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2002.1.31.発行 vol.60 [ 当然くせ者揃い 号]
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■■ [書評]のメルマガ 2002.1.31.発行
■■ vol.60
■■ mailmagazine of book reviews [当然くせ者揃い 号]
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■トピックス
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■石飛さんとミラクル福田さん、お休みです。
お二人とも仕事が立て込んでいて、休載となりました。ファンの方、ごめん
なさい。今回、そのかわりに謎の執筆者、阿呆怪奈さんによる書評をお届け
します。
■宮台センセイの講義録
宮台センセイのHPに、社会システム理論の講義がアップされています。ル
ーマンの『社会システム理論』は難解をもって鳴る本ですが、こちらはかな
り噛み砕いてその要旨説明していて、お薦めです(ただし、まだ途中)。興
味ある方は、ぜひどうぞ。
http://www.miyadai.com/index.html
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■紀伊国屋書店と「薔薇族」の共通点/阿呆怪奈
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『編集長「秘話」』 伊藤文学 文春ネスコ
読んでいて迫力のある雑誌は、たいてい中身が「濃い」。今は亡きパソコン
雑誌「PCWAVE」なんかが代表例だと思うが、世の中に全く媚びずに独自路線
をいく。たとえば95年秋、どいつもこいつもWindows95の特集を組んでいた時
期に、Windows95に全く触れず、そろそろPCIバスはマトモに動くのか?とか、
パーソナルGPSなんかの特集なんてことをやる。
書いているライターたちも、当然くせ者揃い。アストロビスタ、ゼロ・ハリ、
波多利朗など、みんなここの出身だ。読者投稿欄も負けていない。読者欄に
投稿が載ったらもらえる、廃人シール欲しさに投稿者は燃えた。何せ廃人シ
ールをパソコンやバックに貼っていたら、パソコンを知っている人ほど注目
してくれたからね。
だから突如廃刊になったときのパソコン雑誌業界の衝撃は、MACLIFEと同じく
かなりのものだった。ワードやエクセルがバージョンアップしたらすぐ特集
を組むとか、フリーウエアや体験版ソフトをかき集めるだけの雑誌がいくら
死のうが誰も残念に思わない。しかし一つの時代を引っ張ってきた名門誌は、
競合他誌までその死を悼む。
で、この本は、ゲイ雑誌のパイオニア「薔薇族」編集長の30年間を描いた
エッセイだ。本は丁寧なつくりで読む前は「秘話」なのに上品すぎないかと
思ったが、その理由は読みすすめてみるとわかる。ただ単に上品に作ったわ
けではないのだ。内容もこの男にしか書けない迫力に、すぐ引き込まれてい
く。
初代にして現在も編集長である伊藤文学は、もともと版元の息子に生まれた。
親父は息子の名前に「文学」とつけるほど文学好きだったが、商売のセンス
はゼロ。ついでに女も大好き(笑)
出版業界のドン、紀伊国屋書店の松原閣下(copyright佐野眞一)が仕えた
社長も、最近AERAに載っていた記事によると伊藤氏の父と同じような人
だったらしい。上がアホだと、下は優秀になるみたい……だから子どもを優
秀に育てるために自分はアホでいいと言い訳し……あーー嘘ですってば、奥
さま、許して!(。_゜)\BAKI
そんな状態に危機感を持った息子がなんとか経営を良くしようと手を出した
のがエロ本。なぜなら、伊藤氏は「編集者的にも経営者的にもこれほど読者
の反響を実感できる手法を知らない」からだ。
で、エロ本を出しているうちに読者のたよりがたくさん来る。そのなかで、
数は少ないながらもゲイ(当時はホモと言った)とおぼしき読者のたよりが
あり、伊藤氏はここにビジネスチャンスを見た。
このあたりの経営判断はドラッカーの「イノベーションと企業家精神」だっ
たか、「マネジメントフロンティア」だったかに、ほとんどそっくりの事例
が載っている。伊藤氏はドラッカーが本に書く20年前に同じ境地に達して
いたわけだ。
ゲイ雑誌を創刊すると宣言すると、そんな雑誌を待っていたとばかりに集ま
る「濃い」人たち。雑誌経験が全くない、しかもゲイの世界を知らない伊藤
氏の手足になって活躍してくれた人たちが「薔薇族」を作っていく。その多
くは、どこの誰かもわからない人たち。ゲイであることをこれまでひた隠し
にして生きてきた人たちだった。
異性に興奮せず、同性に興奮する自分を発見した時、人は誰かに相談するこ
とができない。雑誌など情報源もなく、一人で悩むしかなかった。そんな自
分たちに光を当ててくれる雑誌が現れた。これで読者が反応してこないわけ
がない。
読者から手紙もたくさん来るが、電話もかかってくる。それも非常識な時間
にかかってくるのもけっこうある。なぜなら読者は周囲に自分の同性愛を隠
しているからだ。もし誰かに聞かれたら……そんな恐怖感があるので、まと
もな時間に電話をかけてこれない人が多い。だから伊藤氏はホントの二十四
時間体制で雑誌を作っていた。
読者の文通を取り持つのも楽ではない。同性愛が人にばれることを極度に恐
れる人たちが相手だから、彼は読者の住所氏名などのデータが絶対外部に漏
れないようすべて家族内で管理したという。うーむ、セキュリティのパイオ
ニアでもあったんだね、この人は……
伊藤氏は読者の集える場所を作ったり、読者旅行を企画したりと、どんどん
やって来る読者の反応に懸命に応えた。そしてかなりの成果もあげた。とは
言え、何もかも順風満帆にいったわけではない。猥褻物なんとやらで警察に
は何度も呼び出される。孤独に苦しんでいる読者のために交流会を開くと、
感謝もされるがひどい目に遭う人も出てくる。ゲイがゲイを食い物にするの
だ。
ゲイ間の意見の相違もある。未成年にしか魅力を感じない奴がいるからゲイ
全体が犯罪者みたいに思われる。いや、違う。少年愛者の、かなえられない
夢を追うくらい許してくれ……などなど、彼らの心情と社会との取り結びは
どうしたらいいのか、伊藤氏ならずとも読んでいて頭が痛くなる。
苦労の絶えない伊藤氏だが、最近はネットがかつて「薔薇族」が一手に引き
受けてきた活動を肩代わりするようになってきた。また今はゲイを相手にす
るビジネスが成長している。今のゲイは「薔薇族」創刊当時よりはるかに自
由になっているらしい。クィア・ジャパンが出てくる背景は、こんなところ
にあるのかと納得。
伊藤氏が当初考えていた「世間の偏見を少しでもなくし、堂々とゲイが生き
ていける社会」を目指すことは一応の成果を出したと言えるだろう。経営的
には最盛期を過ぎたというが「薔薇族」はそう簡単に倒産はしそうにない。
が、親から厳命されたという「人を雇うな」の精神で個人企業のままやって
きた伊藤氏に代わる人材がいるのかどうか……
紀伊国屋が全盛期をこれから迎えるのか、もう迎えたのかはよくわからない
が、少なくとも閣下ご存命のうちはまず潰れまい。しかし、優秀な人が多い
とは聞くが、後が気掛かりだね。こっちも……
社長の最大の仕事は次の社長を決めることだなんて、冗談とも本気ともつか
ない言葉がある。最近戦後経済史を彩ってきた大物経営者が晩節を汚すこと
が少なくないが、伊藤氏も松原閣下も後顧に憂いはないのか、気になる。
http://www.gozans.com/bk/?b=4890361456&s=shohyo
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<阿呆怪奈 スケベ本評論家 女性店員がいるとエロ本を買えなくなる小心
者の1024歳>
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■佐高信氏とは、何物なのか?/守屋淳
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『本によって人を読む』佐高信 現代教養文庫 544円
佐高信氏ってちょっと謎の人物かもしれません。経済学者や企業経営者、有
名なコンサルタントというわけでもないのに、なぜこれだけ経済や企業に関
する著作があるのか……、一体どういうバックボーンを持つ人なのか?
佐高氏が注目を浴びたのは、今から約十五年ほど前です。
氏は、非常に歯切れの言い口調でバブル批判をして注目を浴び、またたくま
に人気の書き手になっていきました。その頃は、なにせバブル景気の最盛期
の頃であり、バブルはダメだという発言は喝采と共に袋叩きにあったりもし
ていました。
今では信じられませんが、「このバブル好景気さまに逆らうとは何事だ」と
いう論調が当時は主流でもあったのです。バブル崩壊後に出版され、ベスト
セラーにもなった宮崎義一さんの『複合不況』(中公新書)でさえ、当初は
経済学者などから袋叩きにあったりもしていました。九十年初頭の不景気は、
そんな深刻なものじゃないという……。下手に先が読めるということは、凡
人たちの反感を買いやすいという典型例かもしれません。しかも、その凡人
たちが手のひら返しの発言をしていつまでも生き延びていくという……
閑話休題。
佐高氏のバックボーンを知るのにうってつけの一冊がこの『本によって人を
読む』です。本書は、企業の有名な経営者たちが、どのような本を読み、ど
のように糧にしていったかが綴られた好著です。
佐高氏は、経済誌の記者をなりわいにしながら、著述家としての基盤を築い
ていきました。その際、企業やその経営者を計る物差しにした一つが、中国
の古典だったようです。
もともと、日本の企業風土には中国古典の素養が脈々と流れ続けています。
日本の資本主義の父、渋沢栄一は「右手にソロバン、左手に論語」と語り
(あれ、逆だったかな)、自ら論語に関する大冊をあらわしています。
さらに、戦前から戦後の佐藤栄作くらいまで、政財界の黒幕として君臨した
のが中国古典の泰斗、安岡正篤(やすおかまさひろ)氏。終戦の詔勅にアカ
を入れ、大横綱・双葉山が師事し、三島由紀夫も安岡氏に傾倒したすえに、
自死の直前、氏あてに長大な手紙を書き残したのは有名な話です。
日本の政治家・企業人にはこのような中国古典の師がつねに控えていたので
す。
中国古典は、人間関係や社会的モラル、あるべきリーダーの姿について綿々
と研究し続けてきたという一面があります。それは、明治以降の日本の発展
という経緯を見る限りプラスとマイナスの両面があるのですが、佐高氏はそ
のなかで現代でも通用する部分を尺度とし、企業や経営者を果断に切ってい
くという趣があります(佐高氏は、外にも丸山真男氏や久野収氏などの影響
も受けているようですが)。
さらに、佐高氏の魅力は、その清々しさにあるかもしれません。
佐高氏には、師とも言えるジャーナリストの伊藤肇(『現代の帝王学』PH
P文庫などが有名)という先輩がいたのですが、かつて佐高氏は著作を送ら
れて「同じネタの使いまわしが多くなってきたのではないか」と批判する手
紙を送ります。そして、その後にこう続けます。
《この手紙はいま、私自身を打つものとなっている。泉下の伊藤さんに嗤わ
れないためにも、これを自戒の言葉として忘れまい》
僕自身も、同じ著作家の末端に位置するものとして、こういう書き方は中々
できるものではないと感じます。やはり、自己弁護をついしたくなるのが心
情だからです。この一点をもってしても、佐高氏の器量の大きさがうかがい
しれます。
中国古典には「松や柏(ただし日本のとは違う常緑樹)は、冬になってその
真価をあらわす」という言葉があります。今のような冬の時代にこそ、佐高
氏の著作はより精彩を放っています。冬でも枯れずにいたい方、ぜひどうぞ。
http://www.gozans.com/bk/?b=4390114816&s=shohyo
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(守屋淳 35歳 ご隠居 年間読書量100冊《仕事で他にも少々》 好き
なジャンル 古典)
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■あとがき
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>報道によると、自民党の鈴木宗男氏大暴れですねー
>はあはあ
>しかし、ちょっと思ったんですが、鈴木氏も中心にいる改革への抵抗勢力
って、小泉首相は批判をちゃんと聞かないからファシズムだ、みたいなこと
結構言っていたじゃないですか。
>ああ、そういえばそうですねー。
>でも、そのご本人が、外務省を批判したNGOを封殺しようとしていたわ
けでしょ。そりゃ、小泉首相に対する批判と同じことを自分がやってたって
ことじゃないですか。度量の欠片もないうえに、人をファシスト呼ばわりす
るご本人が最大のファシストだった(笑)
>呼びつけて、お前には金やらーんとか怒鳴ったとかいう話ですもんね。
>でも、こういうキャラクターって結構いますよね。自分の欠点で逆に、人
を平気で批判しようとする人……
>うーん、まあ町内会の感じくらいなら許せますが、国会にいるというもの
悲しい話ですね……
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