れ、服は裂け、カバンの把手はちぎれ、握り飯は圧縮されておはぎ
と化す。「キテレツさん達」より(『気になる部分』所収)

これを読んだのはO線に引っ越す前だったので、T急D線のひどい混雑に耐
えていたにもかかわらず、「これはD線よりもひどい」と思ったのを覚えて
いる。
岸本氏は、この極限状態に日々さらされ続けることによって、行動に影響が
出てしまった人々のことを、愛情こめて「キテレツさん」(藤子不二雄のマ
ンガみたいだが発明はしてくれない)と呼んでいる。
片手に握ったオニヤンマに話しかける老女。
終点まで『わたしの青い鳥』(クッククックー)を歌い続けるエリート商社
マン風。
実直そのものに見えたサラリーマンがある日突然、真っ赤な口紅と青いアイ
シャドーを塗って乗ってくる。
O線の過酷さは人間をここまで変えてしまうのかと思うと恐ろしくなった。

しかし、岸本氏はこの状況に手をこまねいているだけではなく、どのように
対処すべきかレクチャーしてくださっているからありがたい。
同書所収「都市の兵法−電車編」には、第1に乗車時における的確なポジ
ショニング、第2に電車の揺れの際の靴のディフェンス、第3にマーキング
すべき敵についての解説がある。
特に重要なのが3番目で、代表的な敵4タイプ〜不必要にぐいぐい押してく
る敵・酔っぱらい・痴漢・背中の熱い人(!)〜は常に頭に入れておいて、
快適な通勤を心がけなければならない。
この『気になる部分』という本は、O線利用者は必携だがそれ以外の方でも
応用が利くだろうし、他に収められているエッセイもどれも最高におもしろ
いのでおすすめだ。

ところで、通勤というのは上り電車、すなわち郊外から都心へ向かう電車に
乗るとは、かならずしも限らない。
名文章家にして名フランス語教師でもある堀江敏幸氏は、東京23区内から
川崎市郊外の大学への通勤にO線を利用している。
下り電車で通勤する、いわば通勤電車のマイノリティーだ。
この少数者たちは、ぎゅうぎゅうに詰め込まれた上り電車多数者の羨望を受
けながら、相当に空いた電車で通勤することができる。
当然、O線についての視点も変わってくるだろう。
堀江氏が注目するのは「回送電車」だ。

新宿を起点とするこの私鉄沿線にはいまだ多くの踏切が残されていて、ラッ
シュ時などのぼりくだりが同時に何本も重なって遮断機が下りっぱなしにな
り、通行人はいつまでたっても鳴りやまない電気の警鐘をを堪え忍ばなけれ
ばならない・・・(中略)・・・線路の両側で身動きがとれなくなっている
私をふくめた数百の人間の神経をさかなでするのは、時々、こちらをあざ笑
うかのようにひときわゆっくりと滑っていく乗客のない車両、すなわち回送
電車である。「回送電車主義宣言」より(『回送電車』所収)

混雑以外にも、ラッシュ時にこんな問題をかかえていたのか、O線は。
しかし、そんな腹立たしいはずの存在である回送電車に対し、堀江氏は憧憬
を、さらには同胞意識に似た感情を抱く。
回送電車のダイヤを調べよようとするがわらかず、特急でも準急でも各駅で
もない幻の電車に、評論とも小説ともエッセイとも異なる、自分の散文の位
置づけを重ね合わせ、愛着すら覚えるようになるのだ。
さらには散文集のタイトルにしてしまうのだから、もはやその愛情たるや並
大抵ではない。
堀江氏の端正でありながらそこはかとなく可笑しい散文が集められた本書
も、O線利用者だけでなく、広く読んでいただきたいものだ。

『気になる部分』岸本佐知子 白水社 1500円
http://www.gozans.com/bk/?b=4560049335&s=shohyo 
『回送電車』堀江敏幸 中央公論新社 1900円
http://www.gozans.com/bk/?b=4120031454&s=shohyo 
(↑こちらからお買い上げ頂けます)
<小林圭司 出版社営業部員 32歳 年間読書量50冊(トホホ...) 好き
なジャンル 翻訳小説・サッカー>
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■『「猪谷六合雄(いがやくにお)スタイル−生きる力、つくる力」』
畠中理恵子
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『猪谷六合雄スタイル−生きる力、つくる力』
INAXギャラリー企画委員会 企画
建築・都市ワークショップ+石黒知子 編集

205×210mm・72頁・2001年6月10日刊
本体1500円+税
ISBN4−87275−816−1
INAX出版刊

 INAXギャラリーでも展覧会が予定されている、
「猪谷六合雄」という
ひとりの
不思議な人生のスタイルをもった男の足跡を
彼が残した、山小屋や車(キャンピングカー)、スキー、写真、編物などか
ら追った一冊。
そこには、独特の人生への哲学があり
自分に何が必要か
何が不必要かを徹底的に考え、選んだ
ダンディズムが在る。

 猪谷六合雄は、コルチナ・ダンべッツォ・オリンピック・メダリスト・ス
キーヤー、日本人初の銀メダリスト、猪谷千春の父。
1890年に赤城山山頂で猪谷旅館を経営する両親のもとに生まれる。
猪谷旅館には、白樺派グループや芥川龍之介、画家九里四郎など
多くの文人や画家が逗留した。
その影響もあり猪谷は
絵を描き始め、また、自分の部屋を設計、「四分の一坪の小屋」を建てた。
その後、志賀直哉夫妻へ夏の小屋も建てる。
旅館宿泊客のスキー姿を見、初めてスキーに出会い、
栗の木でスキー板を、針金とトタン板でハッケンを作り
スキーを始める。
戦争を経て今度は写真に興味を持つ。
スキーなどを「記録」する手段として。
日本に3台しかないといわれたライカをつかい
インドやチベットの写真で知られる長谷川伝次郎から指南される。
スキーのために組み立て小屋を建てや、靴下を編み始める。
赤城山に都合六台つくったジャンプ台。
いつもスキーのために、新しい何かを作ることに憑かれていた。
そして、息子、千春が生まれると、
息子をすばらしいスキーヤー、オリンピック・メダリストにするために
雪を求めてあちこちにスキー練習用の小屋を建築。
一家で引っ越しながらスキーの英才教育に力を注ぐ。
小屋生活充実のためこしらえたものは、
猪谷式ストーブ、三本脚テーブルetc…。
スキー練習用の器具。
移動に移動を重ねる生活の中、車に住むことを思いつく。
キャンピングカー製作開始だ。
コンパクトな生活空間は猪谷の暮しにピッタリ合い
73歳にして「トラベルカー1号」(いすず・エルフ)完成。
以後「ハウスカー2号」「ハウスカー3号」(共にフォルクスワーゲン・デ
リバリーバン)、
90歳で「ハウスカー4号」(トヨタ・コースター)をつくる。
1986年、96歳で逝くまで
何と天晴れなライフスタイルを貫いたか。

 本書は、彼の製作した小屋を中心に
子息千春氏のインタビュー、
スキー用具のフェニックス会長田島一男氏
日本スキー界の草分け、三浦敬三氏
日本職業スキー教師協会会長、杉山進氏ら
の話と共に紹介する。
猪谷は「既成概念にこだわらず」「したいことを正直にし」
「あらゆる苦労を全てたのしもう」とした、という。
まさに自由人。
だから彼の生き方に憧れ、集まってくる若い人が多くいた。
「山小屋の朝二題」という猪谷の文章は
自然への愛着が、素直に感じられ
清清しい寒い朝の、朝焼けの美しさが
しみじみと伝わってくる暖かいものだ。
細かく記録された日記、写真
残された創造物の温もり。
ミニマムなスタイルと現在と未来に注がれた好奇心。
彼の率直な生き方に惹かれる。
猪谷カタログというような、
INAXのいつもながらきれいな造本も
いい。
(こちらはゴザンス経由では手配できないようです、ごめんなさい)
<畠中理恵子 書肆アクセス店長 神保町の看板娘、じゃなくて看板奥様> 
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■あとがき
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>あのー、アリを退治する薬があるじゃないですか
>はあはあ
>隣の家で飼っているアリが、もしそれで死んじゃったら法律にひっかかっ
てニュースとかで流されちゃうんですかね??「こんな残忍を許せるか!? 
恐怖のアリ虐待男」とかいって(笑)
>でも、動物愛護法でしたっけ、あれってあくまで動物だけで、昆虫関係な
いんじゃないんですか??
>ううん、そ、そういえば、そうですね・・でも、生き物の命に人が勝手に
高低つけるなんてありなのかなー?
>まあ、今まで保健所で野良犬や野良猫殺しまくって来たのをまるでなかっ
たかのように、動物虐待とか騒ぐご時世ですからね・・それくらいで騒いで
もねえ。きっと「生類憐れみの令」みたいなものなんでしょう(笑)
>うう、納得いかないけど、今日は超高級おフランス料理の鳩の丸焼きでも
食べに行こうっと(笑)
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