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2002.8.20.発行 vol.81 [明日のカツカレー 号]
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■■ [書評]のメルマガ 2002.8.20.発行
■■ vol.81
■■ mailmagazine of book reviews [明日のカツカレー 号]
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■コンテンツ&簡単な連載執筆者のご紹介
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■今月より弊メルマガをご覧になっている読者の方が多いため、各連載にタ
イトルを新たにつけまして、編集部より、執筆者の方の簡単なご紹介を付し
ます。
★「どこでも読書」/オオウラウタコ
【著者紹介】今号よりの新連載! 都内某大型書店勤務。マスコミなどの露
出も多く、カリスマ書店員の一人ともいうべき存在の方です。
★題名検討中(スミマセン来月号までに決めます)/小林圭司
今回は《カレーの神様の声を聞く》。
【著者紹介】海外文学の紹介や辞書、語学教材で名高い白水社さんの辣腕営
業マンです。女性書店員にファン多数のニクイお方。また、年間に五十試合
も見に行くサッカー狂であり、月と水にはお子さんのお弁当作りを担当する
良きパパでもあります。
★「あなたはこの本をしっていますか?」/畠中理恵子
今回は《『猫の客』平出 隆》
【著者紹介】本の街神保町にある、書肆アクセス(一般に流通しにくい地方
小出版社の書籍や雑誌を扱う)の店長さん。最近、『神保町「書肆アクセス」
半畳日記』(畠中理恵子、黒田説子 無明舎出版 1600円)を共著で出
されて話題にもなっています。捨て猫を拾ってきてご自宅で世話をしている
ため、大忙しです。
★「ベストセラーに背を向ける」/朝日山
今回は、《日本人って、ホントは応用が下手なんじゃないだろうか?》
【著者紹介】元経営コンサルタントにして今は神戸で農業と牧畜を手がけて
います。最近出版された『農業に転職する 失敗しない体験的「実践マニュ
アル」』(プレジデント社 1500円+税)が、「もうこんな仕事イヤだー、
田舎帰って農業でもやってやるー」とストレス溜まりまくりのサラリーマン
に受けて好調に売れています。他に、『勝つ文章技術』(東京図書出版会
1160円)も出されています。
★読者の方よりの投稿
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■「どこでも読書」/オオウラウタコ
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「アバウト・ア・ボーイ」ニック・ホーンビィ(新潮文庫)のことなど。
お初です。店員とて人の子、いろんな本を相手にしておりますが、思い
余って憎さセンバン(ちょっと、違うか)ということも多々ございます。
そういったアレコレについて報告できたらと思っております。よろしくです。
ということで、タイミングよく七月末に出た「アバウト・ア・ボーイ」。前の
「ハイ・フィディリティ」にノックダウンされた私たち(臆面もなく複数形に
してますが、三人は確認したのでいいかと)にとって、お正月というか、
祭りというか、何にせよカレンダーに印をつけて待ってた今作。
スゲー楽しみにしてたんですが、前作と違って固有名詞に付随する空気
にあまり頼らず進んでゆく話にイマイチ乗り切れず、これって普通だよな、
というのが正直な感想。
というか、普通のことを普通に書いてて退屈なのってあたりまえ、しかも
前作、夢中になったのは文章に漂う、ダメ感ゆえだったことを考えると
今回のこの乗りの悪さも納得なのか?そうなのか?
毎日、生きてて感じる乗りの悪さや「わかんなくってすまんね」っていう
気分についての小説。すっきりしないのも故なるかな。
(でも、調子いいときもあるんだよって確認したい欲もあるんだけどね。)
中途半端小説を読んで、もっと半端を堪能すべし。といったボヤーとした
売り文句を本気で考えてみたのですが、どうでしょうか?
現在、発売三週間目にして初回入荷の四割消化。追加はもうちょっと
様子みてからなどと思ってるうちに新潮文庫担当バイトがトットと出して
しまいました。しばらく安泰です。が、これを原作にした映画が9月に公
開予定ですのでウッカリ切らさないよう要注意。
ちなみに今回の読書場所は職場→家(と布団の中)。
(オオウラウタコ 書店員 年間読書量50冊? スキなジャンル
小説とか)
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■「カレーの神様の声を聞く」/小林圭司
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『東京カリ〜番長の神様カレー guide150』みずのじんすけ著 文藝春秋刊
1333円
去年の夏も暑かったが、今年は一体どうなっているのだ。
暑い!暑すぎる!!
夏が苦手の私は、夏バテで既に2度のダウンを喫している。
幸い食い意地は張っているので食欲はあるのだが、やはり食べる量は減って
しまう(「これぐらいで十分」妻・談)。
そんなときの強い味方が、そう、みなさんも大好きであろう、「カレー」だ。
私の勤務先は神田小川町というところにある。
周辺の御茶ノ水・神保町エリアは、「本の街」であったり「スキー・スノボ
の街」であったり、「楽器の街」であったりするのだが、ここ2〜3年、そ
れに「カレーの街」というのも加わった。
創業ン十年というような老舗もあるが、比較的新しいが工夫をこらしたカ
レーを出す店も多く、雑誌などでも繰り返し取り上げられるくらいの一大カ
レータウンとなっている。
だから、昼食にカレーが食べたくなったときのチョイスには事欠かない。
洗練された味わいがすばらしい、一番大好きな「カーマ」のチキンカレーに
しようか。
個々のスパイスの香りが刺激的な「エチオピア」の野菜カレーにしようか。
ちょっと須田町まで足を伸ばして、辛さとコクがたまらない「トプカ」のム
ルギカリーにしようか。
あー、書いているだけで食べたくなってしまう。
こんな名店でばかり食べているうちに、いつの間にかカレーにはまるように
なってしまった。
カレー店のガイドブックとしては、カレー界の権威、小野員裕横濱カレー
ミュージアム名誉館長による『東京カレー食べつくしガイド』や、ちょっと
文化人くさいが、安西水丸とカレーの地位向上委員会の『カレーを食べに行
こう』、サブカル系の『俺カレー』などがあるし、『danchyu』
『Hanako』といった雑誌では定期的にカレー特集を組んでいる。
だが、東京カリ〜番長代表のみずのじんすけが書いた『神様カレー』は、こ
れまでのガイドとは少し趣を異にする本だ。
この本の本文にはカレーの写真は例外的な1枚(著者が偏愛する「デリー」
のカシミールカレー)を除いて全く掲載されていない。
店を星の数で評価するということもしないし、ランキングもない。
ひたすらカレーの作り手の元を訪れその声に耳を傾けるのは、作り手不在の
ままでありきたりな紹介の仕方しかしないグルメ文化への反発からでもあり、
エンケン(名曲「カレーライス」の遠藤賢司なんて、普通若い子は知らない
よなあ)の「カレーの味はね、作り手の心が決めるんだよ」という心にしみ
る言葉からでもある。
よいカレー店の作り手は、カレーに全てを捧げている。
彼らを「神様」と呼ぶことに何ら異論はない。
例えば先に挙げた「カーマ」のマスター。
「うちのようなサラサラカレーは、特にある程度の辛さが必要なんですよ」
と本書で語る彼は、実際お店でもあまり辛くないカレーを頼もうとする一見
さんがいると、「お客さーん、はっきり言ってこれはおいしくないですよー」
とまで言って、一番辛いチキンカレーにしてしまう。
それくらい、自分の作るカレーへの自負がある。
だから、この本を片手に初めてのカレー店に行くときは、緊張感と高揚感を
感じる。
辛いものを食べるという行為自体がスポーツ的な感じもするのだが、作り手
が全人格をかけたカレーと対峙する瞬間は、いつも胸が高鳴る。
そして出会えたカレーがうまかった時の至福感!神様ありがとう!
先に神様たちの話を読んでしまっていると、感謝の気持ちもひとしおなのだ。
みなさんの好きなカレーは、サラサラしたインド風だろうか、それともコク
のある欧風だろうか。
みずのじんすけや小野員裕がはっきり「サラサラ派」であるように、現在の
カレーブームではサラサラカレーが注目されているように思う。
でも、昼時はともかく、夜になるとこの『神様カレー』に取り上げられてい
るような店ですら閑古鳥が鳴いていることが少なくないのだ。
カレーといえばバーモント、あんまり刺激の強いのは…という方も多いとは
思うが、唐辛子の辛さはすぐ慣れるし、多種多様なスパイスを職人的に配合
して作るカレーの鮮やかなうまさを、この本をきっかけに知って欲しい。
町田の「アサノ」のじいちゃん(この人も神様の一人)が、私しかいない店
内で寂しげにつぶやいた。
「今日はもう終わりだなあ…月末は特に入りが悪くてね…」
がんばれ、じいちゃん、また来るから自慢のカツカレー食わせてくれ。
<小林圭司 出版社営業部員 33歳 好きなジャンル 翻訳小説・サッ
カー>
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■「あなたはこの本をしっていますか?」/畠中理恵子
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《今回は、まず著者ご本人よりの自己紹介がございます》
こんにちは。私は、地方・小出版流通センター(以下、地方・小)という
「取次」の直営店で働いています畠中理恵子と申します。地方・小とは、
「あまり書店に流通していない本を全国に流通させる」ことを目的とした、
中取次(地方・小→取次→書店)のような役割をし、現在800社以上の出
版社の書籍を流通させています。しかし、流通させているといっても、小社
扱いの出版社の本を全国津々浦々の書店に置いていただく、というわけには
なかなかいきません。そこで、アンテナショップ的な役割として神田神保町
に「書肆アクセス」という書店を持っています。そこが私の職場。わずか
10坪の小さな店ですが、この店なりの品揃えが自慢です。地方・小の扱い
本の他、店独自の仕入れで販売しているミニコミや書籍も多々あります。そ
の中のあれこれを本欄でご紹介できればと思っております。
あ、少々自己紹介を。もうすぐ不惑の40歳になる、しかし未だに惑いオ
ロオロするばかりのどすこい(太っている)系女子。夫があるも事情により
別居中。猫6匹と生活しております。(詳細は、無明舎出版刊『神田神保町
「書肆アクセス」半畳日記』にて。あんまり興味がないかもしれませんが、
どうぞできれば知ってください。お店のヨタヨタ営業日録です。)
また、本欄では、小社扱いの書籍をご紹介させていただこうと思っていま
すが、たまに、扱いのない出版社の本をご紹介させて頂くこともあります。
今回もそう!どうぞ細く長くお付き合いください。
※ちなみに、本連載タイトルは小社発行目録のまねっこです。
ここから書評本文です************************
『猫の客』平出 隆著
河出書房新社刊
5月下旬に飼い猫の一匹がベランダから逃走しました。
すでに去勢していましたが、雄の、一才になったばかりの若い猫です。
すぐに追い掛けていって、目を合わせながら何度も呼びましたが
彼はくるりと背を向け、夜の中に走っていきました。
7ヶ月ほどの仲。私を認めながらも、行っていまったことがショックでした。
野良出身で、この家にきてからはずっとマンション猫として外には出したこ
ともなく、
たぶん見つからないだろう、これも運命かと諦めました。
しかし、知人に相談すると、できることはした方がいい、とアドヴァイスを
うけポスターやポスティング、夜中の見回りなど一ヶ月くらい続け
ある日、見かけた方からご連絡があり、
捕物帳の末、現在は帰ってきています。
猫、帰る、です。
いない間ずっと夢ばかりみていました。
生きているのか、どこかで何をしているのか。
切ないやら。
夜の町を懐中電灯をつけながら歩くと
いつもは全く気がつかない、様々な風景に出会いました。
細かな植え込みに咲く小さな花。
決まった時間に野良猫のごはんをあげにくる人たち。
犬の散歩をする人たち。
空家。
体を斜にしなければ入れないような小路、その先のアパート。
夜の音。
夜明けまぎわの音。
このどこかに、行ってしまった猫が生きているのか、と思うと
閉め切った部屋の中で暮らすのより
こっちを選んだのか、など色々な想像をしました。
風や光りを存分に浴びながら
苦労してごはんにありついたり
他のボス猫と喧嘩したり。
どれも感傷だと思います。
結局また我が家に連れてきてしまったわけですし
良かったのかどうか。
でも、連絡を受けて探しに行き、大きな声で名前を呼んでいると
ちゃんと応えて、ないてくれたのです。
何度も呼ぶとまた応えて返事をしてくれたのです。
それで、きっと、「わたしの家の猫」になってくれるのだ
と、つれて帰ってきました。
今は、ソファーの上で他の兄妹たちと
お腹を上にして寝ています。
さて、長々とすみませんでした。
今回ご紹介する本は、猫を探している最中、ひとに勧められて読んだ猫の話
です。
平出 隆は、詩人。『左手日記例言』という散文集で読売文学賞を受賞して
います。
また、本書で木山捷平賞を受賞しました。
彼が妻とふたり、古い家の離れに住み、
隣家の猫との交流と別れが主軸となった話。
たんたんとした語り口で
何か不思議な感じのするチビという猫と
夫婦との関係、
大家の老夫婦とのつき合いや
大家の古い丹精込めた庭のこと、
住んでいる私鉄郊外の町や自然について
描写していきます。
本当にたんたんとした日常がある、といった話ですが
行間からこぼれる、何と言うのかな
風の感じ、光りを浴びている感じ、木や花が匂っている感じ
水が流れ、それにふれている感じ
それらが、文章に満ち満ちているのです。
夏の夜のちょっと涼しくなった静けさや
冬の日なたの時間が止まったような気配。
そう、いつも肌にふれるような気配を感じながら
野性の生きもの、チビの生命が夫婦の中に自然に入ってきて
自然にいなくなってしまう…。
(小説の中ではそれなりに色々あるのですが)
チビという、「猫の姿をしている、気持ちの通う友だち。」は
夫婦とそれぞれに小さな、しかし、確かな信頼と触れあいをもち、
「自分の家の猫ではなかった」が
生活の一部になっている…、そんな存在となります。
「勾玉のかたちになってソファに眠りはじめたとき、家そのものがこの光景
を夢に見ていると思われるような、深い喜びが来た」。
「観察こそは感傷に陥らない愛の確信である、という」思想家の言葉をひき
ながらチビのしたいようにさせる妻。
「わたし」にとってのチビは、胸にせまってくるような
手に触れられそうでいて
触れられない、そんな野性の、自然の存在であり
それが、なんとも切ない。
そして、それは、至福とか愛情とかそんなことばの形のように感じられます。
表現というものについてや
町が壊れていくことについて(バブルの崩壊の頃が舞台であり古い家が取り
壊されたり)
それぞれにもふれています。
静かに確かに存在への著者の愛情。
とつとつと染みてきます。
悲しみとか、孤独とか、生とか、死とか、
この小説にはそんな気配が静かに在ります。
御興味がありましたら是非ご一読ください。
『猫の客』平出 隆著
河出書房新社刊
本体1400円・四六判・137頁
ISBN4-309-01430-5
2001年9月30日刊
<畠中理恵子 書肆アクセス店長 神保町の看板奥さま 著書『神保町「書
肆アクセス」半畳日記』(無明舎出版; 1600円)も好評発売中です>
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■「ベストセラーに背を向ける」/朝日山
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日本人って、ホントは応用が下手なんじゃないだろうか?
「キャノン特許部隊」丸島儀一 光文社新書
カーマニアの間で、フェアレディZ関係の話題が熱い。日産自動車の経営不
振のため、もやは命脈を絶たれたと思われたZ。それでも極秘に開発を行う
技術者たち。アメリカではZファンクラブが動き、米寿を超えたZ生みの親、
片山豊を日産に送り込む。片山はカルロス・ゴーンを動かし、ここにZは奇
跡の復活を遂げた。まさしく、プロジェクトXのためにあるようなストー
リーだ。
ビジネスマンなら、ぜひとも片山氏のような生き方をしたいと思うところだ
ろうが、現実はなかなかそうもいかない。というよりも、Zの物語は、なん
といってもZだから、感動的だったとも言える。個人的にZは私も昔から大
好きで、日本車のかっこいいデザインはZが常にリードしてきたとすら思っ
ている。が、根がへそ曲がりなので、ここではZ本ではなく、地味〜なメー
カーの特許部門に焦点を当てた本を紹介したくなるのだ(笑)
キャノンは言うまでもないカメラ・複写機・プリンターなどを扱う国際企業。
日本企業としても昔から中途採用が多く、ちょっと毛色の変わった会社とさ
れている。そのキャノンの特許戦略を一手に握る神様を描いたのがこの本だ。
昭和三十五年五月、大田区下丸子にあったキャノンカメラの工場でエンジニ
アを目指して新入社員実習に励んでいた丸島儀一は、突然人事部から呼びだ
された。人事部に出向いた丸島氏を待っていたのは一枚の辞令。これから特
許部特許課で仕事をしろという。当時のキャノンカメラでは新入社員の配属
が決まるのは7月だったから、異例の人事だ。そんな異例の人事が行われた
理由は「先月急に退職者が二人でてな。その補充だ。すまんが、しばらく辛
抱してくれ」だという。オイオイ(^_^;)
当時の特許課の仕事といえば、弁理士とエンジニアの間を往復するくらいの
もので、エンジニアとしてバリバリ活躍したかった丸島氏としては当然面白
くない。しかし、昭和三十七年、キャノンに製品研究課ができる。後の複写
機など、キャノンの屋台骨を支えることになる製品を産みだそうと俊英が集
められた。ここに出入りするうちに丸島氏は開発の面白さに目を見張る。
ここで彼が非凡だったのは、自らも開発をしたいと言わず、当時の開発目標
であったゼロックスのPPC複写機の特許情報を熟読し、いかにゼロックス
の特許に触れずに新しいコピー技術を開発するかの、アドバイスに徹したこ
とだ。特許担当者と開発者が顔を突き合わせて開発の初期から協働するいう
のは、今でもあまりないことらしい。そんなこんなで、当時20年は破れな
いとされていたゼロックスの特許を裏をかくNPシステムが誕生した。すると、
ゼロックスも動き出す。
ゼロックスは、ます見せろと言ってきた。それで機密保持契約を結んでから
見せるというと当日土壇場に連絡があり、送った人間はサインをしないまま
出発したという。それで来た人間はサインはしていないから機密保持契約に
触れない程度でいいから見せてくれという。それで応じると彼らはわざと怒
らせたり、「そんなことも知らないのか」と小馬鹿にしたりして、ついつい
キャノンの技術者は言わなくてもいいことまでしゃべらされる。サインする
と、見たもので欲しいものがあるとライセンスを受けなければならない。要
するに最初からサインをする気はなく、おいしいとこ取りをするつもりだっ
たのだ。
担当者が帰るとゼロックスはさっそく攻撃に出る。その手がなんともえげつ
ない。多分わざとであろう、日本での特許申請は語訳だらけにしてあったの
だ。それで書き換えを何度もやっているうちにもキャノンの特許まで包括す
るものに徐々に書き換えていく巧妙さにキャノンは危うくやられる寸前まで
行ったという。
この原体験がキャノンを、そして丸島氏率いる特許部隊を鍛えることになる。
いわゆる特許戦争、基幹特許を持つ相手に関連特許で身動きをできなくする
などの手法は他の本にも書かれているが、ここで丸島氏が開陳する特許戦争
の手法や国のパテント政策などに対する言及は、この分野の本をかなり読ん
だ方でも初耳のことが多いのではないか?特許戦争に華々しいドラマはない。
あるのは虚々実々の駆け引きのみ。しかし、そんな中でも先頭に立って世界
を相手に戦う手法を編みだしていったイノベーターがいたからこそ今のキャ
ノンがある。
読後思ったことは、タイトルの通りである。日本には東芝やミノルタなど特
許関係で外国企業に煮え湯を飲まされた会社がそれなりにある。飲まされな
いかとビクビクしている会社も多い。キャノンは数少ない例外と言っていい
だろう。日本人は基礎技術を開発するのは苦手だが、応用技術は上手だとい
うのが定説のようになっている。これって本当だろうか?
日本の経営者は古典が大好きだ。当メルマガ編集人の専門である兵法の本
だって、よく読んでいるはず。戦い方の基礎知識は持っているはずなのだ。
しかしプロパテント政策のような新しい世界の戦い方を要求されると、なぜ
か外国の応用力豊かな連中にやられていることが多いように思える。私もあ
まり人のことは言えない。本を読んで自分はきちんと内容を消化しているん
だろうかと、しばし腕組みをして唸るのであった(^_^;)
(朝日山 烏書房付属小判鮫 37歳 好きなジャンル 何だろ?)
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■あとがき
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>わたしくし、重度の童顔なんです
>はあはあ
>私服でいると、予備校生とか言われちゃうんですよ。大学生と言うには着
ているものがダサ過ぎるかららしいんですけど……
>全身ユニクロ男ですもんね(笑)
>ホントのこと言うなー、プンプン(笑)。しかし、ヘンに若く見られると、
世の不条理がいろいろ見えるんですよね。
>と言いますと?
>特におじちゃんやおばちゃんって、相手が若そうだと思うと、いきなり扱
いをゾンザイにしたり、偉そうになる人結構いるんです。例えば飲食店に複
数でいったとき、テーブルいくつも空いてるのに「カウンターに座って」と
か平気でやられましたもん。
>ああ、そういえば書店の店頭とかでも、若い女性店員相手に偉そうに怒鳴
ってクレームつけてるクセに、書店側が中高年の男に変わるといきなり態度
変える人とかいますからねー。
>本当に若い内だったら、知らないから納得しちゃうかもしれないけど、一
端背広着て疲れたサラリーマンになってから、ニセ若者にもどると、そこい
らへんのイヤらしさって本当にわかっちゃうんですよ。
>こうなったら、髭はやして白髪にでも染めちゃったらどうなんでしょ(笑)
>ああ、それいい、童顔用のフケ顔化粧セット、どこかの化粧品屋さんで出
しちくりー。
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