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2002.4.20.発行 vol.68 [ただの球蹴り遊びではない 号]
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■■ [書評]のメルマガ 2002.4.20.発行
■■ vol.67
■■ mailmagazine of book reviews [ただの球蹴り遊びではない 号]
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■トピックス
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■みすず書房、HPに書店向け受注窓口を設けてます
午後3時までの受注分は、なんと翌営業日に取り次ぎ搬入で、品切れなども
メールで教えてくれるそうです。手の空いた時間にちょこちょこっと注文で
きるので、書店さんは便利につかえそうです。
■畠中さん、お休みです
今回、またもや畠中さんがお休みです。ファンの方申し訳ありません。次回、
請うご期待です。
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■サッカーのことならクーパー先生に聞け!/小林圭司
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ワールドカップを目前にして、書店店頭のサッカー本コーナーも俄然盛り上が
りを見せている。
でも、その中の何が売れているのだろう。
出版社の営業マンとしては(それもサッカー本コーナーの末席を汚す者とし
ては)、大変気になるところだ。
便乗を目的とした粗製濫造本を悪く言うつもりはない。
拝金主義の総本山であるFIFAに比べれば、出版社の得る利益など取るに足
らないものではないか…なんて自己正当化しようとしてはいかんよな。
しかし、いくらたくさん並んでいても、Jリーグの観客動員が伸び悩んでいる
=実際に生のサッカーを観る人が増えていないにもかかわらず、活字で読む
サッカーファンが増えているとは思えないのだ。
こんなにメディアが煽っている現在ですらこれだ、ワールドカップが終わって
しまった7月にはどうなってしまっているだろう。
ましてや、口にするのも恐ろしいような仮定が現実化してしまったら〜われら
が代表チームが、期待されていたほどの成績を残すことができなかったら〜い
や、こんなことは考えるのはよそう。
話を書店店頭に戻して、普段はサッカー本なんて読まない読者が、溢れかえっ
ているサッカー本の中からとりあえず何を選べば、「ああこんなくだらない本
買うんじゃなかった。サッカーなんて馬鹿馬鹿しい」と思わずにすむのか、ひ
とつアドバイスを。
というのも、今回取り上げさせていただく本が、中身のすばらしさに比べる
と、外見がえらく地味なのだ。
タイトルは、『ワールドカップ・メランコリー』という。
著者は、英国人サッカージャーナリストで、昨年白水社から翻訳が出た『サッ
カーの敵』で広く日本のファンにも知られるようになったサイモン・クーパー
だ。
表紙には90年イタリア大会時のマラドーナがあしらわれている。
ところがこの装丁が、とても今年の3月に出た本とは思えない、全く購買意欲
をそそらないデザインなのだ。
この時代の遡り方は、10年どころか30年はいってしまっている。
だから、サイモン・クーパーを知らない読者は、うっかりスルーしてしまうと
思う。
まあ、逆に目立っていると言えなくもないが。
で、まずはだまされたと思って手にとって、最初の章だけでも立ち読みしてみ
てほしい。
この章はこの本のための書き下ろしで、クーパーが日本について書いたもの
だ。
ここでは、日本がまだ世界のサッカーの中で新興国に過ぎないことと、オラン
ダで活躍する小野伸二のことと、日本人の歴史認識が浅いことについて書かれ
ている。
そのどれもが、クーパーらしい視点なのだ。
『サッカーの敵』を読んだ人なら、サッカーのことを書きながら文化的・政治
的な鋭い論考をカットインさせるクーパーのスタイルに、改めて感嘆するだろ
う。
有名ライターが有名選手を書いたような本しか読んだことのない人なら、その
切れ味に驚愕するだろう。
そして今回も、クーパーは世界中を駆け回る。
西ヨーロッパから始まる旅は、東欧、アフリカ、南米、さらには映画監督のア
ンソニー・ミンゲラ(「イングリッシュ・ペイシェント」の監督、川口能活が
在籍するポーツマスのファン)、そして98年フランスと巡る。
最後はクーパー自身が深い思い入れを持つオランダについて書かれているが、
これなども僕自身がそれまでにオランダについて抱いていたポジティヴなイ
メージがすべて正しいわけではなかったこと、オランダ人が善いとするサッ
カーは、どうも根源的に欠陥を内包しているらしいことを教えてくれている。
この本は元々原書が存在するわけではなく、クーパーが「フィナンシャル・タ
イムズ」や「オブザーバー」に書いた記事を、日本で独自にまとめたものだ。
訳者と出版社の仕事ぶりは、敬意を表するに値する。
コアなファンは当然買うべきだし、サッカーというのはただの球蹴り遊びでは
ないらしいとお気づきの方にも強くお奨めしたい。
4月10日号の「ニューズウィーク」には、クーパーによる日本対ポーランド
戦評が載った。
スポーツ紙やサッカー専門誌とは違う、これまた「らしい」レポートだった。
似たようなことを書いていたのはジェレミー・ウォーカーぐらいだろうか。
この人も英国人(日本に住んでいるが)で、どうも英国はサッカーの母国であ
るだけでなく、サッカーライティングの母国でもあるようだ。
『ワールドカップ・メランコリー』 サイモン・クーパー著/廣済堂出版刊/
本体1500円
http://www.gozans.com/bk/?b=4331508889&s=shohyo
(↑こちらからお買い上げ頂けます)
<小林圭司 出版社営業部員 33歳 年間読書量50冊 好きなジャンル
翻訳小説・サッカー>
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■敗者の物語を読んで笑え!/朝日山
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「マイクロソフト帝国の反逆者たち」マイケル・ドラモンド 徳間書店
当事者の立場にいると、外部の識者の意見が時としてお笑いに見えることがあ
る。最近棚田の保全が大切だと叫ばれ、都市住民のボランティアが田植えをや
ったりするニュースを見かけるが、棚田なんかなくしてしまえと百姓の私は思
う。
適地適作の原則から言えば、棚田は米を作るうえで明らかに適地ではない。米
が高価で、不適地で作っても採算が取れる時代に作られたのが棚田だ。今はそ
んな時代ではない。棚田なんか、果樹園にしたほうがよほどいいと。
パソコン業界は、たいへん注目度の高い業界だ。トヨタやエクソン、ローッキ
ード・マーチンの社長が替わっても、業界外の人にはたいして関心はない。だ
が、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブスは一挙一動がニュースになる。そん
な世界でも、こんな勘違いはけっこうあるようだ。
タイトルだけを見ると、この本、一見いわゆる反マクロソフトの英雄譚のよう
だが、サブタイトルが
「WindowsはガラクタOSだ!こんなもの、どうやって売り込めってい
うんだ」
とくるから、目が点になる\(^o^)/。
これはマイクロソフト社内で、周囲を敵に回しながらガラクタOSをクールな
OSに変えようとしたやつらの、アメリカ版「プロジェクトX」なのだ。
日本版「プロジェクトX」は、中島みゆきの剛毅なテーマソングと、抑制され
た語り口で無名の英雄を描く。黒澤明の「生きる」を彷彿とする人も多いと思
うが、静かな、しかし力強い感動が持ち味だ。
アメリカ版「プロジェクトX」の主人公たちは、周囲から「ビースティボーイ
ズ(野蛮な若造)」と蔑まれる悪者3人組。自分の出世のために、同僚や上司
を蹴落とすなんてあたりまえ。何度もクビになりかけるも、上がどうしてもク
ビに出来ない状況を作って社内に居座るとんでもねぇ連中だ。ここに中島みゆ
きは似合わない。浜田省吾の「マネー」が似合う。いつーかこの手でぇ〜掴む
ぜビックマネぇ〜♪だ。歌うのもハマショーより、ハマコーの方が合っている。
マイクロソフトは彼らをデベロッパーリレーションズグループに配属し、伝道
師の仕事につかせた。伝道師(エバンジェリスト)とは、外部のソフト開発者
に「うちのOSで動くソフト作りましょうよ、ねぇ」と勧誘する人のことで、
一般にはガイ・カワサキ率いたアップルのエバンジェリストグループが有名だ。
マイクロソフトは当時のクズOS、WIN3.0が予想外の爆発的な売れ行き
を見せ、それまで32ビットOSはIBMのOS/2、その後はNT(今のX
P)にしようと考えていたビル・ゲイツは、この時に自分の置かれたポジショ
ンがどんなものかを確信した。
WINDOWS95を大ヒットさせなければならない。そのためにマイクロソ
フトは全力を尽くすのだが、もとがガラクタだから開発は難航しスケジュール
は遅れまくる。特に次世代OSの核となるマルチメディア技術となると悲惨の
一語に尽きた。そのことを本当に知っていたのは、ビースティボーイズたちの
み。
仕事を仰せつかったものの、主人公の三人組は、いずれも優秀なプログラマー
だった。マイクロソフトのマルチメディア技術がタコだということは、自分た
ちが一番良く知っている。まともなソフト開発者が、こんなものに食いつくわ
けがない。それをなんとか騙してWINDOWS用ゲームの開発をさせよう。
騙しがばれないうちに本当にいいモノを作ってソフト開発者を喜ばせ、その実
績で俺たちはビッグになるんだぁぁぁ〜〜!
そう考えて作ったのが、今ではアクティブXと呼ばれるAPI(ソフトウエア
制作を簡単にする、あらかじめ作られた部品と考えて欲しい)だ。しかし、3
人組は思ったような評価を会社から得られない。なにせ会社には無断で作った
ものだし、他部門との連絡など一切やっていない。連絡したら最後、潰しにか
かられるのが目に見えているのだ。会社側が激怒して彼らをクビにしようとし
ても、既に外部のゲームプログラマーに発表してしまったものだからそれもで
きない。彼らは社内のライバルを出し抜き、まんまとアクティブXを出荷する
ことに成功した。
しかし、ふだんの行動が災いして「ビースティボーイズ」たちは会社から十分
な評価を得られなかった。コンピューターの世界はマルチメディアからインタ
ーネットに関心が移りつつあった。この流れに遅れたマイクロソフトは自社ブ
ラウザIEを無料化して対抗するが、もちろんこれでは金にならない。
ここで3Dに優れた凄いブラウザを作って金を取るようにすれば……今度こそ
大金持ちだ!かくて始まったプロジェクト・クローム。まず言い出しっぺのセ
ントジョンが、内敵の目をそらしプロジェクトを守るため、自分から進んでク
ビになった。オイオイ、大丈夫か(笑)
マイクロソフトは、独善的な行動と執拗なライバル潰しで周囲から恐れと嫌悪
を抱かせる存在だった。外部から見るとマイクロソフトは一丸となって敵を叩
き潰そうとしていたように見えた。しかし、実態はマイクロソフト社内もまた
謀略渦巻く小宇宙だったようだ。
WinG、アクティブX、オープンGLなど、マイクロソフトのかかわるマル
チメティア技術は、はた目には機を見るに敏なマイクロソフトが、その都度市
場に合った形でかかわってきたように見える。しかし内実は、お互いがライバ
ルを叩き潰すために策略を弄した結果、勝ったものが出てきただけのことらし
い。
社内敵の攻撃をいかに防ぐか。自分たちの野望の前に立ちふさがる連中を、い
かに罠にはめるか。敵の親分が休暇を取っているうちに、敵のプロジェクトを
奪い取るなど当たり前。そんな世界にいる連中すらも嫌悪するやつら、それが
ビースティボーイズだ。クライマックスはアメリカ司法省がマイクロソフト攻
撃を強め、幹部の証人喚問が行われていた時期に重なる。これがまた物語に独
特の爽快さを産む。
何より面白いのは、そんな魑魅魍魎が跋扈する世界の最も悪いやつらが、なん
ともユーモラスに描かれていること。謀略家は、畏怖されたり、毛嫌いされる
のが普通だと思うが、こいつらは肝心なところがちょっと抜けている。彼らは
謀略家の前にエンジニアであって、謀略家になり切れない。正統派のスパイ小
説を読んでいるのに、熾烈な謀略の世界を読んでいるのに、笑ってしまうと言
えば、この本の面白さをわかってもらえるだろうか。
敗者の物語は、ふつう同情的に描かれる。彼らには運だけがなかったとかとか、
時代の巡り合わせが悪かったとか……間違ってもこいつらはバカだったみたい
な描かれ方はしない。この物語の主人公たちは、大金持ちになれなかった点で
敗者だ。しかし、バカだから懲りないし、元気だ。この面の皮の厚さは見習う
必要があると思うな。
読んで元気になれる一冊だ。
http://www.gozans.com/bk/?b=4198614695&s=shohyo
(こちらからお買い上げ頂けます)↑
(朝日山 烏書房付属小判鮫 37歳 好きなジャンル 何だろ?)
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■あとがき
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>先日、東京国際ブックフェスティバルいってきました
>ああ、21日までやってる奴ですね
>中で売っているもので、ひとつお薦めの商品があるんです
>な、なんですか?
>平凡社さんのブースで売っている「ニッポンの犬」カレンダー! 季節はず
れということもあって、200円なんですよ。
>そりゃ、安いですねー
>岩合光昭さんの写真で、出てくる犬が凛々しくていいんです、これが
>ううむ、それをたくさん買ってお土産にして、知り合いに高かったんだよと
か言ってるんじゃないでしょうね・・
>うう、ば、ばれたか(笑)
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